5thステージ2:手紙
次の日の朝ーーー今日は学校がない日だ。
翔琉ママと遊べる♪
そう思って、俺は珍しく早起きした。
目覚まし時計をセットしていないのに、いつもより早く起きられた。
普段からやれよと、怒られそうだが、まあいい。
「おはよー♪」
と、1階のリビングに行くと、天野狼牙が既にいた。
悠然と、紅茶を飲みながら、窓際で読書をしていた。
「お、狼牙おはよー」と声をかけると、彼はにこりと微笑んで「あぁ、ジンライおはよー♪今日は早いね」と返してきた。
俺は近くの椅子に座って、彼の正面に座った。
彼は、俺がなにか話をしたいのかなと、本を閉じて、こちらの方を見てなにかな?って顔をしている。
「今日は翔琉ママと、遊ぼうと思ってるんだ♪」
と、俺が楽しそうに言うと、再び微笑んで「うん。いいと思うよ♪おいらは、今日はなにしようかな……」と、少し困っていた。
「じゃあ、狼牙も、俺と一緒に翔琉ママと遊ぼうぜ♪」
「うーん……翔琉お兄ちゃんと遊ぶとなると……どういう遊びかな?」
「最近やった遊びだと、翔琉ママに足の指の間を布で擦って貰って、こちょばしいと思って我慢できなくなったら負けって遊びをしたぜ♪」
「マニアックすぎるし、なんだろ……なんか、某小説の歯磨きに近いものを感じるんだけど、気のせいか?」
「気のせい気のせい♪」
「そんな遊びした覚えねーよ‼」
ボカッと、翔琉ママに軽く叩かれた。
おっと、バレた☆
「もうジンライ。変なこと狼牙に教えるなよ……偏見が生まれるだろ?」
「あ、お兄ちゃん。おはよー」
「おう、おはよー狼牙」
「ねぇ、翔琉ママ‼今日はどこいく?どこで遊ぶ?」
俺は尻尾を振りながら、翔琉ママの方をにこにこして見つめてる。
翔琉ママは、何かを思い出したように、ポケットから1通の手紙を取り出して、俺たちに見せた。
「ここいってみる?」
そこには、とある場所へ行く方法が書かれた地図と、ヒョウが書いた1枚の手紙が入っていた。
【翔琉さんへ 拝啓、あと半年が永遠に続けばいいと、時間を凍結させる魔法を開発するこの頃、お元気ですか?】
「怖すぎ‼なにこの手紙の始まりかた‼」
【さて、こんな御手紙を差し上げたのは他でもなく、翔琉さんや他の方々にも、是非ともとあるお祭りに参加して頂きたく、ご招待として、この御手紙を差し上げているところです。私は、氷の眷族故に、この祭りに参加せねばならないのですが、今年はせっかくの記念日ですので、折角なので皆さんもと思いましてーーー】
なんか、長くなりそうだな……。
一気に最後まで飛ばすか……。
【ーーーではでは、冥界のお祭り「冥夜祭へと、いらっしゃってくださいね あなたのヒョウより」】
冥夜祭?
「なんか、危険そうなお祭りだな……というか、冥界なんて行っていいのか?」
「大丈夫、大丈夫♪俺の中には、神様が2人いるんだし、もしもの時は空間魔法で強制脱出するから、大丈夫だろ♪」
「それもそうだね♪じゃあ、行こうぜ♪」
と、俺たちは、大魔導士のみんなに声をかけて、みんなで冥界へと遊びに行くことになった。
でも、今から思えば、この手紙が、この後翔琉ママが神隠しにあってしまうきっかけだったとは、誰も知らないだろう。
翔琉ママが、みんなの記憶から消されるーーー悪魔のやる姑息な神隠しに。




