五十二話「前進」
そういえば、1~2話ぐらいを使ってギャグ回を書こうかと思います。この章である程度やんないと2章以降はやるの厳しいので。
「もう歩きたくないなぁ、畜生……」
椅子にもたれかかりだらしない姿勢でヴィオは愚痴を吐いた。
「だが報告は終わった。 お前にもう用はないし、このままその足で家に帰らなければいけない」
「乗り物……」
「金を払え。 適当な馬車ぐらいくれてやって良いぞ」
手持ちにお金をそんなに持ち合わせていない彼はどうしようか迷った。正直に言って歩いて帰るのは簡単だ。だが非常に面倒くさい、それに怠い。何故あの馬鹿でかいカラスを倒して疲労し切った後にさらに体力を消費しなければならないのだ……。
嫌だ嫌だとヴィオは自分に言い聞かせた。負けるんじゃない。もっと考えを捻ればきっと歩かずに家まで到達する方法はあるはずだ。
そんな事を考えつつヴィオは手に持っているミルクを混ぜたコーヒー飲み干す。彼は時々コーヒーを飲むが苦くて嫌らしい。飲むときは大抵は格好をつけている時だ。
今、格好をつけてもだらしない姿勢で飲んでいてはただただ情けないだけなのを彼は自覚した方が良い。この人物から続きに続き、西幸 弘太まで受け継がれてきた。性格はどう足掻いても一致しないのは不幸なのか幸いなのか。けれど、一つだけ確かな物があった。
「……ボス。 俺、子ども作るわ」
「どうした、急に?」
「いやぁ、俺もこんな異常な身体だしな。 早めに後継者は残しておきたいしなぁ」
「俺に言われても……死ぬ予感でもしたか?」
「うーん、そういう訳では――――――!?」
目の前の空間が割れて、その中の闇から黒のハイエナは襲い掛かった。
ヴィオは常に懐に隠し持っているナイフで対応、肩に爪が擦れるがその前にナイフは胴体を突き刺しており。絶命させた。
「ふぅ……おい、こいつ。 群れで行動するタイプだよな?」
「ああ、ディーストだ。 なら……気を付けろ」
最悪だ。いつどこで出現してもおかしくないとはいえここは街の中だ。一匹以上いるのは確定している、複数いた場合は死亡者を出すなと言われても不可能だぞ……。
「……俺以外の能力者は!?」
「お前を含めて三人だ。 エネルギーの感知は出来ているはずだ。 ヴィオは?」
さっきからやってはいるが感じ取れない……いや、微量で気付きにくかったが僅かにキャッチした。もしや、進化してこちらに気付かれないようにしたのか? 厄介になってきたな。
「すぐ出る。 ここに向かうようなら戻ってくる」
マスケット銃を背負い、レイピアを手に持ったヴィオは街の中を走り回った。その姿は、時がどれだけ経とうがこの一族の変わらぬ守りし者の姿だった。
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「……何で君も付いてきた?」
柳は航空機の中、アルゴスに問う。
「ふふーん! その方が面白そうだし、いずれ帰るんでしょ? その時に弘太に会いに行くんだよ!!!」
困ったものだ。上層部……と言うより、能力者とその関係者が頭を抱えヴェルズと並ぶ問題児のアルゴスが付いてくるとなると本当に不安でしょうがない。
最近では弘太も問題児になりつつあるらしい。時々ではあるが独断専行が目立つのもあるが、それ以前に過去の任務においてアルゴスやヴェルズと共に遂行しているものもあっていってはいけない方向に少しずつ進んでしまっている。
保護者としてはあまりこういう事は良くない気持ちではあるが、アルゴスに悪意はない。善意で全ての緊迫をぶっ壊すだけだ。人質を救出しようとした時も上空から戦闘機を使って基地へ突っ込んで行くのは本当に何だったんだ……。
それで人質に傷一つ付けずに助け出したのはナンバーⅠの称号は伊達ではないと言えるが、それをもっと良い方向に……アルゴスやヴェルズ、シリスとファイのおかげで弘太は以前よりはだいぶマシになっているのは感謝している。
彼等と会うまでは弘太と言う人物は非常に何もない人物だった。俺はどうすることも出来なかった。彼の過去を知り、精神の安定の為に記憶処理をしたせいで後ろめたかった。
