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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:最終章~真価を問われるこの世へ~
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4thステージ77:世界で一番痛い攻撃

世界で一番痛い攻撃ってなんでしょうね?


「翔琉‼」


仲間たちは、俺が立ち上がっていることに驚いていたが、まあいつものことだろ?みたいな感じで最終的に落ち着いている。

俺のイメージって、不死鳥なのかな?


「天野翔琉……お兄ちゃん……なんで……なんで……」


掴んでいる腕からでも、ひしひしと伝わる、この殺意……。

天野蘚琉は、俺が生きていた事が、物凄く不満なご様子だ。


「なんで……なんで……死んでないのよ……」

「俺の新しい友達に助けて貰ったのさ……まあ、そういった繋がりを持たないお前には分からないと思うけどさ……」

「うるせーな‼」


天野蘚琉の怒号が衝撃波となって、俺を襲った。

仲間たちも、その衝撃波によって弾き飛ばされる。

赤いドレスを身に纏った彼女は、薄い笑みを浮かべ、その場に不気味に君臨し続けている。


「あー、もう……お兄ちゃんったら、私を怒らせちゃって♪しかたねーから、最終段階まで変身してやるよ……殺しても蘇るようなお兄ちゃんは、2人もいらない……だから、概念消去する位しないと……ね?」


うふふふ……っと、不気味な笑みを浮かべ、彼女の周囲をどす黒いオーラが包み込む。

そして、彼女を覆い隠し、黒い繭となった。

俺は、それを見た瞬間、間違いなくヤバイものだと言うことが分かった。

何故ならば、あからさまに殺意がこちらに向けて集中的に当てられていたからだ。


「……ライ、リュウ……ディル……頼みがある」

「「「???」」」

「ジンライたちを連れて、逃げろ……」

「「「‼」」」


ライやリュウ……ディルまでもが、反論しようとした。

だが、俺の覚悟を決めた顔を見た彼らは、泣く泣く……いや、涙を溢しながら、俺の頼みを聞いてくれた。


「翔琉ママ‼翔琉ママ‼パパやめろ!」

「放せ!おいらを放せ!」


暴れまわるジンライと狼牙を無理矢理押さえつけ、ライとリュウは、急ぎ時空図書館へとディルの魔法で移動する。

だが、肝心のディルは、この場に残っていた。


「ディル‼早くしろ‼逃げてくれ‼」

「嫌よ……」

「ディル‼」

「嫌よ‼」

「ワガママ言わないでくれ‼俺は、お前を……お前たちを失いたく……」


バチン。

痛い……お腹を貫かれるよりも、その痛みは強かった。

頬を打たれた……。

ディルは、震える手を押さえながらも、その場で息を切らしていた。


「いい加減にしてよ‼翔琉……あんた、いつからそんなに自分の力に傲れるようになったのよ……あんたは、ずっと1人で戦ってきたの?あんたは、ずっと自己犠牲で戦ってきたの?命を粗末にするなって、散々他人には強調するのに、自分は守ってないの?ふざけないでよ……ふざけないでよ‼私たちの気持ちを蔑ろにして、私たちの思いを踏みにじって……それで、私たちが喜ぶと思ってるの?バカにしないでよ‼みんなで、どんな困難も乗り越えてきたのに……ここに来て、自分の力量で物事判断して、命令して……何様だよ‼」

「ディル……違うよ、俺はーーー」


バチン。

2発目の平手打ち。

ボロボロと彼女は、涙を溢しながら、ぶった手を……震える手を押さえ、再び言う。


「翔琉……あんたが、死ぬと……あんたが死ぬ度に、私がどんな思いで見てるか分かる?こっちが死にたくなるくらい、心臓が壊されるくらい悲しいのーーー翔琉……私は、あんたのことが……あなたの事が好きなの……初めて見たときから……初めて会った時から……。初めて人を好きになったの……こんなに誰かに恋することなんて、もう2度とない……だからこそ、最愛であるあなたを失うのは嫌なの……死を覚悟した顔で見られるのも嫌なの……だから、せめてもしも勝てないような強敵相手なら、隣に居させてよ‼一緒にいさせてよ……お願いだから……1人で犠牲になろうとしないでよ‼」


そう言って彼女は泣き崩れた。

目から溢れる雫は、地へと流れ落ちる。

彼女の思い一つ一つが、体外に吐き出されるようにーーー。


「……ディル」


ぽんっと、俺は泣き崩れた彼女の頭に手をおき、優しく撫でた。

そして、静かに彼女を抱き締めて、耳元でこう囁いたのだった。


「ありがとうーーー」



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