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第3話 カバ ナヌ

セイ・ジーンが語ったスローガン


”勤勉で優秀な、国や会社に必要とされる有能な労働者になりましょう”


が植えつけた意識により、どんな人間が多数派になったか?



 全ての労働者が有能と評価されて、勤勉さを追い求め

 国に必要とされる、国営企業で必要とされる有能な働き者になりたい



そういう願望を抱く社員が増えたワケなのですが


全ての社員が、願いを叶えたワケでは無かったのです。




高齢になった管理職には


若さ溢れる瞬発力で職務遂行能力を発揮して出世したものの

高齢になるにつれて、職務遂行能力は減退し


職務把握能力が高いから何をするべきかは理解していても

瞬時の状況判断力などが落ちていて、やるべき事が出来ない


といった昔は名プレイヤーだったスポーツ選手が

頭の中のイメージと、自分の身体能力にズレが出て

どうにもならなくなるような人間が発生


それらの人々は、職務把握能力に関しては無能で低いけど

状況判断力だけはあるから実行役は可能な若い労働者に

指示を出して使うのが上手になり


仕方なく、有能な怠け者という存在になる労働者。



アメカ式の業績管理システムが導入され

仕事が出来ない人間を無能と判定できるようになってから

無能の烙印を押されて底辺労働者に落ちぶれ

やる気を無くして、無能な怠け者という存在になって

指示された通りに誰にでも出来る単純作業をするだけになる労働者。




評価された有能な働き者の

上っ面の真似だけをする掛け声だけは立派だったり

人間が集まって会社はあるのだから


集まった人間の中で決定権を持つ人間に気に入られれば

排除はされないだろうと、社内政治に邁進して


職務把握能力も、職務遂行能力も低いけれども

社内派閥を利用して生き残る

無能な働き者という存在になる労働者。



などなど、有能な働き者以外にも3パターンの

労働者が発生していました


それでも組み合わせで会社組織が好循環している間は問題は、ありません。




しかし、少しでも好循環が止まり停滞すると・・・


植民地の子会社で働く有能な働き者は


宗主国の親会社で指示だけ出している中にいる

無能な怠け者に不満を抱え、怒りの感情を抱えていきます


”何もしていないで、偉い人に取り入るだけな奴等は

 必要ないんじゃないのか?”



そんな疑念や不満、怒りが国家独立運動へと発展していく



そんな国内環境について入力するのが、今日の作業というワケで。




歴史データをAIに登録する入力作業スタート。


指示メールで送られてきた今日、精査するのは

カバ・ナヌというフォルダにあるデータ


[ kaba : カバ ] 窒息する


(タガログ語なまりのスワヒリ語)



[ nanu : ナヌ ] あなたと

(チュワ語なまりのスワヒリ語)



あなたと窒息するほどに・・したい!


って意味かと思ったら



[ kaba nanu : カバ ナヌ ] 奴と一緒にいて欲しい


(カンナダ語なまりのスワヒリ語)



あら不思議、組み合わせにより意味って変わるワケなんだよなー。




--------------------------------------------------------------------------


人的要因 1b : セイ・ジーン大統領誕生


[ kaba nanu : カバ ナヌ ] 奴と一緒にいて欲しい



市場環境要因 1α : 帝国式の国際市場取引


[ Busu la Mungu au la shetani?

 ブス ラ ムング ラ シャタニ? ]


 キスするのは悪魔か神か?


