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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ノクターンフェスタ編:第4章~悪魔の支配~
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5thステージ25:再会

俺はボルに連れられ、あの懐かしい家へと帰っていた。

ジンライたちと住んでいた思い出の家へ。


「■■を抱っこ♪」

「うん、着いたから降ろして……」


現在俺は魔法が使うことが出来ない状態なので、ボルに抱っこされる形で、空を飛んでこの場所に来たのだが……一向に解放してくれる気配はない。

むしろ、懐抱されてしまっている。

もう、こうなったら暫くは離して貰えなさそうだ。


「ところで、ジンライたちは居るの?」

「ん?いや……ジンライなら、部屋に結界張ってしまって、引きこもってるぞ?」

「結構ヤバイ状況じゃんか、それ!」


さらっととんでもないこと言いやがったな……。

なら、尚更行ってあげないと。


「■■?その前に、力を取り戻しておかなくていいのか?」

「あー……アマデウスたちは、別の場所なの?」

「いや、この家の中にいるはずだけど……俺と同様で、お前のこと忘れちまってるんだよ……」

「いや、構わないよ。無理矢理にでも思い出してもらうから……」

「そうか……じゃあ、行くか」


そして俺たちは家の中へと入っていくのだった。



家の中は、ゴミ屋敷となっていた……って、ええ?


「なんだよこれ!」


と、俺が声を荒げると、2つの神と1つの武器が顔を出した。

そう、アマデウスとレネン、そして閃光矛ライトだ。


「あれ?ボル?その人誰?お客様?」

「ふむ……見たところ、中性的な少年じゃな」

「まさか、拐ってきたのか?」


こいつら……歳喰ってるからって、ボケすぎにも程があるだろうに。

あ、いやそうか……記憶なくなってるんだっけ?

ならボケじゃなくて、者忘(ものわす)れってやつか。


「やあ、久し振り。アマデウス、レネン、ライト」

「「「???」」」


あれ?やっぱりだめか……忘れてしまってるんだし、当然は当然だけどな。

マクスウェルを倒せば、俺の名前もきちんと発音出来るんだろうし、記憶も甦ると思うんだけどね……。


「まあ、なんにせよ……いらっしゃい。かなり散らかってしまってるけど、ゆっくりしてくれ」

「……じゃあ、ゆっくりする前にここ掃除していいかな?ゆっくりできねーよ……」

「あー、大丈夫大丈夫。もうすぐ、ここの嫁さんが帰ってくるから……」

「嫁さん?」

「そうそう……上にいるジンライのお母さんにして、雷の大魔導士ライの嫁さんである……マクスウェルがね」

「‼」


なんだって……。

マクスウェルが嫁さんが?

何をいってるんだこいつら……。


「おや……知らなかったのか?ジンライのお母さんってマクスウェルじゃんか。忘れちゃったのか?」

「ボル?お前までどうしたんだ?ジンライは……ジンライは……」

「いやだからさ、ジンライはライとマクスウェルの血から生まれたんだろ?あの雷の大魔導士の神殿でさ……」

「そんな……」


記憶が消されたんじゃない。

記憶がねじ曲げられている。

別のものに置換されている……だから、俺の存在が消されたんだ。

だけど、ボルは俺の匂いは覚えている……ってことは、俺の記憶はどこかに眠っているはずだ。

マクスウェルがくる前に、ここを離れないと……‼


「ボル?離して?」

「離すわけ無いじゃん……お前は、ここに誘き寄せられたターゲットなんだから……」

「え?ボル……?」

「大丈夫だよ、もうすぐ冥界に送り返してあげるからね……■■……」

「洗脳系?いや……この感じは、支配系の……」


ギュッと、爪を立てられ深々と俺の身体にはボルの爪がどんどん刺さっていく。

これは、本当にまずい……。

痛さよりも、なにより……記憶を司る悪魔に、発見されたら、俺まで記憶を歪められてしまう可能性がある。


「ジンライ‼ジンライ‼」

「無駄だよ……ジンライは、戒めの呪いで魔法を封じている上に、結界の中に閉じ込めている……だから、あいつは出られない……」

「ジンライ‼俺だよ!■■だよ!名も言えないけど、正真正銘、お前の親だ!ジンライ‼」

「黙れ」

「……‼」


がばっと、口元を押さえつけられ、俺は声を出すことができなくなった。

バタバタと暴れる度に、ボルの爪がズブズブと刺さっていく。

痛いなんて形容で終わらせられてたまるかというほど、痛い。

身体も痛いし、心も痛い。

騙された……それも、親友に。


「■■……マクスウェルが来るまで、おとなしくしていてくれ……そうすれば、楽になる……」

「(お願い……この声が聞こえていたら、助けてくれ……ジンライ……ジンライ……ジンライ‼)」

「なにやっとんじゃ、お前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


その怒号と共に、ボルは蹴り飛ばされ、アマデウスたちの方へと飛ばされた。

その蹴りを放った正体は、祈る声を聞き届けてくれた俺の最愛の息子ジンライだった。

戒めの呪いで自らの能力を封印されていても、自らの魔法を封じられていても……ジンライは、助けに来てくれた。


「ジン……ライ……」


絞り出すように俺は言う。

アマデウスは声を荒げ、何故ここにいるのか……どうやって結界を解いたのかなんかを聞いているけど、ジンライ曰く「会いたかったよ、ママ♪みんなや俺は、ママの名前も顔も忘れてしまっていたけど……俺だけは、違った。ママに対するこの思いだけは覚えている。いつも一緒に居てくれて、いつも可愛がってくれて、いつも甘やかしてくれて……我が儘させてくれて……でも、時々真剣に怒ってくれる。それが俺のママだ♪だろ?」だそうだ。


「ジンライ……ありがとう」


俺はジンライの差し伸べた手を取り、立ち上がる。

そして、立ち向かうとしよう。

最愛の仲間たちと、それを操る悪魔に……。

マクスウェル……お前を倒して、みんなの記憶を取り戻して見せる‼

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