4thステージ60:試しの矛
「まあ、と言うわけだからーーー私はこの壁画については、なーんにも知らないから」
そういって、始まりの神はリュウにボコられた部分をいたわっている。
まあ、そうだよなーーーもしも、これを始まりの神が描いたと言うならば、早々にこの中に行ける鍵をくれたりなんて普通しないだろう。
言ってしまえば、とあるアイドルのポスターをずらりと壁一面に張り付けてある部屋に、そのアイドル本人を呼ぶに等しい行為だ。
俺の世界ならば、即逮捕……そして、社会的に抹殺されてしまう事だろうに。
「ーーーさてと、閃光矛……それを果たして、君は使いこなせるかな?天野翔琉くん」
また、ギニュー特戦隊みたいなポーズをバッと、取っている始まりの神。
なにそれ、お気に入りなの?
話進まないから、止めて欲しいんだけどな。
ツッコミ入れにくいしーーー。
「え?どういうことですか?」
俺はポーズをスルーして、本題にはいることにした。
閃光矛……神が作りし20個の宝具の1つ。
だが、その能力については、リュウやライでは分からなかったみたいだ。
ディルか、フルートが居れば分かったのかもしれないけど……贅沢は言えないな。
ここは、シャクだけど、あのギニュー特戦隊ポーズの神様に聞くしかないだろう。
「ん?なに?翔琉くん。私にそのくそ生意気な矛の事を聴きたいのかな?」
「はい……って、くそ生意気な?まるで、意思があるようなーーー自我があるような物言いですね」
「ええ……その矛には、意思ってのがあるらしくてね……主人を選ぶ癖があるの。前は、私よりヨルヤになついてたみたいだから、貸してあげてたんだけど……その様子だと、ヨルヤにも飽きたみたいね……」
「もし仮に、主人と認められずに矛を手にしてしまったら、どうなるんですか?」
「うーん……特にどうもならないけど、矛の真の力は引き出せないで終わるわね~」
今度は、ジョジョ立ち……。
ジャンプ好きかよ、この神様。
「矛の真の力?」
「そうだよ。矛の真の力……それは、その者が望む【思い】を実体化させて、力に変化する事ができるんだ♪それは、その思いが強ければ強いほど、力は強くなる……まあ、ある意味だからその矛は反則なんだよね……思いを実体化させるのって、発想とかは誰もが持っている力だから、完全に扱われると、下手すると世界が消えるからね~」
飄々と、あっさりと、恐ろしいことを語る始まりの神……俺たちはそんな彼女の言葉を聞き、生唾をゴクリと飲み込んだ。
下手すれば世界そのものを消しかねない力……そんな、力を手にしたら……そんな力を扱えるようになったら……欲のある生物ならば、悪いことに使いそうだな。
まあ、俺は欲深い人間だけどーーーたぶん、しないな。
「ふーん……じゃ、まあ……とりあえず……」
俺は決心して、その矛に触れる。
その瞬間、俺の意識は、矛の中へと引きずり込まれ、意識を奪われた肉体は、その場に転がり倒れたのだった。
「翔琉!」
「翔琉ママ!」
「翔琉ちゃん!」
ジンライたちの声が頭にこだまする中、俺は矛の中の世界へと来ていた。
なんというか、夜空広がる湖の上に、石で出来た展望台がある。
その上に、俺は立っていた。
そして、目の前には、和服姿の少女が立っていた。
白くて美しい長い髪に、青い瞳の人形みたいな顔立ち。
凛々しくも、威厳のある雰囲気を醸し出す、そんな少女だった。
そして、少女はにこりと笑って言った。
「御主、私に膝まずき、この細くて美しい脚にキスをするがよいーーー」




