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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ノクターンフェスタ編:最終章~悪魔の息子~
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5thステージ41:導く解答

ビッグバン発動を止めるには、どうすればいいのか……それを考える前にそもそも、ビッグバンとはどういうものなのかを、簡単にでいいで、説明しておくことにしよう。

「この宇宙には始まりがあって、爆発のように膨張して現在のようになった」という宇宙創造に関する1つの考えである。

宇宙には、始まりがあるのかーーーそれを議論として持ち出したとき、多くの化学者は馬鹿にしたという。

まあ、昔は宗教とかの関係で、化学的な考えより、宗教の信仰的考えの方が重要視されていたから、当然といえば当然なのだが。

ビッグバン以前の宇宙というものを、その時誰も提言できていなかった。

むしろ、ビッグバン説が無ければ、爆発による膨張によって宇宙が広がっていることに説明がつかなかったところだ。

現在においても宇宙というのは、広がっている。

それは、ビッグバン発生時の爆発による膨張が未だに続いているからなのかもしれない。

だけど、宇宙が広がる規模の爆発が再び起きてしまったらーーー超高温の超高密のエネルギーが、宇宙中に、銀河中に、太陽系中に、地球中に……全ての世界、全ての星が焼き付くされ、全てが始まりの状態ーーーつまり、塵となるのだろう。

その高温高密には、生物は抗えない。

始まりの神、悪魔神でさえも、このビッグバン発生時は、宇宙外から監視せざる終えなかったほどのーーー神でさえ生き延びられないほどの、超爆発。

それが、ビッグバンだ。


「さてーーーじゃあ、そのビッグバンを止めるには、どうすればいいか……始まりの神ファースト、ならびに悪魔神ヨルヤ=ノクターン……お答え願いたい」


と、情報収集のエキスパートである太古の魔導士アニオンは、2人の……いや、2神に問う。

2神は、特にこのビッグバンを初めて発動させた始まりの神に関しては、なんら迷いもなく、なんら困らずに、あっさりと答えた「「相殺させればいいんだよ」」と。


「相殺させる?どうやって……」

「単純な話……プラスマイナスゼロにするってことさ。ビッグバンの逆を起こせばいいーーー単純にそれだけの話だ」


ファーストのこの発言に対して、同じく情報収集のエキスパートの炎の大魔導士は声を荒らげた「ビッグバンを相殺させるなんて事象……あるわけねーだろ!」と。

だが、ファーストはにこりと笑って俺を見た。

そして「あなたは知ってるでしょ?」と、俺に言い放った。

エンは、ギロリとこちらを睨み付けるように、食いつくように見た。

そして、他の仲間たちも同様に。


「「知ってるの?」」と、同時に放たれた言葉に対して、俺は頷いた。

そして、語るーーーその相殺させる現象について。


「あぁ……まあ、一応知っているというか、そういう事象があるってことは……机上の空論ではあるが、知っている……【ビッグクランチ】……だったかな?ビッグバンが膨張させる現象だとするならば、ビッグクランチは収縮させる現象……。宇宙創造と同時に、宇宙は膨張されてきた……だけど、同時に収縮も行われているんだ。それが、ビッグクランチ。収縮させるポイントとされる、特異点がどこかに存在していて、そこから少しずつ少しずつ宇宙を収縮させているらしいんだけど……ビッグバン時の膨張エネルギーの方が強いみたいで、膨張>収縮って図になってしまっているんだ。だから、収縮の力は弱いんだけど……もしも、その収縮させる力が強まれば……ビッグバンの逆が……つまり、創造の超爆発から、終焉の超圧縮が成り立つと言うわけだ……でいいのか?ファースト」

「うん、百点満点♪さすが、翔琉くん。私でも忘れていたことを良く覚えていてくれて♪」


おいおい、お前は忘れるなよ。

ってか、俺にふったのは、自分が忘れてたからかよ!


