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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ラストストーリー編:第1章~虎の巻~
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Lastステージ8:虎ノ国【タイガーランド】⑦

"物語は数時間前に遡る……。翔琉ママの授業後、俺は狼牙と一緒に帰宅しようと正門の方に歩いていっていたんだ。


「あー、今日も翔琉ママの授業楽しかったね」

「そうだな……流石は、翔琉お兄ちゃんだ。全学園の生徒と教師が1度に集まる授業なんて、あれ以外無いもんな……」

「今日の晩飯なんだろーな……」

「翔琉お兄ちゃんのご飯、毎回美味しいよな。ついつい食べ過ぎちゃうんだけど、それを見越した上での栄養管理の行き届いた調理だから、いくら食べても太らないもんな」

「それ言えてる、あははは♪」


そんなこんなで、楽しく会話していると、正面入り口からライに似たような雰囲気の、老獪な虎獣人がこっちに向かって歩いてきたんだ。

最初は何事かと思ったけどーーー。


「あの、すみません……人を探しているんですけどーーー」


って感じだったかな?

そんな感じで話しかけてきたから、親切心に俺と狼牙はその話しに応じることにしたんだ。

その老獪な虎獣人は、俺たちにある写真を見せてきたんだ。

その写真に写っていたのは、雷の大魔導士ライ……つまり、俺の父親だった。


「雷の大魔導士ライをーーーお探しなんですか?」

「ああ。私の息子でねーーーあ、私の自己紹介がまだだったね。私の名前はインドラ。虎族族長にして、雷の大魔導士ライの父親なんだ。あと、光の大魔導士ボルの父親でもあるね」


ライパパの父親の話しを俺は前に、ライ本人から聞いていた。

だから、俺は身の上を話さないでおこうと思ったんだ。

なんせ、残虐な虎ってイメージだったからね。


「ついでに、孫の噂も聞いているから、会いたいんだよな……こんな私をお爺ちゃんとは呼んでくれないとは思うけどーーー」

「そうなんですか……お孫さんにも」

「ああ。えっと、それで君たちはこの人たちがどこにいるか知らないかい?」

「……雷の大魔導士ライなら、オールドアの研究ってことで、光の大魔導士ボルと時の監視者ディルと、始まりの塔に向かいましたよ」

「そうか……ここには居ないのか……じゃあ、私はこれで」


インドラのどこか哀愁漂わせ去ろうとしたその後ろ姿にーーー狼牙は折れたんだ。


「待ってください‼お孫さんなら、ここにいますよ」


そう言った瞬間に振り向いたインドラの顔は穏やかな笑みを浮かべていたんだけどーーー俺には、邪悪な微笑みにしか見えなかった。


「本当ですか?それは、いったい……」

「彼ですよ。彼の名前はジンライ。神魔法の後継者にして、今や伝説の男、天野翔琉と雷の大魔導士ライの1人息子です」

「そうかそうか……君が……いや、本当に探す手間が省けて良かったよ……」

「「え?」」


驚いたのもつかの間だった。

インドラが懐から取り出していた1枚のカードに、狼牙が吸い込まれたんだ。


「‼お前、狼牙になにを……」

「騒ぐなーーー大人しくしていろ……そうすれば、こいつの命は補償してやる……」

「……なにが目的だ」

「目的?あはぁ?なにってそりゃあ、孫だから連れ帰るだけだぜ?私のーーー虎族族長の後継者として育て上げるためにね……」

「俺がーーー虎族族長に?」

「ああ、そうだよジンライ。お前は白虎の直系である王族の血筋を受け継いだ男にして、異世界から来た最強の魔導士である天野翔琉の一人息子……うまくいけば、あいつさえも利用することが可能になるほどのジョーカーカードだ。なにせ、天野翔琉はお前を助けるために、冥界の神である悪魔神ヨルヤ=ノクターン殿を脅したーーーそれほどの実力者を虎族の親族にできればーーーコントロールできれば、我が虎族の繁栄は永劫のものになる」

「そんなこと……出来るわけ……」


すっと、俺の元にインドラは近づいてきた。

そして不気味な笑みを浮かべ、俺の耳元でこう言ったんだ。


「いや、無くはないだろ?分かってるんだろジンライ……お前と、お前の友達が私の手元にあればーーーコントロールなど容易い……」


俺が狼牙を見捨てれば、翔琉ママを救える。

でも、そんなことをすれば翔琉ママは一生俺を許さないだろう。

俺がこいつの元に行けば、翔琉ママも狼牙も助かる。

命だけはーーー助かるんだ。


「……俺はどうすればいいんだ?」

「いやぁ……ものわかりのいい孫で助かるよーーー。じゃあ、私と共に、今から虎ノ国【タイガーランド】に来てもらうかな……」

「……誰か助け……っ!」

「言わせないよ……」


ドスっと、鈍くて思い拳が俺の腹にめり込んだ。

そして、俺はその場に倒れ込んだんだ。

その時の様子を、女子生徒が見ていたらしくーーー。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼ジンライくん!誰か!誰か!翔琉先生‼」

「ジンライくん!」

「先生‼いや、誰でもいいから助けて!」


と、数人が騒いでいたのが聞こえた。


「む?見られてしまったようだ……さてさて、んじゃあまあ、できの悪い孫を連れていきますか……」


そう言って俺は、インドラに担がれて、誘拐されたんだ。

誘拐されるというか、脅されて連行された。

翔琉ママと、狼牙……そして、ボル伯父さんとライパパを守るためにーーー。

"


そう、ジンライが語り終えたところで、ボルとライ……そして何故かベルクーサスは号泣していた。


「ぁぁぁあぁぁぁ……いい息子だよ……ぁぁぁあぁぁぁ」

「えぐっ…ひっぐっ……いい甥っ子だよ本当に……」

「ヒクッ……ヒクッ……すげぇ、いいやつじゃん……」


虎族って、こんなにも人情に熱いんだね。

まあ、俺もちょっと涙腺が緩みそうになったけどーーーこれでわかったのは、今ジンライの救出には成功したわけだけど……まだ、狼牙救出が残ってるって事が分かった。

なんとしてでも、パーティで取り返さなきゃ。

俺の大事な義理の弟を。

例え血が繋がってなくてもーーー異世界の妹に託された大切な家族なのだから。


「それにしても……インドラの目的が、虎族族長の後継者探しだったとはな……」

「あれ?でも、そういえば、なんでインドラは虎族族長になってるのかしら?前のボルの話だと、ボルの本当の両親を殺して、誘拐されたボルを虐待して育てた上で、再婚した相手がライの母親ーーーそして、その時はライはいた訳でしょ?じゃあ、インドラとボルは血が繋がって無いし、インドラとライも血が繋がってないんじゃないの?」


このディルの疑問点ーーーまさに、正当すぎるほどの疑問だった。

確かに、それは謎だなーーー。


「その辺も一応当事者にきちんと聞くか……ちなみに、ライの母親って今は何してるんだ?」

「ん?あー、俺の母さんなら、族長の奥さんだから、この国の王妃って事になるかな……だから、女虎のみの聖域である白虎殿【大虎(おおとら)】って、ところで暮らしてるはずだよ」

「大奥みたいだな……」


まあ、とりあえず行きますかーーー大切な弟を助けるために。

そして、ライたちの因縁を終わらせるためにーーー。

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