第十九話 悪魔邂逅
「というわけで、リヴ! 早速特訓、と言いたいけどその前の今日頑張ったご褒美あげないとね!」
「やったぁー!」
レヴィの言葉に、リヴは歓喜の声を上げその場で飛び上がる。
「じゃあ何したい?」
「……な、何を……したい……」
その問い掛けに、リヴは硬直した。
ま、マジか……!? つーことは胸が見たいっつったら見せてくれるってことかよ!? や、やべぇ、やべぇよ!! マジでここ最近頑張ってきて、大会で死に掛けた甲斐があったってもんだぜ!!
「じゃ、じゃあ!!」
早速胸を見せてくれと言おうとしたリヴ、だが一瞬過ぎった疑念が口を閉ざす。
い、いや待て!! 落ち着け俺!! この前の風呂の時を思い出せ!!
リヴが思い出したのは、レヴィと一緒に風呂に入った時。リヴはあの時間違いなくレヴィの胸が見られると思っていたが、肝心のレヴィは水着で風呂に入ったためその全貌は見られなかったという苦い思い出だ。
前回、俺はレヴィさんに胸を見んのはお預けって言われた。アレはつまり、まだ俺は胸を見ていいだけの功績をあげて無かったってことだ。
……じゃあ今回はどうだ? 俺はレヴィさんの胸を見るだけの働きをしたのか……? そりゃあ俺からしたらもう十分やったって感じだけどレヴィさんから見たらそうじゃねぇんじゃねぇか?
もしここで俺がレヴィさんの胸を見たいって言ったらどうなる?
『えー、こんな働きでリヴは私の胸が見られると思ってるのー? 私の胸ってそんなに軽いんだ。ショックだなー』
がぁぁぁぁぁぁ!? ダメだ、レヴィさんを悲しませるワケにはいかねぇ!!
なら、ここは……!
意を決し、リヴは再度口を開いた。
「で、デート」
「ん?」
「レヴィさん! 俺とデートして下さい!!」
胸を見るのはまだ早いと思い直したリヴはそう願った。彼がデートを選択したのは、レヴィとイチャイチャできると思ったのと、デートであれば先の風呂で水着というような『はぐらかし』が無いと思ったからである。
「うん、いいよ!」
「ひゃっほーい!」
歓喜の声で再び飛び上がるリヴ。
こうしてリヴとレヴィは王都でデートをすることになった。
◇
翌日、リヴは商店街の噴水前でレヴィを待っていた。
「ふっふっふーん! ふっふっふーん!」
容器に鼻歌を歌いながら主を待つリヴ。期待に胸を膨らませながら無意識にタップダンスをして、彼はレヴィの到着を心待ちにしている。
そして、
「お待たせ―リヴ!」
「っ!!」
その声が聞こえた瞬間、リヴはがばっとその方向を振り向いた。そこにいたのは、いつもとは随分毛色の異なる衣服を身に纏うレヴィである。
「か、可愛い!!」
「そう? ありがと!」
思わず口に出してしまうリヴだったが、レヴィは特に照れること無く微笑んだ。
や、やべぇ!! いつもは冒険者っぽい服装でまぁそれはそれで良かったけど、今レヴィさんが着てる服は……なんつーか女っぽい服で……とにかくすげぇいい!!
「じゃ、行こうか」
リヴが内心激しく興奮していると、レヴィは彼に向かって手を差し伸べる。
「ふぇ……?」
その意図が分からず、リヴは思わず首を傾げた。
「デートでしょ? だったら手つなごうよ。恋人みたいにさ」
「……」
恋人……恋人、恋人かぁ……お……。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
噴水前で衆目がある中、リヴはみっともなく叫ぶ。
「お願いしまぁっす!!」
リヴは差し出された手を握り返した。
「うん! じゃあ行こっか!」
「はい!」
リヴとレヴィのデートが始まった。
◇
「お、おいアレ……って」
「あぁ。レヴィ・ディザストだろ? んで隣にいんのは……」
「あぁ俺知ってるぜ? 昨日の『魔奏遊』に出場してたレヴィ・ディザストの魔物だよ」
「え、魔物と手なんか繋いでんのか。一体何考えてんだよ……」
「さぁな。最強の考えは俺達なんかにゃあ分かんねぇよ」
通り掛かる一般人や冒険者が手を繋ぐレヴィとリヴに聞こえない程度の小声でひそひそと話をする。
が、リヴは勿論レヴィもそんな事は全く気にしていなかった。
「あ、あのレヴィさん。今日はどこに行くんすか?」
「あー、そうだねー……。あんまり決めてなかったなー、私もデートってした事無いし……」
「……」
ま、マジかよ……。つーことは俺がレヴィさんのデートの初めての相手ってことじゃねぇか!!
あまりの吉報にリヴは内心で小躍りする。
「俺も初めてなんすよ!! お互い初めて同士っすね!!」
「あははは! そうだね!!」
二人は互いに笑い合う。そして、
ドガアァァァァァァァン!!
――周囲が吹き飛んだ。
「あ……?」
あまりにも唐突で突発的な出来事に、リヴは状況が理解出来ずキョロキョロと辺りを見回す。
「な、何だ。何だよ……コレ」
先程まで活気に溢れていた商店街は一瞬にして廃墟になり、店の人や客、通行人は死人になった。
「アハハハハハハハ!!」
「いたいたいた!! 見つけた【アンデッド】!!」
すると、廃墟と化した瓦礫の山の上に、二人……否、二体の異形の姿がある。
「来たね」
その中で、レヴィは淡々と状況を受け入れ、その二体に目を向けていた。
「レ、レヴィさん……これは……」
「リヴ。アレが昨日話した悪魔。どうやらもう来たみたい。予想よりちょっとだけ早かったね」
混乱するリヴに、レヴィは説明する。
「【アンデッド】!! 【アンデッド】!! 俺らの理から逸脱している魔物!! 理解出来ない、許せない、受け入れられない!!」
「殺す、殺す、殺す!!」
二体の悪魔はリヴに対し、並々ならぬ殺意を向ける。
「少し下がっててリヴ」
「うぇ……?」
リヴを手で制し、レヴィは一歩前に出た。
「……あ? 何だ、お前」
リヴの前に立つレヴィに、悪魔達はそう問い掛ける。
「嬉しいよ悪魔。わざわざ私に殺されるために会いに来てくれて!」
『……』
そんな彼女の言葉に、悪魔達は無言。そして、
『あああはははははははははは!!!』
爆笑の渦が起こる。
「聞いた? 聞いた聞いた?」
「あぁ聞いた聞いた。あの女、今俺達を殺すとか言ってた!!」
「冗談は存在だけにしてほしいな! アイツは人間、俺達は悪魔だぜ!」
「なぁ! 俺達に勝てるワケが無い!」
悪魔達の余裕は一切崩れない。それどころか、より一層自信を増長させていた。
レヴィはそんな悪魔達を見て、言った。
「君たち下位悪魔でしょ?」
「「……あ?」」
彼女の言葉に、時が静寂する。
「見れば分かるよ。上位悪魔とは明らかに違う。君ら弱そうだもん!」
「「……」」
悪魔達の視線が、レヴィに集中する。
「「ブッ殺す!!」」
「あはは、おいで!」
レヴィは大きく手を広げ、彼らを歓迎した。
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