やったのは俺ではなく組織なのは分かっている。それでも弘太に声を掛けづらかった。こんなダメ男が彼の親で良いのだろうか。そう思う中でアルゴス達の存在は救いの舟だった。
幸雪に会うまでは誰にも心を開いた事はなかったが、ガーディアンズ・ファイブとして仕事をして以降はかなり丸くなっている。具体的に言えば常に殺意丸出しの状態から必要な時だけ殺意を沸かせるというものだ。いや、分かりにくい例えだな……人類が初めて火を会得した時ぐらいの衝撃とだけ言っておこう。これ以上は良いのが思いつかない……弘太の友達にでも聞かせようと思ったが途中でグダグダしそうだ。
「おじさんー、何か新しい任務の通達が来てるよ」
「……ああ、今見――――――」
柳は困惑した。頭を抱えた。何故なら……。
「何でよりにもよってまたヴェルズの所なんだ……!」
「わーい! また新しい武器とか作ってるのかな?」
まぁ、幸いな事に作戦場所は第3支部らへんではない。ファガルが見つけた謎のコンパスを使って、ルリーヴを見つけようとするらしい。という事で4人での活動……。
続きにはこう書いてあった。
『久しぶりだね、柳! 7日と21時間ぶりだ! とりあえず、用件を言うよ。 ルリーブっていう石を見つけたらみんなで第4支部へ向かうよ! これで僕とアルゴスと弘太のチームが組める……! パンジャンドラムももう少しで従来より頭おかしい兵器に改良できるし一石二鳥だね!!!』
「………」
「……? 何をそんなに黙ってるの? 普通の内容じゃん」
止めてくれマジで……てか、白神の奴。割とマジで変な方向に持って行こうとしてるだろ。俺の所に来る任務って大体が白神を通してだし……ハァ、もう良いか。いつも通りだ。これが俺の運命なのだろう。そう受け入れれば帰って来た時に唐突に湧き上がる怒りで白神をぶっ飛ばせるはずだ。
場所は見事に太平洋の上だ。腹を括るしかない。水中は初めてだが、能力者の適応能力を利用すれば行けるはずだ。余計に事が起こらないと祈りつつもどうせ起こるのだろうとどこかで諦めてた柳であった。
「んー、君が津田 命くんで良いんだよね?」
「はい」
何故、見えない筈の存在を能力者という者でもない自分が見れるのか。よく分からない。見えるせいでよく分からない施設に連れて来られた。クラスメイトが何か刀持ってるし、同い年の女の子3人がその刀持ってる男の子の恋人とか僕には理解出来ない。外に待機してるガードマンも怖いし、受付のお姉さんが可愛い。
全てが未知で出来た環境で白神主任から彼はとりあえず一通り聞いたり、何故見えるのかという事に対して、本当に些細な事も話した。
「あの時はバイト帰りでしたね。 空を見たら、やたら飛んでるピエロが見えたんですよ。 目立ってたはずなのにみんなが注目しないのは不思議に思いましたねぇ」
「ふむ、続けたまえ」
と言っても、気になる場面は何一つなかった。コンビニ行って、おにぎり買おうとしてツナマヨなかったから妥協して昆布を買ったり、夜な夜なあのピエロをどうしても見たくてカメラや録音機を持っていく変質者になってみたりと、至って関係のない事ばかりだ。
「ふーん……ところでそれ以前に目撃したことは?」
「となると、ないですね。 そんな頻繁に見たら僕の平穏な日常も崩れちゃいますよ~」
「もう崩れてるね」
白神はニッコリとそう言った。奴はこの状況を楽しんでいる……いい加減に自制の一つでもしてほしいものだ。
弘太はそう考えながら、話に割って入った。
「色々話したい事はありますが、白神主任。 とにかく刀が砕けました」
「……ハァ(絶対、仲間割れしたな……相原が仲裁で入れればなぁ)」
これも良い機会かと思い、白神はその場の全員をとあるフロアへ移動させた。起こすのは当然のように面倒ごとだった。
ディザイスという能力名の固有名詞を最近思い出した……。この作品の基本の中の情報の筈なのに名前を忘れるのも会うけど、個人的に能力というワードで置き換えた方がしっくりくるからさらに忘れ去られる……。
ギャグ回は恐らくタイトルからは思い付かない内容になるかと、キャラ崩壊は起きません。賀霧 雅哉は出さないかと。




