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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ノクターンフェスタ編:第5章~悪魔の懺悔~
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5thステージ31:眠る母の傍らで

「ん……ここは?」


爆音が鳴り響く冥界の中で、とある人物が目を覚ました。

そして、彼が起き上がって一番始めに目に入ったのは、自らの母親が胸に槍を刺された状態で、ぐったりと倒れていた様子だった。


「え……翔琉ママ……」


そういって、ジンライは上体を起こすと、始まりの神ファーストがすぐそばにいた。

そして、上空では邪神アマギと悪魔神ヨルヤ=ノクターンの壮絶な親子喧嘩を繰り広げていた。

互いに互いの命を確実に潰しに、殺しに行く……そんな酷い戦闘を。


「なんだ、これは……」

「ジンライくん……ここは、冥界よ」


そういって、ファーストは倒れていた天野翔琉を抱き上げ、ジンライのそばまで連れてきた。


「さて……突然だけど、あなたを今から天野翔琉くんの精神世界へ誘うから……」

「え……ちょっと、唐突すぎてなにがなんだか分からないんだけど……確か俺は、地上で……あ……あ……ぁぁぁぁぁ……」


ジンライの瞳からはボロボロと、涙が溢れ落ちてきた。

彼は再び思い出してしまった……自らが、仲間たちを殺してしまったことを……。

そして、天野翔琉に槍を指したことを……。


「ジンライ‼しっかりなさい!」


バチン、とファーストはジンライの頬をぶった。

その痛みで我に帰ったジンライは、ぐっと涙を腕で拭き取り、ファーストの目を見つめた。


「それで……今はどういう状況なんだ?」

「邪神となってしまった、愚息アマギの復活……そして、天野翔琉くんが瀕死……それに怒ったヨルヤが、アマギをぶっ殺そうとして、戦闘中……というわけ」

「それで……俺は、今から送られる翔琉ママの精神世界で何をしてくればいいんだ?」

「眠ってしまっている天野翔琉くんを取り巻いている邪念を倒してきてほしいの……そうすれば、槍は消え去り、天野翔琉くんは蘇る……でも気をつけて……邪念は相当の強さよ……」

「だけど、俺……邪神魔法を発動して、翔琉ママの事を傷つけたし……地上では……仲間を……俺に翔琉ママを救う資格なんてないよ……」

「安心しなさい……地上のあなたの仲間たちは無事よ」

「え!?」


嘘だろっと、ジンライは驚いていた。

だが、事実だった。

ファーストがパチンと指をならした瞬間に、ジンライが消してしまったと思っていた仲間たちが突如現れた。

みんな、気を失っているようだった。


「みんな……どうして……」

「究極神魔法状態での神之憤怒は、【昇華】の能力で進化していた。そして、光属性の魔法の特徴は聖なる星々の光……つまり、悪い者を討ち滅ぼす魔法。あなたが、放った魔法はまさにそれを強く表した魔法でね……まあ、善人でも受ければ瀕死になりそうにはなるけど、消え去りはしない。だけど、あなたの目の前では消え去った……それはなぜか。まあ、ぶっちゃけるとアマギが、あなたが彼らを殺してしまったように見せたかったのかもね。だからこそ、空間魔法であなたの目の前から消してたって訳……んまあ、その飛ばされた空間を特定して奪い返しておいたから、もう彼らは無事よ♪」

「うぅぅぅ……よがっだ……よがっだよぉぉぉぉ……」


自責の念で埋めつくせれそうになるほどに、ジンライの心は押し潰されそうになっていた。

だが、こうして……こうして、仲間たちの無事と、自身の無実が証明された今……闇に埋めつくされていた心から、闇は消え去った。

仲間という(きぼう)がいるからだ。


「んじゃほら、あと一人……救う相手がいるでしょ?」

「……うん!」


そういって、ファーストはにこりと笑う。

同様に、ジンライも、涙を拭き取り笑っている。

そして、ファーストはジンライの頭を撫でて「じゃあ、救ってきなさいな‼大好き母親を‼」と言った。

ジンライもそれに応えるべく、大きな声で「分かった!いってきます!」と言った。


そして、次の瞬間……ジンライが光に包まれたと思ったら、ジンライの姿は消えた。

その光は、天野翔琉へと流れていく。

彼は行く……天野翔琉の精神世界へ。

最愛の親を救うために……。

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