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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ラストストーリー編:第1章~虎の巻~
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Lastステージ7:虎ノ国【タイガーランド】⑥

会場内は、静止していた。

それは、あり得ない光景を連続で目の当たりにしてしまったからだろう。

まずは、天野翔琉の息子の登場。

そして、優勝候補のベルクーサスが瞬殺されたこと。

そして、神魔法の攻撃を読んでカウンターを決める女。

最後に、神魔法状態の最強の光属性の攻撃を相殺する離れ業をする異質の女イミナの強さ。


それらをまじまじと、眺めている彼らは、技を放ったジンライでさえも、声すら上げることができずに、ただただその圧巻にして唖然としてしまう光景にうち震えているのだ。


「さて、ジンライ……それに、ベルクーサスさん。降参してはいただけませんか?」


そう言って俺は優しく促した。

優しく優しくーーー脅すように。

だらだらと、会場にいた誰もが汗を流して、そして怯えていた。

ジンライは、まるで生まれたての小鹿のようにプルプルと足を震わせながらも、その意見を拒否した。

ベルクーサスは、その承諾を受け入れ、すんなりと降参宣言をした。

これで、実質的には一対一。

だけども、ジンライは知っている。

決して俺には勝てないことをーーー。


「この脅し方……まさか、お前は……いや、そんなはずはない。だって、それなら匂いでーーー」

「この服……実は借り物でね。全くお節介だよね……彼女もーーー」

「……‼ディルの匂い……ってことは‼」

「しーっ♪ダメだよ、私の……その名前を言ったら。私の正体は、今はイミナでいいのさ……分かった?ジ・ン・ラ・イ?」

「は、は、は……はいーーーま、参りました……降参です……あと、さんざん酷い事いって申し訳ございませんでした……」


【うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼これで、ゲームセット!ジンライ選手の降参宣言によって、今ここに本日の優勝者が決まったぞ‼本日の優勝者は、初出場‼ダークホース、イミナだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼】


「「ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお‼」」パチパチパチ。

「「きゃああああああああああああああああ‼」」パチパチパチ。


会場中に響き渡るは、俺の勝利を祝うファンファーレ。

そして、凄まじく、始めてみる圧倒的強さに魅せられた者たちの歓喜の声が響き渡る。

やれやれ、また勝っちまった。

まあ、生意気に偉そうに他人に厳しくする親不孝者を叱りつけるには、いい機会だったのかな。

さてさて、じゃあ夜に拐った張本人インドラにも事情を聞くかな。

事情聴取をしましょう。

パーティ会場で、現地でーーー絶対に逃がさないから。

まあ、その前に……。


「ジンライ……お姉さん、正面入り口にいるから……来なさいよ?」


にこりとドスの聞いた声で、微笑んで俺はジンライに言うと、ゆっくりとゆっくりと、この会場を後にしたのだった。

後に、この事は伝説の女として語り継がれるが、この後ーーーこの女はコロシアムに現れることはなかった。

だからこそ、伝説として語り継がれる事になったのかもしれないよね。



「ふう……勝った勝ったっと……」


コロシアム会場から出た俺は、宣言通り正面入り口に立っていた。

久々に……っていうか、1週間ぶり?に、戦闘行為をしたな。

まあ、女装しながらってのも、いくつかの制約もついていたわけだけどね。

無事勝てて良かったんだけどーーー。


「イミナちゃん‼サインして‼」

「イミナさん‼握手して握手‼」


なんだ、この長蛇の列は。

あの戦闘直後、俺は今夜のパーティのチケットを貰ったんだけど……そのあとジンライとかディルたちを待っていたら、先程の戦闘を見ていたお客さんの方が早く出てきちゃった見たいで、俺のことを発見するや否や、長い長い列をつくって、すっかりアイドル扱いされてしまっている。


