5thステージ38:天野翔琉vs邪神アマギ④
魔方陣……あの数列の意味合いを解けば、あれは打ち破れるだろうか?
様々な数が、バラバラに配置されているあの魔方陣……。
だが、所々穴がある。
つまりは、あの場所を求めろってことになるのだがーーーこの魔方陣が何を発動させる鍵となっているのか……そして、解くことによって、何が起こるのかーーーそれを知らなくては迂闊に動くことが出来ない。
だがまあ、答は解っている……。
あの魔方陣の空欄にはいる答は解った。
だが、あの魔方陣を解いたあとの出来事については解けない。
「さあ、天野翔琉……これで終わりだ」
「いや、ごめん……まったくそんな雰囲気してない……」
「この魔方陣で、お前を殺す……」
「???なにかを召喚するのか?」
「さて、どうでしょうね……まあ、この魔方陣の問題が解ければ……の話だけどね」
焦らしてくるアマギは、かなりの余裕顔だ。
これで終わらせる……そんな自信溢れる表情をしている。
そんなことをされてしまえば、ますますこちらから仕掛ける事が難しい……【可能】だが【不可能】だ。
いやまてよ……むしろ好都合なのか?
あの自信たっぷりな策略を完全に打ち破れば……あいつは敗北を認めるんじゃないのか?
なにも能力も使えない、なにも魔法も使えない、なにも出来ないと思い込んでいる……つまり、なにもできないやつに敗北する。
これは、人間だろうが、神だろうが、悔しいのではないのか?
悔しいという思いは、敗北感と同義だ。
ならばこそ、その点に勝機があるのではないだろうか?
「一か八か……やってやろうじゃん」
俺は魔方陣の空欄の部分の真下の地面にまで歩いていく。
そして、俺が答だと思う数字を書いた。
その地面に書いた数字は、魔方陣の光を浴びると、スッと上空の魔方陣の空欄に埋まった。
次の瞬間、魔方陣は輝きを失ったかに見えた。
みるみる、光が淡く淡白な色へと変化させていく。
魔方陣破り成功か?と思ったが、どうやら違う。
なぜなら、アマギの笑みは変わらなかったからだ。
笑みは変わらなかった……。
彼は笑う。
面白そうに笑う。
勝ち誇ったように笑う。
ざまあみあがれと言わんばかりに笑う。
笑う、笑う、笑う……。
笑う……?
「おや?」
と、魔方陣を見上げると、ヒビが入って割れていっているではないか。
ビキビキと、割れて行き、そして崩壊した。
「そんな馬鹿な‼この魔方陣が破られるだなんて……」
アマギは狼狽していた。
馬鹿なのかこいつ?
こんな魔方陣、下手すりゃ小学生でも解けるぞ?
「ってのは、嘘で……」
だよねー。
やっぱり、解いたらなにか起きるパターンだったようだな。
なんだなんだ?
なにか生まれるのか?
なにか召喚されるのか?
なにか攻撃が始まるのか?
なにか封じられるのか?
なにか守られるのか?
なにか始まるのか?
俺は色々考えていた。
さっきの魔方陣とはなんなのか。
そして、その意味は次に邪神が放った言葉と、その言葉のあとの世界の様子が全てを語っていたんだ。
「これで……この世界は終わる……」
邪神アマギのその言葉の直後、再び魔方陣が出現した。
と、同時刻に、巨大な地震がおき、この冥界という世界は、何もかもが崩れ始めた。
悪魔たちの住まう町も、山も、谷も、海も、植物も、何もかもが崩壊し始めた。
俺はーーーなにを解いてしまったんだ?




