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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー3 

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雷神

「はぁはぁはぁ……」

「ハルちゃん、頑張れ! あとちょっと!」


 俺の頭上から、ウルエさんが声援を送ってくれる。


 俺達は雲間から垂れる縄梯子(なわばしご)を登り、空へと上がってきていた……上級ステージ『春の空』だ。


 しかし……重い。

欲張って、武器を背負い過ぎたか?

元特殊部隊員の男が逆襲する某映画の主人公みたいな格好。

足場もユラユラ不安定、この梯子……紐状のグミだぞ。

そこそこ弾力あるんだよな……これ、使えるかな?


「ウルエさん、ゴーグル付けるのちょっと待って!」

「はいは〜〜い!」


 彼女にはしばしお待ち頂き、対策準備。

用意は周到に行きたい。

だって……怖いじゃん‼︎ 痛いのも嫌だよ、俺‼︎

 

 深呼吸してから、三度目のゴーグル装着。

ははっ……緊張で手が震えてやがる。


 カシャンとマスクが飛び出し……そして始まる。


 『汝、敵ヲ殲滅セヨ。』


 変わり映えのしないその音声を聞き、つーーっと汗がこめかみを伝う。


 さっきの南国コテージで、この空専用、ふかふかな雲歩きムートンブーツに履き替えたが……ふわふわしてて、めっちゃ歩きづらい!


 画面の数字は11。

今回はゴーグルの通信を繋いだまま、彼女の声がザザッと響いてくる。


「攻撃を避け、撃ち取る。警告音は常に鳴っちゃってうるさいから、切っておくよ? ……シンプルだけど難しいのが、このステージ……来るよ、ハルちゃん!」


 ドーーンッ‼︎


 轟音と共に一筋の稲妻が天から雲を突き破り落ちる!

間一髪、飛び退いて回避!


 俺達が丁度立っていた位置の綿飴(わたあめ)雲には、ぽっかりと穴が開いた。


 ………………


 おいおいおい、アレ喰らったら一発でライフポイント消滅だろ⁉︎ 

ハートが10個あっても足りないぞ‼︎


「アレに打たれると痺れて動けなくなっちゃうの……そこに連続で攻撃喰らって、いつもゲームオーバー」

「えっ……ウルエさん、アレ経験済みなの……マジで⁉︎」

「けっこう痛いんだよ〜〜。超ビリビリするの」


 えぇ、そうでしょうね‼︎ 何万ボルトよ⁉︎

 

 前方に目を遣る。

今吹き飛んだ雲から生まれた砂糖の結晶と水蒸気で(もや)る先に……中級忍者とは違い、隠れることなく構える集団が!


 ふわふわヘアーな可愛いカミナリ様達の……太鼓部隊⁉︎

虎柄のマーチングバンド風な衣装を着た……小太鼓5体、中太鼓3体、大太鼓2体……そして動かざること大物アーティストのごとく、ドラムセットを置いて鎮座するカミナリ様が中央に1体!

……イナズマ11ってか⁉︎


「中央以外は動き回るから、先に確実に撃ち取って行くよ!」

「はいっ!」


 ダダダダダダダダダンダダン‼︎


 ノリノリでドラムセットを叩くカミナリ様! 

それに合わせて奏でるリズム部隊!

そして……太鼓に呼応して降り注ぐ落雷‼︎


「うおっ、超上手ぇ! 超絶技巧じゃん‼︎」


 えっ? 腕は二本だけだよな⁉︎

早すぎて千手観音のよう……顔はまるで阿修羅だな。


「ちょっとハルちゃん、感心してる場合じゃないよ! 避けて! 小太鼓から狙い撃つよ‼︎」


 バンッ! バンッ! バンッ!


 ウルエさんのパチパチキャンディ弾が命中し、小太鼓3体が一瞬で弾け消える!

かっこいい‼︎ よっしゃ、こっちもやってやる‼︎


 ダダダダダッ‼︎


 俺のマシンガンで小太鼓を狙う……が、速いっ⁉︎ 捉えられない‼︎ ヤベッ‼︎


 焦りで、照準がブレる‼︎


 ターーンッ‼︎


 ガラガラドーーンッ‼︎


 捉え損ねた小太鼓が叩き鳴らした雷が俺を直撃‼︎


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」

「ハルちゃーーん‼︎」


 俺の悲鳴が空に響き渡った‼︎

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