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黄昏時に  作者: 紲結、
廃病院
4/8

廃病院『4』

海津さんがいる部屋から出て暫く歩いた所にそれはいた

聞いた通りの見た目だが一目で人では無いことが理解できてしまう姿だった、それは枯れ木がナース服を身に纏っていた、確かに手脚は2本ずつあるがそれは幹で指は枝で出来ている

そして顔の位置は空洞で中には無数の赤い触手が蠢いていた

何故そこまで詳しく分かるかと言うと直ぐ目の前まで既に迫ってきていたからだ


(⋯何で⋯さっきまで何もいなかったのに)

「⋯逃げないと」


振り返り走る、動きはそこまで速く無い様で追い掛けて来てはいるが引き離す事は直にできた


(でもどうしよう事務室はさっきの先だし、もしかしたら別の部屋にあるかも知れないから入ってみるかな)


ホラーゲームにはよく分からないギミックがある事は流石に知っている、宝石で扉が開いたりパズルで道が開いたりセキュリティとは?と思う様なパスワードだったり

近くにある部屋の名前が書かれているプレートを見てみる


(産婦人科手術室⋯⋯は?)


一瞬目の前が暗くなったと思ったら手術台の上で横になっていた

服も先程まで着ていた物から薄ピンクの病衣に変化している


(拘束されてないだけ海津さんよりマシだけど何が起きたの?)


周囲を見渡しても何に使うかわからない機械があるだけで何が起きたかの手掛かりにはなりそうにない

出ようとドアを開けようとするが勿論開かない


「ハァ〜、まあそうだよね。痛!」


あちこち探索していたら急に下腹部に鈍い痛みが起きると同時に何かが蠢いてる様に感じ始め思わず座り込んでしまう


(何で急に⋯⋯ちょと待って⋯もしかして)


プレートに書いてあったのは産婦人科手術室そして今世の自分の性別は女である、更に手術台で気付いたら寝ていて下腹部の痛みそこ迄考えて嫌な想像が頭をよぎる


「ヤバいヤバいヤバい早くここからでないと!何で開かないの!!」


思いっきり押しても引いてもびくともしない扉に焦りが募る


(何か⋯何かここから出る方法何か無いの!) 

「クッあっ痛⋯どうしよう早く早く」


どんどん痛みが強まるのと同時に違和感が強くなってくる、なるべくそれを意識しない様に周囲のを見渡す

目に付くのはよく分からない機械や恐らく手術に使うであろうキャビネットにある道具類、⋯⋯気付けばメスを手に取り自分の腹に突き立てた所で我に返る


(マズイマズイ、子供(・・)を早く取り出さないといけない思考になってた)

「ふぅ〜少し落ち着かないと、実際にお腹にいる訳じゃないし」


お腹に違和感はある、痛みはあるし何かが蠢いてるのも感じるがそれならここまで自分が動けるはずが無い

何せ別にお腹が膨れているわけでも無ければ痛みも我慢できる程度の痛みしか無い、少し落ち着いて考えれば簡単に分かることだった


(まあだからって安心は出来ないけど⋯あと見て無いところはあの棚かな)


棚には瓶が並んでいる、近付き瓶を見るとラベルには年月日が記され中には胎児が詰められていた、その中の1つだけ中身が存在していない


「ああもしかして、この子が私の⋯この部屋の中で探せってことかな」


改めて周囲を見回してみる、何らかの機械・手術台・棚・道具類、ロッカー特に変な物がある様には思わないがそもそも手術室に何て入った事が無いので異常が合っても分からない


(まあ異常って言うならあの棚だけど、そこに居るならそもそもこんな事になってないはずなんだよな⋯⋯後見てない所は)

「ング⋯オェ⋯⋯何で急に吐き気が」


気にしない様にしていたが痛みが少しずつ強くなって来ていた、それから敢えて意識を逸らしロッカーを見つめる


(手術室にロッカーって何が入ってるんだろ、手術室なら衛生管理はしっかりする筈だから掃除道具を部屋の中に入れっぱなしにはしないだろうし⋯見てみるしか無いよね)

「うわ、見つけたよ君の事」


その中に居たのは干乾びた胎児の遺体だった、その子を見つけた瞬間、痛みが引き違和感も消えた

その胎児の遺体は鍵を抱え込んでいた、その鍵に付いている名札には事務室と書かれている


「はは、先に事務室に行ってても鍵が閉まってたって事?

はぁ、疲れたけど行かなきゃ」


今度は扉は簡単に開き廊下に出て、枯れ木のナースが居ない事を確認し呟く


「私は頑張ってるんだから主人公君も出来るだけ頑張ってね」


今度こそ事務室へと向かう





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