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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ノクターンフェスタ編:第4章~悪魔の支配~
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5thステージ28:闇討ちされた男

話しは再び冥界へと戻る。

天野翔琉の脱出は、叶わなかった。

そのため、この冥界にて、始まりの神ファーストと、悪魔神ヨルヤ=ノクターンの戦闘を見守るポジションに立っていた。

早く地上に戻って、ジンライを保護し、邪神魔法を封じなければならないのに……と、天野翔琉は憤りを感じていた。

しかし、肝心の地上へと繋がる門が、地上へと繋がっていないという事態のため、帰りたくとも帰れないのだ。

その間に、自身の息子が記憶を司る悪魔マクスウェルに捕まってしまった事なんて露知らず、この文字通りの頂上決戦を見守る。


「ファースト!翔琉を渡せ!」

「嫌よ。翔琉君は渡さないーーー」

「ファァァァァァストォォォォォォォォォォォ‼」


ヨルヤは、ファーストに向かって黒い光弾を飛ばすが、彼女はそれらを鮮やかにかき消すのだった。

まるで、(いにしえ)からの伝承の舞を踊るように、彼女は優雅に美しく戦う。


「魔法じゃ、らちがあかねぇな……」

「じゃあ、能力で戦うかしら?ヨルヤ=ノクターンくん……」


能力(アビリティ)……それは、限られたものしか持たない固有の技と言ってもいいだろう。

かつて戦った天野蘚琉という女性……そして、その義理の息子である天野狼牙は【捕食(ハングリー)】という能力を持っていた。

この捕食という、能力はエネルギー源を無限に喰らいその力を使役できる、というものだった。

そして、始まりの神ファーストと悪魔神ヨルヤ=ノクターンもまた、能力保持者。


「【始光(はじまりのひかり)】」

「【終闇(おわりのやみ)】」


始まりの神ファーストの始光、悪魔神ヨルヤ=ノクターンの終闇……それぞれが発動した。

始まりの神ファーストの始光という能力は、自らを光として闇を打ち祓う、云わば【究極の聖なる光】に自らを変化させ、聖なる光の加護を与える力を持つ。

悪魔神ヨルヤ=ノクターンの終闇という能力は、自らを闇として光を打ち祓う、云わば【究極の不浄なる闇】に自らを変化させ、暗黒の闇の力を使役する力を持つのだ。

言うなれば、究極の防御vs究極の攻撃という状態だと認識していただければ幸いだ。


聖輝(ホーリーライト)‼」


ファーストの攻撃……聖なる光が、ヨルヤを包み込む。

しかし、ヨルヤの闇の力の前では、効果はないようだ。


闇夜(ダークナイト)‼」


ヨルヤの攻撃……邪悪な闇が、ファーストを貫く。

しかし、ファーストの光の力の前では、効果はないようだ。


「いや、終わらねーだろそれ‼」


と、思わずツッコミを入れたのは、天野翔琉だった。

相反する2つの力……だが、両方とも力的に拮抗しているこの状況では、プラスマイナスゼロという、ことになってしまう。

永遠に繰り返されそうな無謀な能力による戦闘……。

そんなこと、されてしまえば、永遠に終わらない戦いを見守るという拷問に近いことを彼はやらねばならなかった。

だからこそ、勇気を出して、思いきって戦闘を中断させたのだ。


「なによ、翔琉くん……邪魔しないでよ」

「翔琉……待ってろ、今迎えに行くからね……」

「いやお前ら戦闘再開させようとするな‼まあ、話聞けよーーー」


と、天野翔琉は始まりの神と悪魔神を取り合えず地上に降りさせた。

そして、彼は再び話しをするのだった。


「君らの能力は、見事に拮抗しいるんだから、永遠に繰り返されそうで怖いんだよ……永遠にうやむにされてグダグダと戦闘を続けられるなら、もうこの際だから、スパッと戦闘終わらせようよ」

「いや、でも翔琉くんよ。仮にも神と悪魔の戦いなのだから、スパッと終わらせたら威厳もへったくれもないんだけど……」

「そうだぞ翔琉‼早くお前を俺のものにしたいけど、戦闘だけは威厳と品格のある戦闘じゃないと、誰も納得しないぞ‼」

「んー、まあ、そうなんだけどさ……でもさ……やっぱり……‼危ない!」


そういって、天野翔琉は始まりの神ファーストと悪魔神ヨルヤ=ノクターンを押した。

その直後、彼の胸に光と闇の槍が刺さった。

そして、そのまま、天野翔琉は地へ倒れていった。


「嘘だろ……翔琉……俺の翔琉が……」

「誰よ!」


と、ファーストが声を荒らげると、その槍の飛んどきた方向……地上へと繋がる門から、天野翔琉の息子ジンライと、記憶を司る悪魔マクスウェルが現れた。

そして、マクスウェルは言う。


「おやおや、ジンライ様……今度は、最愛の親を殺してしまったようだね……あそこで槍に刺されているのは、お前の投げた槍に刺されているのは……愛しい愛しい天野翔琉だろ?」

「え……翔琉ママ……え……俺がやったのか……うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」


ジンライは苦しみのあまり、過呼吸でその場に倒れてしまった。

そのジンライを踏みつけて笑うのは、記憶を司る悪魔マクスウェル……。


「マクスウェル‼貴様!俺の親友になんてことを!」

「黙れよ、くそ親父……役立たずの、クソニートの分際で、俺に命令してるんじゃないよ……」


ピクッとその言葉を聞いたファーストは、ギロリとマクスウェルを睨み付ける。


「……お前、マクスウェルじゃないな?」


と、ファーストは言う。

すると、マクスウェルとおぼしき者は笑う。

笑う。

笑う。

笑う……。

そして、笑い終わると、自らの顔に手を当てる。

次の瞬間、青白い炎に包まれたと思ったら、マクスウェルの皮膚が焼け落ち……そこから、出てきたのは邪神アマギだった。


「あったり~♪さすが、母さんだね♪」

「「アマギ‼」」


ファーストとヨルヤは声を荒らげた。

その場にいたのは、2人の間にできた息子であり、邪念に囚われた哀れな神【アマギ】だったのだ。

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