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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ノクターンフェスタ編:第3章~悪魔の執行~
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5thステージ22:悪魔の絶望

始まりの神ファースト&天野翔琉ペア。

この2人……この1人と1神の特徴は、チートなのだ。

単的に言えば本当にそれだけの話なのだ。

片や、世界を造り出した女……片や、異世界最強の魔導士ーーー聞く人が聞けば、ガタガタと震えて戦闘不能になるくらいのつよさを持つ者たち。

この者たちの協力戦闘(タッグバトル)というのは、例えヨルヤ=ノクターンと言えど……小指で宇宙を滅ぼせるほどの力を持つこの悪魔と言えど、そう簡単に手を出すことは出来ない。

冥界最強最悪の力を持つ悪魔神が手を出せない以上、たかだか一介の傲慢の悪魔であるルシファー風情が手を出すことなど、夢のまた夢ーーー彼女は何も出来ずに立っているだけだ。


「なあ、始まりの神……降ろしてくれよ……」

「ダメ!あんた今魔法使えないってこと忘れないでよ?」

「いや……魔法使えなくても、迷宮から抜け出せたんだから大丈夫だって」

「もう、仕方がないなぁ……」


フワッと、シャボン玉のような物に包まれた天野翔琉はそのまま地面へと降下していった。

それを見たヨルヤはチャンスだと思い、シャボン玉を割ろうと亜音速で近づくが、すぐさまファーストによって、カウンターを取られてしまう。

そのまま、奥の方に聳え立つ岩山を通過し、ヨルヤは空の彼方へと消えた。


「ふん、脆弱な紐男が……その程度で、翔琉くんを手に入れようとかほざきやがって……」

「始まりの神……発言がブラックだぞ」

「いいのよ……ここは冥界……可愛い子ぶる必要なんてない世界よ……強き者が頂点に立つ弱肉強食の世界……ふふふ……血沸き肉踊るとはこの事よね」

「いや、意味が違う気がする」


こんな風に始まりの神ファーストと天野翔琉は、ほのぼのとしたような会話だが、周りは圧倒的な威圧感と恐怖で全く動くことを許されない状態なのだ。

悪魔の神といえる存在ーーーヨルヤ=ノクターンすら、子供扱いするような実力者に、神より下の悪魔たちは、身動きすることさえも許されなかった。

いや、天野翔琉たちはその事をダメとか、命令しているわけでも、殺意を放っているわけでもない。

ただ言えるのは、この異質とも呼べるような優しさが空間を多い尽くしているだけだ。

安心できる優しさ……されど、現状は恐怖の光景。

この事が、むしろ悪魔には恐ろしくて堪らなかった。

安心できるのに、危険……それは、生物にとって、なにを意味するか……。

悪魔たちが平然と他者に行ってきた死と言う取引……まさに、悪魔ルシファーは、自身の首に落とされるギロチンを自ら握っているような状態なのだ。


「勝てるわけがない……この……偽善者たちに……」


涙を溢し、あまつさえも失禁してしまっているルシファーは、そういって気を失ってしまった。

あまりの恐怖に……あまりの優しさに……あまりの強さに……。

これが無血勝利……と言うものだろう。

相手に勝てないと思わせること……それこそが、強者が弱者にできる唯一無二の教えだろう。



「痛いな……ファーストめ、思い切り殴りやがって……」


数千キロ離れた瓦礫となった岩山の中で、ヨルヤ=ノクターンは、笑みを浮かべながらそう呟いていた。

天野翔琉を手に入れること……それは、彼の望みだった。

始まりの神の眠るとされたピラミッド内に描かれたあの絵は、ヨルヤが適当に書いた未来の出来事だった。

絶対に起こらないと思っていた未来……それを、1人の普通な人間によって成されてしまった時、ヨルヤは今と同じように笑みを浮かべていた。

それは何故か……自分が不可能と思っていた事を成し遂げた存在が現れたからだーーー死んでしまった始まりの神の代わりを努められる、新しい玩具(おもちゃ)の登場に。

だけど、その玩具になる人物に初めて出会った時……ヨルヤの気持ちは大きく変化した。

瀕死の様子で、精神の狭間の世界を漂っていた、その男……天野翔琉には、明確な意思と強さが備わっていた。

ヨルヤにとって、死に瀕した……壊れかけた玩具など、興味はなかった……。

だが、この天野翔琉は違った。

死に瀕した状態ですら、生き返る方法を模索し、自らに試練を与える……そんな存在。

それは、ヨルヤにとって、生まれて初めての衝撃が走った瞬間だった。

「玩具にするなんて、そんな勿体無いことしたくない……それならば、親友になりたい……そして、一生そばに置いておきたい……」と、ストーカーのような心理へと変化してしまった悪魔神ヨルヤ=ノクターンは、だからこそ天野翔琉を欲している。

だからこそ、彼は笑い続ける。

再び、何かに全力で取り組むことができる嬉しさを得たのだから。

始まりの神から、天野翔琉を奪い返すという無理難題とも言えるべき課題へ……彼は進む。

無垢で残虐な子供のような心と思想を持ってーーー絶望という快楽へと溺れていくのだった。


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