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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:第6章~帰還した希望と虚言の罠~
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4thステージ51:表裏一体な真心

「さてと……まずは、あなたが天野蘚琉に負けた理由から説明してあげようかしら?」

「いや、その前に荊から降ろせ」

「おっと、ごめんごめん♪」


そういって、始まりの神は荊を消し去った。消せるのかよ、この荊たち。

さて……。



「俺が、あの女ーーー天野蘚琉に負けた理由?それって、能力を持っているか、持っていないか?じゃないのか?」

「うーん……やっぱり、勘違いしてるみたいだね」


首をかしげて笑っている始まりの神の心理は俺には分からなかった。単純に力の差で負けたのではないのか?と思っていたのに、この返しはなんだ?


「うふふ……じゃあ、教えてあげるよ主人公(かける)くん。始まりの神と呼ばれた私が直々にレクチャーしてあげようじゃないの」

「ああ……」

「あなたは、天野蘚琉に対して、何ら劣っていない……むしろ、優っているーーー強いて言うなら、君は勘違いしやすい傾向にあるようだし、妄信的に疑うということをあまりしたがらないーーーいや、思っていても実際には行動を取っていないことって多々あると思うんだけど、君はだからこそ……そんな心の弱味につけ込まれた……」

「弱味?」

「暗黒魔法:黒空間ーーーあれは、他者を閉じ込める魔法なのだけど、実際のところは【相手の心の闇に閉じ込める】魔法……対象者の闇が深ければ深いほど……長い年月も閉じ込める。そして、脱出するには【闇に負けない強い精神力】か、【魔法を発動した相手にダメージを与える】……それか、【全てを失う】ーーーたったこれだけで脱出が出来たんだ。だけど、実際のところどうだった?君には闇に負ける精神力、魔法発動した相手にダメージすら与えられなかったーーーだから、君は失ったんだよ。仲間も、友も……だからこそ、君は負けたんだよ、あの女に」


負けた……この言葉を改めて突きつけられると、ショックだ。ポロポロと涙がこぼれ落ちていたーーー悔しい。あんな、わがままで傲慢で偉そうで生意気な老女(ろうじょ)に、俺は負けたのかーーー世間知らずで、甘やかされて育ったような、あんな女に馬鹿にされたのか……。


「ムガァァァァァァァァァァ!!腹立つ!」


その場で地団駄を踏む俺を見た始まりの神は、クスクスと笑っていた。まるで、子どもが悔しがっているのを見ている母親のように。


「ってことで、私からのワンポイントアドバイスとしては……」

「いや、それはいい!」

「?」

「自分で倒すーーー自分で計画する……相手が心理につけ込むならば、俺は化学で……俺の知識で、あいつを倒してやるよ。暗黒魔法:黒空間……心の闇を利用した魔法……か。生物は皆、闇を持って生きてるんだから仕方がない魔法じゃんーーーそうだよ、仕方がないんだよ……」

「前向きというか、現実と向き合わない素質が高すぎて、お姉さん驚いちゃってるけど……まあ、いいでしょう」

「ところで、始まりの神とやら……」

「ん?な……に?‼ きゃぁぁぁぁぁぁぁ‼」


ムニュッと、俺は唐突に彼女の胸に触った。


「おお、Bカップ!ディルよりあるなーーーまあ、フルートには敵わないけどゴボォォォォォ」


と、殴られた俺は宙を舞って、近くの墓石にぶつかった。はは、そりゃそうか。女の子の胸揉んだんだしな。


「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉ!!何してくれちゃってるのよ!女子の胸を気安く揉まないでよ!穴が開いてるんだし、広がったらどうしちゃ……う……あれ?」


始まりの神は胸に目をやると、そこに穴なんて物はなかった。確かに先程までにあった穴が、ぽっかりと空いた穴が見事に塞がっていたのだった。


「光の魔法:光治……どうやら、神様にも効いたみたいで良かったよ♪アドバイスというか、色々教えてくれたお礼だ。いつまでもそんなに穴の空いた状態だと、締まりがつかないだろうからね♪」

「パラノイアに傷つけられてから、今までどんなことでも治らなかったのに……流石は主人公(あまのかける)だね」

「じゃあ、俺は行くよ……仲間たちを助けなきゃだし、ジンライたちと合流しなきゃ……」

「天野翔琉くん……もしも、表の世界へと戻るなら、これを持っていきなさいーーー」

「ん?なんだこれは?」


始まりの神が手に持っているのは、錆びた古い鍵……。なんだろう、どっかの宝箱でも開けるのか、遺跡の奥へ行けるまさしくキーアイテムなのだろうか?


「これは、表世界の【ピラミッド】へと入れる鍵……それを持っているだけで、ピラミッド内部へと入れるーーーそこで、私が昔作った宝具と、1匹の狼を目覚めさせなさいな」

「神が作りし20個の宝具……その内の1つと、1匹の狼?」

「ええ……もう、24時間以上経ってるから、もう大丈夫……それと、ひとつ小娘に伝言をーーー」

「伝言?」

「今度来たら、純粋な勝負をしましょうって……もう、私には身体は必要ないから、純粋な勝負を……友情が芽生える楽しい勝負をしましょうって……」

「分かったーーーじゃあ、俺は行くね」


にこりと笑っている始まりの神を背に、俺は湖に飛び込んで表世界へと帰還するのだったーーー。

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