--------------------------------------------------------------------------


セイ・ジーンは資源企業の初代最高経営者に就任してから12年後


政治家商人、政商として、所属する政治組織を

国内で合法的で国民に支持される政治組織にする事を成功させ

その最高権力者に就任した。


この政治組織は、3年後に実施された最初の公開首都議会選挙を席巻し

彼が党首である政党は第一党となり首都知事に選出された。


首都知事になった事で、それまで馴染んでいた

社内管理会計、および会社側から見た税務会計では無く


公官庁会計、および国側から見た税務会計を知る事となる


それまで、多少、話しには聞いていたものの

モノサシが完全に逆な世界、収入支払い、赤字黒字が逆な世界



法人住民税や、法人所得税に関して今までと逆なのは当然の事


普通に法治国家なら当たり前な法整備も無ければ


地道に努力すれば、いつかは希望が視えるような産業整備も

労働者の労働環境整備も無く



ただ、ひたすら、ザイスタン国民は


宗主国の保守支配層が経営するグローバル大企業群で


農産物取引大企業の、下請け農家の作業員や


金属取引大企業の、下請け鉱山の作業員


として一生を終えるだけだった現状に

疑問や不満すら抱えないほどに事態の深刻さを理解していない人々が多く



少し前の時代、干ばつで運の悪い農村地帯の村が全滅したり

狂暴な肉食動物の増殖で、運の悪い狩猟村が全滅したり


していた頃よりはマシだから、いいじゃないかと楽観的だったのだが


その意識を許せなかったセイ・ジーンは

社員教育や関係会社への意識改革要求などにより変えていった。




セイ・ジーンが首都知事となった2年後の1月


セイ・ジーン党首による政治集会は

意識改革により発生した不満が暴発した暴動に発展


ザイスタン独立闘争にとっては極めて重要な瞬間であった。



セイ・ジーン は、意識改革として語っていた

アフリコのナショナリズムについて群衆に演説する予定だったが

植民地政府は、反政府運動の扇動と判定して演説会を強制中止させた。


政府は暴動を未遂の内に鎮圧させることができず

何千人ものザイスタン人による暴動が発生した。


セイ・ジーン は、他の数人の独立運動活動家とともに逮捕

暴動扇動罪の容疑者として投獄されたが

不起訴となり、2か月後に釈放された。




「私は首都知事に就任し、現状を把握した時


 前任者は何を考えていたのか? 何故、何もしなかったのか?


 と思わずには、いられませんでした



 帝国からの不平等で無茶な要求を無条件に受け入れ


 我が国の国民は作業員として生きる以外に何も無く


 ひたすら搾取されるだけの現状を


 当たり前の事として受け入れるようにしただけなのです



 前任者は国民の事など考えず

 帝国の権力者が望む事をしていただけです


 そのために国内から単純作業以外の仕事が無くなり


 不平等な貿易や、不当な国際融資利子などによって

 国の資金力を失わせるという事態を招いたのです



 我々は交渉、いや帝国の圧力と闘って現状を打破しなければなりません


 借金まみれで、借金を返すために奴隷のように作業をするだけな

 底辺労働者として生きる国民が多数派という

 馬鹿げた現状を変えていかねば


 我等の子孫の未来は、希望の持てない暗黒の世界です



 当初、我々の政党は30年のタイムラインで

 段階的な帝国からの独立を計画し主張してきましたが


 アフリコ地域の各地で独立運動が強まっている

 今、この時期に一気に変革をしなければ、機を失います


 独立へのタイムテーブルを短縮するために

 帝国に独立要求を受け入れさせるために


 帝国議会や帝国親会社の圧力を跳ね除け

 我等自身で未来を切り開こうではありませんか!」




首都知事としての方針開示演説などで


セイ・ジーンは、この時期にアフリコ各地で流行した

民族独立主義をザイスタン国民に植え付け

植民地政府に独立要求を繰り返した。



そして国際世論が変わり始めた


「植民地という概念は良くない事だ。

 住民自治の独立国として解放するべきだ。」


という国際世論が多数派となり、


昔は14先進国の植民地だったアフリコの各地で

独立運動が発生して、独立国が誕生しだした。



そんな国際世論を背景に


 植民地経営の経営コストを抱えるよりは

 独立国として独立させて、海外子会社として抱えたり

 貿易通商による輸出入をした方が

 コストが安くすむし効率的


というグローバル多国籍企業を経営する保守支配層一族の

政商の進言により、ザイスタンは独立を果たした。




セイ・ジーンが、グローバル多国籍企業を経営する保守支配層一族の

政商と直接交渉をして成立させた独立条約は

ザイスタン植民地政府に通り、帝国議会でも承認



14先進国議会と帝国との政治的妥協案として

ザイスタンは帝国連合加盟国であるという項目や


帝国の保守支配層一族が、半官半民な公営企業の大株主として

間接的な経営者として残るために

33%の株を所有する株主は経営権を所有する


という項目が条約や国内商法などに残ったものの



セイ・ジーン党首が率いる政党は新議会でかなりの数の票を獲得して与党となって

帝国との間で独立条約が調印され。セイ・ジーン大統領が誕生してた。


また、第二党の共産主義MNC党首ルンバ・ジーン

セイ・ジーンの弟が首相になる事で連立与党政権を構成。



この独立国家となった年は、ザイスタン歴 元年となった。



独立国家になったとはいえ、統治能力のある国民は少なく


帝国の大規模農場経営手法や、鉱山経営手法は必要で

そのノウハウを持つ帝国保守支配層一族で

実務的に有能な人間は、独立国となったザイスタンにも必要だった。


隣接する他国で、そういった14先進国の保守支配層を締め出した結果

国内産業である農業も鉱業も破綻してしまい経済が崩壊した国もあったので

そうならないようにする必要に迫られた。


だが、国内の過激な排他主義勢力は


今すぐに帝国の人間を全員、追い出して全てを自国民でと主張


本当に、そうしたら経済が崩壊するのは明らかなのに

その主張をやめないという事象が発生した。



その事象への対処をするため

ルンバ・ジーン首相は、オレ・サ・マーダー警察軍司令官に

そういった経済崩壊を招く過激な主張をする人々を取り締まる特権を与えた。



結局は、独立国になった途端に権力闘争、国内紛争が始まり

それを制圧するために、国家のためという大義名分の下


邪魔な存在を闇に葬る恐怖政治の実行部隊を設立


その裏政治家となったのは、オレ・サ・マーダーという人物だった。


この時、その裏政治家を存在させる事が、どういう結末を招くかを

ルンバ首相は想定できなかったのであった。



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