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『アウト・オブ・灰塵世界』【完結】  作者: 久瀬 風助@鬼叺 連
六歩目:戦獣奪還、開戦す
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~暴走、そして励起~(1)




 「地下居住区確認されていた懸念点…反国家組織は壊滅状態となりました。我々には免罪符もあったし、『軍罰主義者(トレーター)を匿っていた』事実も裏付けされています。


 目に見えない意思は知らぬ間に増えますからねぇ。土壌すらもめちゃくちゃにしてやりましたよ。ゼロを越えてマイナス…この国の反国家組織は、しばらくは出てこないでしょう」



 人の生き死にが交錯した。赤炎の襲う地下のとある場所を黒煙が覆った。その残滓は未だに消える事無く、地下居住区において最も高い浄化機構の作動が確認された。


 …にも関わらず、その語り手の紡ぐ言の葉には誰も取り合おうとせず、其処にいる全員が座した卓上に映り込む自らの顔を眺めていた。



 「……おやおや、どうされました皆様方?」



 まるで変わらない彼の抑揚、彼は至って大真面目だ。あくまでも彼自身が変容しないだけで、求められている要素を否定しているだけ。


 そんなキナリを察してか、一人。アサギが場の空気を残したまま彼に発言する。



 「……キナリ。善意で教えるが、キミの心証は今最底辺にあると考えておいた方が良い。信用も支持もない、虚ろな権威でなんとか踏み留まっている暴君でしかない」


 「………………」


 「『プロトタイプ計画』の廃棄から、キミはいつになく躍起になっていた。それは妄執か報復が原因だと僕は推察する。


 軍罰該当者(トレーター)となった理由…プロトタイプを持ち出した罪がトリガーならば、キミの性格上怒りの矛先は彼に向く。 それが今回。本当に、本当に上手く回っていただけだ」



 キナリは反論しない。朽葉が風に振り落とされるように、ただ迫る言の葉に身を任せている。



 「━━今こうして、嬉々と報告を続けられるような立場ではないだろう?ありもしない信用を担保にするのは……まるで自棄としか思えない」



 ━━10秒。


 ━━20秒。


 やはり、彼は口を開かない。何処か余裕のある表情は相変わらず、テコでもそのスタンスは動きそうに無かった。


 望まぬ臥薪嘗胆。比較穏やかであったアサギの瞳には明確な『怒り』が浮かんでいる。



 「話の腰を折るようで悪いが、ツクヨミでも一つだけ、この場で改めてほしい事項が確認された。元帥、発言の許可を」



 声を挙げたのはロマネスク。断ち切られた会話の隙間に収まる様に挙手をすると、一つ紙を携えて奥まった席を向いた。



 「━━許可する。報告を続けよ」



 申請許可により、彼は座した席から立ち上がる。同席していたウグイスからいくつかの書類を受け取り、彼は続ける。



 「…アカツキには生粋の破綻者(イレギュラー)以外にも、スサノオやアマテラスに配属される兵。その個体戦力の維持や後発の兵器研究におけるデータを取得する為に管理している人工破綻者(エゴ・イレギュラー)が存在する。勿論、戦場に出張ってもらう事もある、貴重な戦力だ。


 …そのデータが、一部『消失(ロスト)』している」



 ━━反応は無い。しかし空気は変わっていた。


 空気に蔓延する不信に火が付けば、後は確信が広がるだけ。沈黙の中、やはりというべきか。


 そこにいる者の視線は最も黒い者…キナリへと向いていた。



  「……皆様揃って、私を悪者扱いですか?」


 此処に居る者は少なからず、詳しい説明を求めるだろう。『何故居なくなったのか?』と。それは誰に求める? …勿論、一番疑わしいヤツだ。


 「疑心を招く行動、不遜な態度、素振(そぶ)り。……全部お前の撒いてる種だぜ、キナリ」



 不信が確信に。1が10に。要素が積み重なれば何れ、100を迎える。飽和した確信は『確定』へと変質する。


 ━━彼の手に握られている一つの書面は、それに値するモノだった。



 「俺はお前に事の、主に『関係性』についての説明を求める。お前がツクヨミから引き入れた、『クロガネ・ホーマ』に何をさせている?」

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