「イミナさん、デートして!」

「ばか!殺されるぞ!」

「イミナちゃん!その服どこで買ったの?」

「イミナちゃん、こっちみて♪」


大人気になっちゃったみたいな女装系最強男子だったのだったーーー。


「うわ……なにこの長蛇の列……」


そう言ってディルたちと、ぐるぐる巻きにロープで巻かれたジンライと、訳もわからずにボルと喧嘩しながらベルクーサスたちが、正面入り口から出てきた。


「あ、いたいた……か……いえいえ、イミナ♪こっちこっち♪」とディルがいったのが聞こえた。


「(ようやくか……)ごめんなさい、みなさん。仲間と夫が待ってますので、これにて失礼しますね♪」


そう言って俺は長蛇の列に並んでいる人たちに走りながらハイタッチして、仲間たちの元へと駆け寄る。


「ごめん、お待たせーーーイミナちゃんだぞ☆」

「「……」」


あ、やっちまった。

ってか、なんだこのキャラ。

横ピースしながら、ウインクってーーー。


「あははははははははは♪可愛い♪」

「もう、一生その姿で居てくれよ……あと茂みに……」

「俺はこれはこれでありだと思うぞ」

「イミナちゃん……素敵だ♪」

「はぁ……イミナお姉さん……それで、来たけどーーーっていうか、連行されたわけだけど……」

「うん、御足労ありがとう。早速で悪いけど、ジンライ……事情を話してくれるかな?なんで、この国にいるのか……インドラ族長がなにをしようとしているのか……ありとあらゆる今回のこと、今回の事件すべて……パーティまでに全てを語って貰うから……っと、その前にーーーボル、ディル……ここに異空間と時間停止魔法をかけてもらえる?」

「「OK」」


と、2人に魔法をかけて貰った。

そして俺は異空間にて、女装の魔法を解いて、早着替えで元の服に戻った。


「ふう……あー、キツかったキツかった……」


と、俺が伸びをしていると、ベルクーサスは目を輝かせて、俺の方へ近づいてきた。


「え!嘘でしょ?え?まじかよ……イミナちゃんの正体ってあなただったんですか?……世界最強の魔導士、天野翔琉様……」


まるで、慕っているかのようなその眼差しは、寝とるとか発言する無粋な男の目ではなく、純粋な綺麗な尊敬の眼差しだった。


「そうだよ。俺の名前は天野翔琉……普通で普通な神域魔導士さ♪ベルクーサスくん。さっきのコロシアムではごめんね。というか、受付の時点から騙してしまっていて申し訳ないね。これはこれで深いわけがあるのだけど……まあ、主にジンライのことでなんだけどね。いや、それにしても、俺の愚息が迷惑をかけてしまったねーーー怪我はないかい?あるなら、光治で治すけど……」

「え!マジですか!あの天野翔琉様に治して貰えるなんて感激です~♪」

「そう?じゃあ……光の魔法:光治」

「くぅぅぅぅ……これが、天野翔琉様最強回復魔法光治ですか‼ありがとうございます‼」


ベルクーサス……完全に、部活の後輩みたいな立ち位置になりつつあるな。

ってか、この状況を疑うこと無く、すんなりと受け入れているのがすごいな。

俺なら、大分動揺しちゃうけどな……。

さてさて、んじゃまあ、そろそろジンライに語ってもらおうかなーーーなにがあったのかを。


「ジンライ……それじゃあ、聞かせてもらおうかな。なにがあったのかを。あと、嘘をつかずに喋ってね♪嘘ついてたら、分かるからね?」

「うう……流石俺のママだぜぇ……ってか、翔琉ママ……その威圧的な喋り方そろそろやめてよ……怖いよ……」

「猫被って甘えてた子供に罵声浴びせられたあとじゃあ、怒って当然だよ。ほら、文句言わずに言いなさいーーー」

「はい……」


そして、ジンライは語り出す。

何故この国に拐われたのかーーーそして、インドラの目的を。

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