「それで、翔琉くん‼その収縮させる特異点とは、なんなんだ?」


フルートは食いつくように、問う。

どうやら、この宇宙の話に興味が出たようだ。

珍しいーーー歴史と植物にしか興味がない人だと思っていたけど……って、こんなこと思ってる場合じゃないな。


「【ブラックホール】……これが、特異点だとされていたかな。でもまあ、ビッグバンを飲み込むほどの……いや、相殺させるならばビッグバンと同質量のブラックホールを発生させる必要がある。だけどそのためには、ビッグバン発生時の熱量と質量、そして密度を計算して、同質量のブラックホールを発生させる必要があるんだよね」

「なるほど……因みに、翔琉くん。その計算は出来るの?」

「いや……例え出来たとしても、残り20分で終わるような計算じゃない……」

「じゃあ、どうするの?!それってかなりヤバイじゃん!」


確かに。ヤバイ。

これは、20分以内で、熱量……それも、密度と質量まで求め終えることは、不可能だ。

計算が【不可能】ということだ。

ということは、つまりーーー【勇敢】の能力を発動すれば、どうにか間に合うと思う‼

【不可能】を【可能】にする……。

どうにか計算を終わらせてやる‼


「計算については、なんとかする‼だから、みんなは、ビッグバンに対応できるほどの魔法を発動する準備をしておいてくれ‼計算を終えたら、直ぐに始める‼だけどーーー」

「そうだね……残り時間内に、俺が手を下さないとは限らないよね……天野翔琉の仲間たちよ……」


魔方陣を背に、アマギはギロリとこちらをにらみ散らしていた。

そして、彼は俺の邪魔をしようと、攻撃を仕掛けるが、呆気なくそれは弾かれてしまう。

それは、俺がおこなったことではない。

俺の仲間たちによって、弾かれた。


「翔琉ちゃんの邪魔はさせないよ!アマギ‼」と、リュウ。

「俺のハニートーストには、指一本たりとも触れさせん‼」と、ライ。

「翔琉さんは、私が今度こそ、守って見せる!」と、ヒョウ。

「やれやれ、花魁どもには敵わぬなっと……」と、トルネ。

「儂らが守ってやるか」と、グラン。

「じゃな」と、ホルブ。

「師匠……あなたは、ブラックホールの準備を」と、エン。

「翔琉くんの守護が優先よ」と、アニオン。

「愛する植物たちは守る!」と、フルート。

「大切な時間は終わらせない!」と、ディル。

「親友は守ってやる!」と、ボル。

「翔琉ママは、俺が助けるんだ!」と、ジンライ。


世界魔法連合全員は、邪神アマギへと立ち向かう。

そして、残ったアマデウスたちは、力を集結して、巨大な魔方陣を作る。

最後に、空いている穴に、俺が導き出した計算結果を入れれば、ビッグバン発生時と同時にビッグクランチが発動して、エネルギーが相殺される。

つまり、あとは、全て俺次第……。


「「翔琉‼頼むぞ!」」


全員に、一喝気合いを入れられた後、俺は【勇敢】を発動させる。

世界を救うためにーーー俺は今持てる全ての知識を、ここに示す‼



ビッグバン発生時における熱量、質量、そして密度を求めよ。それも、ハッブルの法則、フリードマン方程式、フリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量、一般相対性理論、Λ-CDMモデル、ダークエネルギー、ダークマターなど、宇宙に関する全ての知識を駆使して……。

現代科学でさえも、現代魔法でさえも、この知識を応用しても、使用しても、難しい。

少なくとも、数分で終わるような計算じゃないことは、分かるだろうか。

一度のミスが、世界を終わらせる。

質量や密度、熱量を間違えれば、世界はどのみち滅びる。

ビッグバンが大きかろうとダメだ、ビッグクランチが大きかろうとダメだ。

両者択一で、一定に天秤の上に平等に並ばなければならない。

並ばなければ、どちらかの力が傾いて、その瞬間に世界は消え失せる。

熱による終わりか、圧力による終わりか……。

だからこそ、間違えない。

絶対に!


「熱量……質量……密度……光の速度から……宇宙の成分から……膨張率から……」


ぶつぶつと、長々と頭をフル回転させ、能力を使役し、不可能を可能にしてみせる。

地面に描かれていくのは、長い長い計算式。

それをすさまじい速度で俺は、解いていく。

手が腱鞘炎になる……だが、構わない。

頭が破裂しそうになる……だが、構わない。

目が霞む……だが、構わない。

指から血が出始める……だが、構わない。

鼻血が出始める……だが、構わない。

世界を救えるのならば、この程度痛みですらない。過ちを犯した罰として、報いを受けよう。

だが、その報いを受けるのは、世界を救ってからだ‼


「……あと、もう少しだ……」


もう少しで、この計算が終わる……。

あってるかどうかは、確認している時間がない。

ぶっつけ本番でいく!


【ビッグバン発動まで、残り時間5分】

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