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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:第7章~逆転への道と狼の弟子~
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4thステージ56:ピラミッドの秘密

「始まりの神……あいつ、嫌い」


と、リュウは言った。

彼女いわく、身体を弄ばれたからとのことなのだが、いったいなにをされたんだろうか。

腕を抑えながら、リュウは痛々しいことを思い出したかのように、苦しそうな表情を浮かべている。


「リュウ……辛そうなら、待ってるか?」

「いや……一緒にいく……翔琉ちゃんは今、極限まで弱くなってしまっている。そんな状態で、あの女の近くにみすみす好きな男を行かせるほど、あたしは嫌な女じゃないわよ」

「あー、そうだ、始まりの神からの伝言……」

「ん?なによ……」

「【今度来たら、純粋な勝負をしましょう……もう、私には身体は必要ないから、純粋な勝負を……友情が芽生える楽しい勝負をしましょう】だって」

「……ふーん」


リュウは不機嫌そうにしているものの、若干ではあるが嬉しそうにも見える。

こんな状況でも、勝負となれば嬉しそうにするんだなーーー流石は、戦闘狂だな。


「なら安心……だけど、始まりの神の胸には穴が開いてたと思ったんだけど、それで身体が必要ないってどういう事かしらね?」

「あー、それなら俺が治した」

「へ?翔琉ちゃんが?あの傷を!?」


リュウはがっつくように、こちらに顔を近づけた。

近い、近い!


「ああ、光治でな」と、言って俺は彼女を押し戻した。


「そそ、こう胸に手を当てて、穴を埋めて……」

「おいまて、翔琉ちゃん……始まりの神の胸を揉んだのか?」

「む?まあ、結果的にはーーーでも、フルートの方が大きいと思うぞ‼」

「いや、そこじゃねーし、新しい疑問が出てきやがったよこの野郎……翔琉ちゃん……いつフルートの胸揉んだんだよ」

「あー、それはJMGを読めば、そのうちその回が登場するって、どうしたのリュウ?俺の腕を掴んで……」

「えい!」


ボイン、っとリュウは自らの胸に俺の腕を押し付けた。

うお!柔らかい!ーーーって、えええ!!!


「リュウ!何してるの!」

「フルートと始まりの神だけじゃ、ずるいと思って……あたしも、翔琉ちゃん悩殺したいし……」

「悩殺って、殺す気満々かよ」

「ほらほら、子供の教育に悪いからやめろ、リュウ」


と、ライがリュウから俺の腕を解放すると、今度は自身の首もとに腕を持ってきて、俺の腕を使って自らの首もとをかきはじめた。


「ゴロゴロ~♪」

「お前もだろーが!」


ゴツン、っとリュウがライを殴り付けた。

その衝撃で、俺は腕を解放されたわけだが……まったく、こいつらは。

こんな状況でもマイペースで、大好きだぜ。


「翔琉ママ……俺も……」


と、青年姿のジンライが悪い大人たちの所業を見て、グズり始めた。

仕方がないな……と、俺はジンライの頬を撫でた。

子供は親に甘えたい……それは、どの世界でもどんな状況でも変わらないのだろう。

ならば、俺は親らしくどんなときでも子供を守ろうではないか。目の前でこの子がやられる事があったら、俺はなにをするかわからないかもなーーー。



創始神墓地の湖の上には空飛ぶピラミッドがある。

空飛ぶ巨大建築物といえば、俺にはラピュタとかぐらいしか思い付かないのだけれど、なんだろう……壮大さばかりとは裏腹に、何故こんなにも、あの建物の中からは悲しそうな気配がするのだろうか。

なんというか、哀愁漂うピラミッド……なんだか、不思議な言い回しだが、その言葉が相応しいものだと、改めて思った。


「ふう……どうやら、今はディルたちは居ないようね……」


リュウは水の魔法により、辺りの生命反応を探ったが、俺たち以外の反応は、あのピラミッド内部以外からは感じ取れなかったらしい。

逆に言えば、あのピラミッド内部にはたった1つだけ……生命反応があると言うことなのだ。


「でも、翔琉ちゃん……その古びた鍵を、どこで使えばいいのかな?あたしは、前に来たときにピラミッドを調べたけど入り口はおろか、鍵穴すらなかったけど……」

「リュウ……水面に映る、ピラミッドを見てみろよ」


と、俺はにこりと笑って指を指す。

彼女ははてなマークを頭に掲げたまま、水面に目をやるとパーっとスッキリした顔になった。


「うわ!これは、気がつかなかったーーー」


そういって、彼女の見る水面には、ピラミッドの影と日の光にによって生まれた小さな穴……鍵穴があったのだった。

水面に映る影……ここに鍵を差し込めば、ピラミッド内部へと行ける……。

そう、確信していたのだった。

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