5thステージ36:天野翔琉vs邪神アマギ②
反撃しよう。
そう……神に打ち勝とう。
でもその前にーーー。
「究極神魔法……【光治】」
まずは、傷付いた仲間たちを治すところからが先だろう。
ん?
魔法が使えないんじゃなかったのかって?
いやいや……単純に魔法が使えないーーーつまり、魔法使用【不可能】を、魔法使用【可能】にしただけだよ。
それが、俺の能力である【勇敢】なのだ。
光が仲間たち……そして、ヨルヤやファーストの傷を癒す。
アマギは、苛立っている。
せっかく傷付けた俺の仲間たちを、無下無下と回復させられてーーー。
「天野翔琉……そんな雑魚たちを治したところで、俺の相手はお前にしかつとまらぬぞ……」
「誰が他のやつに戦わせるって言った?お前の相手は俺だーーーはき違えるな、駄神が……」
「ムカッ!なにその造語……腹立つ……」
空中で地団駄を踏む邪神を目の前にして、俺は至って冷静に仲間たちに光属性最強防御魔法【絶対神域】をかける。
これで、アマギは彼らに手を出すこともできない……そして、仲間たちもこの戦闘に手出しは出来ない。
下手に手を出されると、かえってアマギの標的となってしまって危険だ。
今回の絶対神域には、光治を融合させてある。
だから、防御と回復……それを同時に行っている。
みんな、かなり重傷だから、一人ならまだしも、全員を完全に治しながら、アマギと戦うなどギリギリなところで【可能】だ。
だから、今回は勇敢の能力は発動できない。
否、発動しない。
この【勇敢】の特性としては、可能な時には発動しないのだ。
つまり、【可能】の場合は、自力で頑張れと……そういうキツイ能力でもある。
「天野翔琉……人間風情が、この俺に勝てるとでも思っているのか?」
「勝ってやるさ……これまで通り……完全勝利でな‼」
「抜かせ‼戯け者め‼」
再び終焉魔法が俺を襲う。
黒い花びらが、ひらひらと舞い降りる。
触れれば死ぬ呪いの花……。
先ほどのように、計算ですべてかわそうとするが、その時アマギは次なる魔法を放っていた。
「光の魔法:天照大御神」
強烈な光の塊が、俺の頭上より飛来する。
これはかつて、メイオウ戦で俺が使用した、殲滅広域魔法じゃないか!
やばい!
細かい花びらをかわしながら、この全てを覆い尽くしてしまうほどの光をかわすーーーこれは、可能か不可能か。
答:可能だ。
「時の魔法:逆時!」
攻撃時間を巻き戻して無かったことにしてしまう魔法ーーーこれは、俺がみんなと修行して、初めて神魔法での本気を出した時に、ディルが見せてくれた魔法だ。
時空間魔法……これは、闇と光属性の魔法だ。
空間は闇属性……時は光属性。
光ならばーーー神魔法で、隷属させることが【可能】だ。
黒い花びらも、強烈な光の塊も、消し去った。
「さて、アマギ……次は……‼」
既に奴の攻撃は始まっていた。
「審判魔法:解約宣言……拒否系と時空間魔法を対象とする‼」
この魔法は、かつてジャッジが使ってきた魔法使用禁止魔法。
特定の魔法を封じ込めて、発動できないことにする魔法だったかな?
いままあ、ディルたちから聞いた話だからなんとも言えないけど……。
後々俺は、過去へと召喚されるらしいのだが……。
まあ、これはその時の復習だと思っておこう。
つまり、今……指定された魔法を使うことが【不可能】になっているだけだ。
いい加減分かれよな、アマギ。
俺が【勇敢】を発動しているときは、【不可能】なんて事をしてはいけないんだぜ。
だって、【不可能】が生まれると【可能】に変えてしまうのだからーーー。




