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第十話 鬼の兄妹

「さ、今日から『魔奏遊』に向けて特訓だよリヴ!」

「はーっい!」


『魔奏遊』に出場することになったリヴは、大会を勝ち進むために特訓することになった。


「目指すは大会優勝! 今年の『魔奏遊』の優勝賞品は【斬存剣カイダ】! 数百年前からある名刀なんだってー!」

「そうなんすか! 良く分かんねぇっすけどレヴィさんが欲しいなら俺頑張ります!」

「うん! その意気その意気! じゃあ早速リヴの特訓に付き合ってくれる子たちを呼ぶね」

「へ……?」


 レヴィの言葉に、リヴはきょとんと首を傾げる。

 それもそのはずだ。彼はレヴィと特訓をして、あわよくばくんずほぐれつのボディタッチし放題の状況が待っていると思っていたのだから。


「レヴィさんが特訓してくれるんじゃないんすか?」

「ごめんねー。私用事があってさ。付きっきりでリヴの特訓ができないんだよ。でも安心して! 今から紹介する子たちも十分優秀だから! おーい入ってきてー!」


 レヴィがそう言うと、ガチャリと扉が開き、二人の男女が入室してきた。


「紹介するねリヴ。この子たちは鬼人族のバサラとユカリ! リヴと一緒で、私と契約してる魔物なんだー!」

「バサラだ」


 男の方は素っ気なく挨拶をし、


「ユ、ユカリです……! よろしくお願いします……!」


 女の方は非常に緊張した様子で頭を下げた。


「二人は兄弟でバサラが兄、ユカリが妹ね」


 最後に、レヴィがそう補足する。


「ほーん……」


 リヴはバサラとユカリを交互に見る。そしてリヴは両者の共通した特徴を見つけた。


「頭に角?」


 バサラの方には二本、ユカリの方には一本の角が生えていたのだ。


「そうそう。それが外見的な意味での鬼人きじん族の特徴だよ」


 レヴィの説明を耳に入れながら、リヴはあることを考えていた。


 ユカリってのは良い、女だからな。問題は……、


「てめぇだ!」

「何だ【アンデッド】。汚い顔を俺に近づけるな」

「ンだとてめぇ!?」


 いきなりバサラに罵倒されたリヴは、声を荒げる。


「レヴィさん。俺、本当にコイツを鍛えなきゃならないんですか?」

「うん、命令!」

「くっ……」


 心底嫌そうにバサラはリヴから顔を背けた。


「おいおい何イヤそうな顔してんだよ!! 俺の方がイヤなんだぞ!!」

「いいや俺の方が嫌だ」

「いーや俺だ!」

「俺だ」

「俺!」

「俺だ」

「俺!」

「俺だ」


 繰り返される『俺』の応酬、それに終止符を打ったのは、


「二人共静かにできるかな?」

「「……」」


 レヴィの他愛の無い笑顔だった。


「じゃ、仲良くねー!」


 そう言い残し、レヴィは去っていった。


「「……」」


 扉が閉まり、リヴとバサラは顔を見合わせた。



 リヴたちは王都から少し離れたノブリス草原に移動した。


「おい、お前レヴィさんのこと好きか?」

「はぁ? 急に何言ってんだお前」

「いいから答えろ! 大事なことなんだよ!」


 コイツは男で、しかも俺と同じでレヴィさんにテイムされてる。

 コイツもレヴィさんが好きなら、俺の恋の邪魔になる……!


 リヴが初対面のバサラに突っかかったのは、こういった考えがあったからだった。


「はぁ……。そんなの好きに決まってんだろ」

「……」


 マジかよ……。ヤベェどうすりゃいいんだ!!


 頭を抱えるリヴ。

 そんな彼を見て、バサラはようやく彼の意図を悟った。


「言っておくが、俺がレヴィさんを好きって言ったのは尊敬とか感謝とか、そういう意味合いだぞ」

「あぁ? つまりどういうことだよ」

「お前と違って恋愛的な意味での好きじゃないってことだ」


 ……。


 バサラの言葉に、リヴは無言になる。そして、


「なーんだ!! 俺の好きと違うのかよ!! びっくりしたぜぇ!」


 自分の好きとは違うということを理解したリヴは酷く安堵したように息を吐いた。


「……おい。お前本気でレヴィさんと今以上の関係になれると思ってるのか?」

「あー? ンなのあたりめぇだろ!」


 威勢のいいリヴの答えに、バサラは頭に手を当てる。


「親切心で先に言っておくぞ。それは不可能だ」

「はぁ!? やってみねぇと分かんねぇだろうが!」

「やらなくても分かる。あの人は……レヴィさんは俺たちを可愛い子供程度にしか思ってない」

「へん! だったら俺のことを意識してもらうまでだ! だからまず『魔奏遊』ってので優勝してレヴィさんを喜ばせる! そのために強くなる!」


 バサラの言葉に一切めげないリヴは高らかに宣言する。

 そんな彼に対し、バサラは「馬鹿が」と小さく呟いた。



「じゃあ特訓を始めるが、まずはお前の力を見せてもらうぞ」

「ん?」


 ぐしゃ。


「ってぇな!! いきなり何すんだよ!?」


 バサラによって胸を貫かれたリヴは堪らず声を上げる。


「なるほど。中々に凄まじい回復能力だな。レヴィさんがお前をテイムしたのも頷ける」


 そんなリヴを無視するバサラ。そして、次に彼はこう言った。


「俺はレヴィさんにお前を鍛えろと言われた。だがその内容に関してはこっちに一任されている。……一先ず、人型であるお前には『魔奏遊』までに格闘技術を死ぬ気で覚えてもらう。で、どうやってお前に教えるかだが」


 ぐしゃ。ばしゃ。


「だからいきなり止めろって!?」


 先程と同じように胸を貫かれ、そのまま地面に叩きつけられるリヴ。


「幸いお前は死なない。だから技術を体で覚えろ。死ぬ気でな」

「てめぇ……!!」


 激しくバサラを睨み付けるリヴ。


「お、お兄ちゃん! そ、そんなのあんまりだよ!」


 だがそこに口を挟む者が一人。

 レヴィが連れて来たもう一人の鬼人族。バサラの妹のユカリだ。


「だ、大丈夫ですかリヴさん……?」 


 ユカリはリヴの元に駆け寄る。


「あぁ? まぁすぐ治っから問題ねぇけどよぉ」

「ご、ごめんなさい。兄が乱暴で」


 自分がしたことでは無いにも関わらず真剣に謝罪をするユカリ。


 そんな彼女を前にしてリヴは、


 よく見たら……つーかよく見なくても、コイツすげぇつらの良い女じゃなねぇか。匂いもレヴィさんとはまた違った良いしよぉ……。


「ふん!!!」


 ぐしゃ、ばしゃ、どしゃ。


「だからてめぇは俺を攻撃しねぇと話ができねぇのか!?」


 殴られ、地面に叩きつけられ、蹴飛ばされたリヴは叫ぶ。


「ユカリを、俺の妹に下卑た視線を向けた罰だ」

「もーお兄ちゃん!!」


 こうして特訓の日々が始まった。


 そして二週間後、『魔奏遊』本番を迎える。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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「続きが気になる」


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