5thステージ3:冥界へ
冥界の入口……それは、オールドアのある塔の地下にある。
その前には、1匹の強面のムキムキな悪魔が立っていたが、案外話してみると楽しい人……いや、悪魔だった。
「天野翔琉様御一行ですね、ヒョウ様より言付かっております。あーあと、天野翔琉様には、これをとーーー」
と、翔琉ママだけ何故か金色のチケットみたいなものを貰っていた。
なんだろ、あれ?
「では、どうぞ冥界へ……今宵は、冥界の年に一度……更には今年は、我等冥界の悪魔の王であらせられるノクターン様の生誕祭も兼ねておりますゆえ、盛大に悪魔の宴が執り行われる事になっておりますので、お楽しみくださいね♪」
悪魔の宴ってーーーすげぇ、表現だな。
そして、冥界の扉は開かれた。
俺たちは、その扉をくぐって冥界へと向かうのだった。
冥界ーーーイメージだと、死者たちが使役され、地獄のような場所かと思っていたけどーーーなんたか、いたって拍子抜けだった。
まるで、日本庭園のような美しい建物や、庭があるいたって普通な場所だった。
入口からすぐに正面に見える豪華なお城みたいなのはなんだろう?
「あの正面の建物が、悪魔の神が眠る【十戒社】だよ」
と、和服姿の美女が、語ったーーーというか、ヒョウじゃん‼
いつの間に!
「ヒョウ‼久しぶり♪」
「あら、翔琉さん、御無沙汰してますわね。それに、みなさんも……本日はこの世界へと来ていただいてありがとうございます♪」
「冥夜祭か……悪魔のお祭りって聞いていたけど、なんだか全然悪魔ってイメージと違うね」
「悪魔は、別段人間や他の生物に危害をくわえたり、魂を奪うなんてことはいたしませんのよ。単に、契約した者が契約違反を犯した場合、この冥界の法律で裁くーーー単にそれだけですわ♪」
冥界にも法律ってあるんだーーー甘い話には裏があるって言われてるけど、この場所だと、話の裏には必ず法がついているだな。
「ん?あら?翔琉さんーーーその金色のチケットって……」
「ん?あー、これ?なんか、入口にいた人……いや、いた悪魔に俺だけ貰っちゃったんだよね……って、ヒョウからのプレゼントって訳じゃないの?」
「いやいや、私程度では、その金色のチケットを手に入れることすら叶わないのに……一体何故?」
「ん?あー、そういえば悪魔の友達が、1人いるから、そいつからかな?」
「悪魔の友達?」
すげぇ友達要るんだな……やっぱり翔琉ママは凄いなー♪
「名前は確か……ノクヤくんだったかな」
「ノクヤ……聞いたことない名前ですわね……」
「まあ、俺も1回しか会ったことないから、詳しいことは分からないんだけどねーーー」
それでよく友達って言えるよな……っと、俺たちの脳裏に同じ言葉が浮かび上がった気がした。
翔琉ママって、あーいうところは天然だから、好意を行為でしか受け取れないんだよな。
「なあなあ、ところでその金色のチケットは、なにができるチケットなんだ?」
と、俺はヒョウに聞くと、ヒョウは苦い顔をしながら「十戒社内の特別行事に参加できるチケットよ」と答えた。
十戒社っていうと、おとぎ話の悪魔神ヨルヤ=ノクターンが眠る場所じゃなかったっけ?
「そんな、場所に翔琉ママが招待されたって、なんだか変じゃないかな?」
「んー……まあ、そうなのよね……普通ならば、最上位の悪魔とか側近だけでやる行事に、なんで翔琉さんが参加することになったのか……実行委員会に一応問い合わせてみますね」
と、ヒョウはすたすたと去ろうとしていたが、ぽんっと手を叩いて、何かを思い出したようにすぐに戻ってきた。
「あー、すみませんいい忘れていました。お祭りの会場の場所と、地図を皆さんに差し上げますわ」
と、言って懐から人数分の地図を配ると、再び去っていった。
「相変わらずそそっかしいわね、ヒョウは……」とディルが言っても、説得力ないから……。
「じゃあ、各自に見回るとしますか♪」
と、翔琉ママがいうのだが、トルネ以外は翔琉ママと一緒に祭りを回りたいので、なんやかんやみんな一緒にお祭りを回ることになった。
悪魔のお祭りーーーいったいどんな催し物があるのか、楽しみだ。
そういえば、俺ってお祭りとか行くの初めてなんだよな♪
余計にワクワクしてきた‼




