都立浮葉東高校 文化祭打ち上げ ①
「お疲れ〜。」
一般客やPTA達も帰り、後夜祭も終わった。
ほとんどの生徒が残って後片付けをしている。
剥がしていく壁紙や飾りはもう煌めかない。
ちょっと切ないが、これも毎年の年中行事だから仕方ないんだよね。
全部全部、つわものどもが 夢の跡。
ふと、東波の学園祭を思い出していた。
東波の学園祭は毎年5月。
実は私の今年の文化祭は、今回で2回目だった。
高2の5月。
転校したてでワクワクしながら、初めての東波の学園祭を奏美達に案内してもらった。
模擬店を買い食いして回ったこと。
人気チェーン店を経営してる親を持つ子のクラスでは、本格的なシュラスコが出ていて1コインで食べられた。
お店ではお高い人気メニューが無料みたいな値段だったので、売り切れるまで長蛇の列が出来ていた。
他の生徒達とワイワイしながら並んだのも楽しかったこと。
クラスの出し物はベタなロミジュリだったけど、男女のキャストを入れ替えた。
演ってる方が大真面目だった分、客席に大受けでみんな満足だったこと。
なのに一位が取れなくて、悔しくて打ち上げで大泣きしたこと。
みんな、負けず嫌いで、ピュアだったな。
他校から見れば鼻につくと陰口を叩かれることもあったらしいが、羨ましがられることも多かった。
東波ならではのお金の掛け方はゴージャスで、華やかだった文化祭が懐かしい。
もう2度と戻れない時間。生まれない時間。
"あの東波学園"がなくなったという事実に突然気づく。
ミッションの為に行った学校。
思い入れを持たないようにしていたはずなのに。
たった4ヶ月しかいなかったのに。
友達と呼べるみんながいた普通の毎日が楽しかった。
(うわっ。私がセンチメンタルに浸ってる。)
ダメじゃん。切り替え切り替え。
楽しいことを考えようっと。
今回は、生まれて初めてみんなの前でステージで歌うなんて、私的快挙だった。
ランウェイを歩くのとは全然違った。
やっぱり生でファンの子達を笑顔にできるのって幸せだな。
公式でもっと大勢を楽しませたいけど、先のことはわからない。
多くは望むまい!うん。
(来年のアタシはどこにいるんだろう。)
まさか文化祭ロスなのか。
普通の女子高ライフなんて笑い飛ばせよ、私!
私は殺し屋だ!!
心の中で、そう、喝を入れ直したところに声がかかった。
「はーい、みんな聞いてー。3組と4組で打ち上げ場所を同じカラオケにしない?ってお誘いがあったー。どうする?」
副委員長の舞香が大きな声で聞いた。
各自、オッケー、だの、了解、だの口々に言ってる。
文化祭後で浮かれた気分は、大らかになるんだな。
19時に集合ね。
それに間に合うようにダッシュで片付けが進んで行った。
打ち上げは、部活打ち上げをする文化部以外の殆どの生徒が強制参加になった。
軽音部は和佳に用があって家族と帰ったので、打ち上げは後日。
それを知って原と亜美は、そのままクラス打ち上げに連行された。
まずはクラス別で打ち上げ開始。
途中で隣の部屋と行き来する話になっていた。
軽音部のくせに、聞けば歌うのは苦手という原ちゃんと並んで、ひっそりと気配を消していた。
みんな順番に歌ってる。
そろそろ全員歌った?とか声がかかるんだよね、ちょい迷惑。
「どうしよう。」と原ちゃんがソワソワし始めたので、こっそり3組ルームへ移動した。
ら。
移動した、ら。




