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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:最終章~真価を問われるこの世へ~
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4thステージ74:死神は微笑む

死を呼ぶ攻撃ーーーあまつさえも、それを放つ女は、俺の異世界の妹だという。

しかも、それは異世界の兄である俺に放たれている。

というか、異世界の妹とか、異世界の兄とか……もはや、他人じゃん。

限りなく近い存在ではあるけど、限りなく別人だろ。


「光の魔法:輝天鏡」


全ての攻撃を、光へと変換して俺は攻撃を跳ね返す。

だが、まあーーー数も数、威力も威力なもので、光で出来た鏡は物の数秒で破壊された。

やはり、神魔法を使っていないと、俺の魔法はこの程度か。


「お兄ちゃん、死んで。お願いだから死んで……死ね、死ねよ……死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


未だに死ねを連呼する天野蘚琉は、攻撃の手を全く緩めない。

ごり押しで、どうにか勝とうとしている気がする。

それくらい、鬼気迫る攻撃の数々だ。


「これまでの、俺が出会った魔法を全て注ぎ込んで……そこまでして、なぜ必要に俺を殺そうとするのか分からないけれど……とにかく、みすみす殺されてしまうのは、避けなければな」

「うるさいうるさいうるさい‼あんたを殺さないと、あんたを殺さないと、あんたを殺さないと、あんたを殺さないとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」


俺を殺さないと、どうなるんだ?

俺を殺すことで、なにが起こるんだ?

疑問だらけの彼女の言動ーーー裏になにかあるのか?


「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


天野蘚琉の渾身の一撃は、僅かに俺の顔を掠めるだけに留まった。

危ない危ない。


「考え事している場合じゃないようだな……閃光矛【第三戦闘状態(サードモード)】」


矛の形状だったものが、みるみると姿を変えて、両手拳銃となった。


「ふん、そんなもの、当たらなければ、意味がない!」


と、赤いドレスのくせに、圧倒的な速さで俺を撹乱する天野蘚琉。

だが、まあ……。


「なんだ、その程度かーーー」


放たれた2発の弾丸は、天野蘚琉の両足に見事にヒットし、彼女の動きを止めた。

痛みは与えていないはずだ。

何故ならば、その弾丸は実弾ではないし、ましてや攻撃用の魔法ではないならだ。


「なにをしたの‼私に、何をしたの‼」

「閃光矛【第三戦闘状態】は、相手を弱体化させるだけの弾丸のみを放つことができる両手拳銃。もはや、矛とは言えないけど……まあ、これも矛といえば矛だ」


いささか、無茶があるけどな。

まあ、とりあえずそう言うことだ。

天野蘚琉は、現在、極限まで弱体化している。

それが、撃ち放った弾丸の効果。

ん?

なんで、あんな光に近いスピードのやつに、寸分狂わずに当てられたのかって?

それは、この間出会ったとあるスナイパーに、射撃について軽くご教示して貰っただけのこと。

光さえも撃ち落とし、神の心を撃ち抜く……そんな、天才スナイパーに(JMG参照)。


「さて、天野蘚琉……今の君を捻り潰すならば、蟻を潰すに等しいほど簡単だ……だけど、今回の目的はそれじゃない」

「じゃあ、なにが目的なのよ!」

「これ……」


プスッ。


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ‼」


とまあ、注射嫌いの子供のように喚き回る女ーーー天野蘚琉。

俺が彼女に撃ち込んだのは、不老不死と精神に異常を起こす症状を解毒する薬ーーー【Human】。

この薬を投与できたということは、天野蘚琉はもはや不老不死でもなければ、精神に異常をきたした女でもない。

普通の人間に。

普通の一般的な、女……。


「え?」


なんだか、嫌な感触が身体にあった。

恐る恐るその感触の方へと目を向けると、俺のお腹には1本の腕が突き刺さっていた。

彼女ーーー天野蘚琉の腕……。

え?

あれ?


「な……ん……で……?」

「残念だったね、お兄ちゃん。その薬、前に試したけど、抗体が出来ちゃってるみたいで効かなかったんだ♪ごめんね、ごめんね……死んでね……お兄ちゃん……愛してるよ……嘘だけど……あは、あははははは♪」


彼女の声がこだまするこの屋上で、俺はゆっくりと地に落ちていくのだったーーー。

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