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異世界転生を果たした、おば、コホン、お姉さまは、お嬢様生活のために悪役回避、頑張ります!  作者: 渡 幸美
第四章 聖女と勇者と精霊と

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70.クラスメイト

新しく始まる学校生活は、前世でも異世界の今でも緊張と楽しみの感情がせめぎ合う。元・オバチャンだってそう。いや、むしろオバチャンだったからこそ考えすぎると言うか。


いや、うん。分からなくはないのよ、分からなくは。私はルシーの愛し子で、姉が聖女で王子な勇者や他の愛し子たちとも仲良し仲間。すっかり当たり前に仲良くしていて、特別感を感じていなかった。けど、周りからしたら、特に新一年生からしたら、ちょっとした幻の珍獣扱いになってしまうのは、自然なことだ。けれど。


「し、視線が痛い」


私が教室に入った途端に、ざわめきが様子を変えてチラチラと見てこられる。


「仕方ないですわ。聖女様の妹様で、愛し子様ですもの。わたくしも浮かれてしまっていますし、気持ちはわかりますわ」


少し苦笑気味にソーニャにフォローされつつ、教室に入る。嫌な視線ではないと思うけど、ちょっぴり緊張。


席は自由でいいようで、デュオルに案内されるまま、奥の窓際の一番後ろの角に座った。前にデュオル、隣にソーニャが腰を下ろす。「二人で並んで座ったら?」と声を掛けたが、「姉からもくれぐれもと言われているので」と、デュオルに言い切られた。どうやらそれとなく守ってくれているみたい。


「なんか、ごめんなさい。わたくし、何も考えていなくて」

「気になさらずに。こちらこそ勝手に」


デュオルと二人、イヤイヤイヤイヤとお互い謙遜し合い譲らずにいると、「おあいこですね」と、ソーニャがクスクスしながら仲介してくれて、三人で笑う。


「へぇ。お高く止まっているのかと思っていたけど、普通に笑うんだな」


どかっ、という音が聞こえるくらいの勢いで、ソーニャの前に男子生徒が座り、私に向かってそう宣ってきた。

この学園には珍しく、ちょっとチャラっぽい感じの子だ。すでに制服も着崩しているし。しかも、黒目黒髪って懐かしすぎる。冷たい感じだけど、やっぱりこの世界は顔面偏差値が高い。前世だとヤンチャでモテるタイプだな。


「レン!失礼だぞ」

「え~、同級生だろ?しかもお前んちと家一緒じゃん」

「サバンズ家を同等に語るなよ。申し訳ございません、リリアンナ様」


私が呑気なことを考えているうちに、デュオルがその子を叱っていた。


「デュオル様、お知り合いですか?」

「はい。隣国の遠縁の者なのです。隣国では近年魔力を持つ者が減少しているらしく。我が国も徐々にその兆候がありましたが、ここ数年でまた上がってきておりますので…」

「たまたま高魔力の俺に、留学して探って来いと言われてね~」

「身も蓋もない言い方をするんじゃない!レンも姉様からきちんとって言われただろ?」


ふむ。確かにあまりお行儀は良くないけど。

貴族的にはNGなんだろうし。でも、悪い子ではないかな?念のための腕輪も反応しないし。


ただ。


「初めまして。リリアンナ=サバンズと申します。わたくしには、気軽にお声がけいただいて結構ですけれど、他の方へにはお気をつけあそばせ」


にこやかに、釘は刺そう。一応ね。


「デュオル様とソーニャ様も、わたくしには気軽にしていただけたら嬉しいわ」

「え、いいの?!やっさしい!ホレ、デュオルいいって!俺、レントール=ネーシス!レンでよろしく」


にかっと屈託なく返される。

うーん、話半分しか聞いてないな。貴族としては本当にどうかと思う、思うのだが何だか憎めない。懐かしい色味のせいもあるのかもしれないな~。友だちとは、こう話したいもんねぇ。


「だからいくらなんでも砕けすぎなんだよ!リリアンナ様、甘やかさないで下さい!これでもコイツ、伯爵家次男なんですよ!」

「デュオルもコイツって言ってるし~」

「うるさい!」


何だか友だちとキャンキャン言い合うデュオルも新鮮だ。きっとエレナの事件以降、自分もしっかりしないとと気を張っているのだろう。

私がもう少し楽に生きていいのでは?とも言えないし、言ってもいけないのかもしれない。けれど、せっかくの学生生活だもん。楽しくったっていいはずだ。


「ふっ、ふふっ。レン様って面白いのね。デュオル様のいつもと違う表情も新鮮!ソーニャ様、お二人はいつもこうなの?」

「そうなんです。まだまだお子さまなんです」

「ソーニャまで!」

「ふふ。いいじゃないですか。わたくしたち、まだまだ子どもですもの。ねっ」


にっこりと微笑むと、なぜかまた教室がざわついた。


「あ、あら?いけなかったかしら?」


精一杯猫は被りっぱなしのはずだけど~!と、キョロキョロしてしまう。


「あははっ、リリアンナ様も面白いじゃん!みんなもきっと話したいんだよ。なっ?」 


レントールがくるっとクラスメイトの方を振り返り、にかっと笑いながら言うと「だから、言葉使い…!」とデュオルが言いきる前に、


「はい!話したいです!」

「わた、わたくしも、よろしいですか?」

「ぼくも、お聞きしたいことが」


と、わあっとクラスメイトに囲まれた。


「レン!だから」

「デュオル様、ありがとうございます。わたくし、大丈夫ですわ。むしろ嬉しいですし」

「……リリアンナ様がそう言うなら」

「お二人の気遣いも嬉しかったのよ?本当にありがとう。それに、これからもよろしくね」


二人の目を見て、そこはしっかりとお礼を言う。デュオルとソーニャも照れたように笑顔を返してくれた。


「はいはーい!質問は一人ひとつな!」

「なぜお前が仕切る……」


デュオルの疲れたような突っ込みに、皆がどっと笑う。


担任の先生が来るまで、そのままなんやかんやと盛り上がり、オリエンテーションの自己紹介の前に、ほぼほぼ紹介し合うという、ちょっと愉快なクラスになりましたとさ。


陽キャすごいな~。


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