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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:第7章~逆転への道と狼の弟子~
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4thステージ59:犯人は

あれから、一時間くらいーーーようやく、泣き止んだ天野狼牙は泣きつかれて、眠ってしまった。

本当に赤子のような青年だな、こいつ。

だが、何故俺の袖を掴んだまま寝たんだ、こいつ。

やめろよ、ジンライたちが殺意わいてるぞ。

てか、あいつらも俺の袖を狙ってやがる。

俺の袖を掴もうと、亡者のごとくゆらりゆらりとゆっくり近づいてきやがる。


「やめろ、怖いわ!」


そういって、俺はジンライたちを睨むが、彼らは一切退くことはなく、こうして俺を取り囲んでいるわけだ。

まるで、かごめかごめだよ。

あれ、懐かしいな……小学生の時にやったよ。

必ず俺は後ろの正面という言葉に、疑問を感じていた。

なんだよ、後ろの正面って。

後ろなのか?前なのか?はっきりしろよ!と、毎回思っていたな……。


「さて……っと……」


俺は袖から彼らの枷を外し、先程天野狼牙の眠っていた近くにある槍の近くへと足を運んでいた。

見れば見るほど、立派な槍だ。

なんというか、威風堂々とそこに存在しているという風にしか言えないほどの、凛々しさがあった。


「これが……あいつの言っていた……」

「ーーーそれは、かつて神が作った20個の宝具の1つ……【閃光矛(ライトニングランス)】……始まりの神……つまりは、私でさえ扱いきれなかった、曰く付きの一品だよ……」


私でさえ扱いきれなかった?

その言葉を発した人物は、唐突に現れた。

地面の中からでも、空からでも、道からでもなくーーー空間の中から、まるで、白紙の上に現れた点のように、そこに存在していた。


「やあ、みんな……始めましての人もいるから、自己紹介してあげる……私は始まりの神……悪魔と共に全てを産み出した女ーーーそれが、私……私参上!キラーン」


どや顔と共に、訳のわからないギニュー特戦隊みたいなポーズを取っている始まりの神の顔を、真顔でリュウは殴り付けた。

そして、始まりの神がその場に倒れ鼻血を流しながらも、リュウは、ひたすら彼女を真顔で足蹴にするのだった。

謎に始まった、女子の喧嘩ーーー怖い。


「痛い!痛いよ!」

「うるさい!唐突に出てきてふざけるやつは、こうなる運命なのよ!」

「痛い!痛い!」


ドガドカッと、始まりの神を怒鳴りながら蹴るリュウに、俺は恐ろしさを感じ、ガタガタと震えている。

以前、トルネの件の時に、悲惨で飛散した彼を見てからというものの、リュウのキレてるところは何度見てもトラウマになりそうな位エグい。


「さてさて、始まりの神……大人のお姉さん同士……ガールズトークしましょうよ」

「もう、瀕死なんですけど……」


ぼろ雑巾のようになった始まりの神の胸ぐらを、片手で掴みあげているリュウには、最早【医者】という役ではなく、【ヤクザの姉御】という役に、ジョブチェンジしてほしいところだ。




「単刀直入に、聞くから……さっきの石碑はなに?翔琉ちゃんのこれまでの努力やその思想、歴史まで事細かに記されている~あれではまるで……」

「実験してるみたい?」


そう、言って怪しい笑みを始まりの神は浮かべている。

不気味で気味が悪い……、神々しいというよりかは、悪々(あくあく)しいな。


「まあ、安心して……というか、心配しなくていいよ……なんせ、これを書いたのは……描いたのは、私じゃない」

「え?」


俺たちの頭の上にはクエスチョンマークが浮かび上がった。

あれ?

ここって、始まりの神が埋葬された場所って噂で、始まりの神が実際に目の前に居るわけなのに……。

ん?

まてよ……。


「埋葬された……つまりは、死んだ後に建てられてんだよな、ここって……」

「そうそう……だから、私にはこの場所を……この石碑を描くことが出来なかったーーーつまり、これを作ったのは、別の人物……」

「ふむ……そのものいいだと、あなたはここを作った人物について、心当たりがあるようだな……」

「そりゃそうよ……私に好意を抱いていた【あいつ】しか、こんなことしないもの……」

「あいつ?」

「【ヨルヤ=ノクターン】……闇夜に眠る悪魔の王にして神……」


そう始まりの神は、余韻に浸るように、静かに目を閉じたのだった。

ヨルヤ=ノクターン……冥界の奥深くにて、始まりの神の目覚めーーーまたは、面白いことを待って眠りにつくはずの悪魔ーーーその名前が出たと言うことは、ただ1つ。


「その悪魔は、もう目覚めているんですか?」


そう、自然と俺は始まりの神に問いかけていた。

始まりの神は、静かに瞳を開け……真剣な面持ちでこう言った。


「いや、まだ寝てるよ」


それは、唖然というか拍子抜けしてしまうような、一言だったが俺の脳裏にはしっかりと記憶として、刻まれた。

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