現在 ガン
「いやぁ、悪かった、悪かった。」
シノブさんと私で、ハナ達を逃す算段を数秒で練り上げ目で合図。
この為に日頃からシュミレーションは欠かさない。
だが、実戦は違う。
ハナは最近、力を試したいお年頃で。
実戦に出たくてウズウズしていたから闘うと言って、言う事を聞かなそうで困った。時間のない中、どう言いくるめるか考えながら2階に移動仕掛けた時、玄関から大声がした。
「ただいまー。」
へっ?と2人顔を見合わせる。力の抜けたシノブさんがへなへなとその場に座り込んだ。
「所長。帰国したならした、帰るなら帰るって連絡してください。」
私がお父さんの分のコーヒーを淹れている間に、食事の支度を始めたシノブさんのお小言が始まった。
ほんとにそれはそう。
「ほんっとに悪かった。ごめんごめん。気づいたらもう玄関のドア開けてたんだよ。」
なんだそれは。
理由にすらなってなくて、可笑しくてうっかり笑ってしまった。釣られてシノブさんも笑ってる。
お父さんってこういうとこなんだよね。
実際、何か理由があったんだろうけど、こうやって柔らかい空気を作ってくれる。いるだけであったかくなる人なんだ。
「ほんとにお願いしますよ。」
所長もバブもいない時に襲撃に遭ったら、こっちは命懸けなんですから。そう言いながら出された夕食は、さっき私達が食べたのより一品多くて、鯖の塩焼きが加わっていた。
お父さんの食事の間に不在中の子供達の話を共有する。お父さんの仕事の話はしない。
そして話の続き。
「今回はバブから申し出があったんだ。」
あとね、とシノブさん。
べべは知らないだろうけど。
シノブさんの話では、ずっと研修センターで訓練をしていたと思っていたバブは、期間ごとに現地での訓練をしていたというのだ。
本人が望んで、中東、アフリカ、中南米、東南アジアの内戦や内乱の多い危険区域に潜り込む。
潜入捜査、テロ、テロの阻止、人質救出。
現地に溶け込み情報収集から実際のミッションまで、セルフプロデュースしていた。
だからバブは帰国出来なかったんだ。
既に戦力としてアメリカ支部に所属してしている。
今回、その件もあって俺がL.A.に飛んでいたんだ。




