4thステージ68:世界決戦⑤
【~第3空間~】
閃光矛【第一戦闘状態】ーーーブーメラン状の見た目になった矛。
それは最早、矛と呼べるのか?と言われてしまえば、これは矛なんだ、と言い切るしかない。
あくまでもこのブーメラン……いや、形状がブーメランなだけの矛なんだ。
「ふん、では行くぞ!」
ロギウスの神魔法【真実神】。
その力は、おそらくアマデウスからのものだ。
神魔法の化身アマデウスーーー全ての神魔法の起源とされている彼がいる限り、恐らく敵側の者は全員神魔法を使ってくると思っておかなければならないだろう。
「喰らえ!」
と凄まじい速度で俺に、光で出来た剣を無数投げつける。だが、俺は手元の矛を正面でくるくると扇風機のように回し、それらを弾く。
普通の矛では、表面積が小さすぎて、こういった攻撃を弾くのには向いていない。
仮にも1対多数なのだから、無数の攻撃を予想した戦闘……それに合わせた形状が、このブーメランのような形なのだ。
先程の全体攻撃を防いだ防御状態を使えばよいのではないのかーーーと疑問に思う方も要るかと思うが、残念ながらあの防御には欠点がある。
あの絶大な防御には、【こちらから一切攻撃が出来ない】という、戦闘において決定的な弱点があるのだ。
確かに、どんな攻撃でも防げる防御というのは、最強なのだ。だが、それは決定打を撃てないことに代わりはない。
つまり、永遠に戦闘が終わらない無限ループ。
流石にそんなことをしている暇はない。
一刻も早く、こいつらを倒して、天野蘚琉の暴走を止めなくてはーーー。
「確かに……君は、あの方が殺せと命じるほど……厄介で、うざったい存在だね……だけど不思議と、嫌いじゃないんだよね……なんでだろ?」
アマデウスは、俺に向かって笑いながらそう言った。
神魔法の化身にして、俺の魂に宿った存在。
そして、生まれ落ちた俺を助けてくれた恩人……いや、恩神でもある。
「操られてても、嫌いじゃないってお前に思われてるってことは、誇っていいのかもな……アマデウス……」
「翔琉……?なんだろう……どうして、こんな気持ちになるんだろう……あいつは、王の敵なのに……なんで、こんなにも……見守ってやりたくなる、そんな気持ちが込み上げるんだろう」
一瞬だが、俺の記憶が蘇ったかのようなそぶりを見せたアマデウスだったが……。
「アマデウス‼天野翔琉の策略に乗せられるな‼早く、全員に神魔法を‼」
というロギウスの声に、その記憶は再び消え去った。
そして、彼はーーーアマデウスは、決意を目に宿し、この場の俺以外全員に、神魔法を発動させた。
光天神、炎天神、水天神、雷天神、闇天神、氷天神、風天神、地天神ーーーそして、究極神魔法。
神を倒すためには神魔法でなくては、攻撃が通用しないーーーそれは、かつての邪神との戦闘で経験済みだ。
だがどうだろうか?
俺は神ではない。
あくまでも、普通の人間だ。
まあ、少し変わったやつらに好かれるってだけのーーー普通の人間だ。
それなのに、それなのに……何故、こんなにも虐めみたいな事をされなきゃいけないのか。
何故、こんな圧倒的戦力差に冴えなまれなければならないのか。
なんで、俺ばかり不運に見舞われるのだろうか……。誰か知っていたら教えてくれ。
「ーーーなんて、いってる場合じゃないよね……全員が神魔法になったってことは……」
全員が、各属性最強魔法を出し放題と言うことだ。
半永久的に……限りなく無限なまでの力。
俺がこれまでの敵に与えてきた【圧倒的力の差】を、ここで味あわされるとは……。
これは、最早天罰なのかもしれないな。
強大な力を使役した代償か……。
いや、それにしても、この代償はでかすぎるだろ‼




