5thステージ34:復活の雄叫び
アマギは悪寒を感じた。
だからこそ、俺に向かって攻撃したんだろう?
強大で邪悪な魔法の光弾は、ファーストを退け、そのまま天野翔琉……俺へと飛んでくる。
だがまあ、俺は徐にスッと立ち上がると、その光弾を弾き飛ばした。
そして、その瞬間、俺の身体から、ジンライが飛び出した。
そう……俺は蘇ったんだ。
「天野翔琉……」
と、歯軋りを立てながら、邪神アマギは俺を睨み付ける。
辺りを見回すと、それはそれは凄惨な光景だった。
悪魔神ヨルヤ=ノクターンは、半身をもがれ、先ほどのファーストは、血まみれで横たわっており、他の仲間たちは気を失った上に、痛め付けられたような痛々しく生々しい痕があった。
「よくも……よくも……よくも……」
と、俺は激怒した。
俺は現在も変わらず魔法が使えない。
それは保証しよう。
「天野翔琉……天野翔琉……天野翔琉‼死ね死ね死ね死ね死ね‼お前さえ……お前さえ消えれば、俺は完全に復活できるんだ‼もはや、兄を殺すなんてどうでもいい……最期に俺を倒したお前さえ消せれば、俺は完全復活出来るのだ!」
「そんなご都合主義のために……俺の仲間たちは傷つけられたのか……そんな身勝手なことに俺の息子は操られたのか……そんな逆怨みで……なんともまあ、子供みたいだね……」
「なんだと……貴様!言うことかいて、俺を子供だと!なめ腐るな!人間無勢が!」
「……うるさい」
「‼」
黙れよアマギ……。
お前の戯れ言はもう聞きあきた……。
「アマギ……お前を今度こそ、完全に封印してやる……もう二度と悪事ができないように……もう二度とこんなことが起こらないために……」
「は!言ってくれるね……お前には神魔法もなければ、閃光矛すらもない……そんな状態で俺に勝とうだなんて、ちゃんちゃらおかしいねぇ‼」
「俺には……まだ、能力がある」
「なんだと!?」
アマギは驚いていた。
ハッタリかもしれない……でも、相手はあの天野翔琉だ。
本当に持っているかもしれないーーー。
そんな不安なことが伺えるほどに、表情が曇ってきた。
もちろんこれは、俺のハッタリではなく事実だ。
かつて、天野蘚琉戦前の世界決戦時において1度だけ発動できた能力だ。
あれから、なんども試したけど、結果としては発動させるには至っていない。
だが、始まりの神ファーストは言った。
俺は逆境であればあるほど、その力を増すというやつだと。
ならば、発動できるだろう……いや、発動させてみせる!
「発動しろ、俺の能力‼【勇敢】‼」
その瞬間、俺は美しい虹色の光に包み込まれ、あの究極神魔法発動時のような姿へと変わっていた。
どうやら、うまくいってくれたようだ。
勇敢という能力……それは、不可能な事を可能にするという能力だ。
人間は生きているだけで、不可能を可能にする力を生まれながらに持っているーーーだからこそ、この能力は、人間を表すに相応しい能力とも言える。
神を打ち破るのに、人間の力を使う……それは、人間風情と、罵っていたアマギにとっては最大の屈辱だろう。
だからこそ、この魔法で勝つ必要がある。
神という枠にはめられた男を打ち倒すにはーーーこの、人間の力で勝たなければならないのだ。
「いくよ、アマギ!これで終わらせる……お前との戦いをな!」
さあ、最終決戦の幕開けだ!
みなさんどうもです。
いよいよ、このシリーズも大詰めです。
そろそろ、ファントムソウル編(以降FS編)とミラージュエンド編(ME編)、そしてパラノイアクライシス編(PC編)の間の天野翔琉の軌跡であるJMGの方も書かなきゃなーと思いながらも中々書けなくて(^-^;
引き続きMWを御愛読していただけると幸いです。




