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座敷童のいち子 作者:有知春秋

【中部編•想いふ勇者の義】

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 場所は小木海岸の反対側、沖合い二キロメートル。白オロチの胴体。
 虎千代は白オロチの胴体に生える突起を斬り、吉法師は刀を白オロチの胴体に突き刺したまま後を追っていた。
 一〇〇メートルを超えている白オロチへの斬撃は人間なら紙で指を切った程度、更に再生していく白オロチの肉体ではやはりダメージは小さい。それならば何故、東大寺の青オロチを両断したような一撃を与えないのか?
 否。吉法師は刀を突き刺した時から第一形態のオロチなら両断できる力を使っている。それほどに第三形態のオロチは堅く、大袈裟な技を使う隙さえも能力で与えてくれない。しかし、紙で指を切る程度の小さな傷でも蓄積はある。加えて能力、風を使われている中で虎千代は突起を斬り、吉法師は刀を突き刺しながら斬っていられるのは、二人が八童レベルの実力者だからと言うしかない。
 このまま小さなダメージを蓄積させる作戦が本来の第三形態のオロチとの闘い方なのだが、オロチから見れば佐渡島のオロチが封印されている小木海岸は目と鼻の先、二首のオロチになれば小さなダメージの蓄積など言ってはいられなくなる。それこそ、人間側に多大な被害が出る激闘になる。そんな二首のオロチになる可能性が高い状況でも、二人の表情には余裕があり、建設的に対処しているように見える。
「虎千代。お前が三郎の意思以外で動くとはどういう風の吹き回しだ? 人間だった時の血がうずいたわけではあるまい」
「お主やお濃が佐渡島へ向かっていると神使から報告があってな。三郎の見解を聞こうと佐渡島へ来たら、この有様だ。理由としては……座敷童管理省への義とでも言っておくか」
「義……か。梓は良い仕事をしたようだな。ところで三郎はなんと言っていた?」
「相変わらず、動くな、としか言わない。……不便な座敷童だ」
「……そうか。……むっ!」
 グググと白オロチの胴体が鈍く動き出す。八太の能力が薄れてきたのを虎千代に視線を合わす事で共有し「我は頭に」と短い言葉で作戦を伝える。
「それでは私は海面に」
 吉法師の短い言葉に作戦の意図を理解した虎千代は白オロチの胴体を蹴り、飛び降りる。海面に足を付けると、右手の大刀を消して懐に手を入れる。スッと出した右手には長弓と矢、動き出す白オロチの胴体を避けながら海面を走り、弓を構える。
「白オロチを空に飛ばすなど論外。海に潜らせれば佐渡島のオロチへ一直線に向かい二首になる。時間を掛ければ封印から出てきた佐渡島のオロチとの二匹になる。二首か二匹かのどちらか……だが、二匹になれば三郎が佐渡島のオロチを相手にする。すなわち、私と吉法師の役目は二首の阻止」走りながら白オロチの顔面に矢先を向ける。矢は撃たない。虎千代の役目は、白オロチが海面に頭を突っ込もうとしたら矢を放ち、海に潜らせない事だから。
 吉法師は白オロチの頭頂部に着くと左手の大刀を頭部に刺し込み、右手の大刀を消して懐に手を入れる。懐からスッと出した右手には縄、長さは一メートルほど。両端に石が縛られていることから琉球古武道の武器、スルチンだとわかる。片方の石を掴み、縦に回転させると「むんっ!」と力を入れて、片方の石を掴んだまま白オロチの胴体から外れた中空にもう片方の石を飛ばす。本来は獲物を捕らえるために投げ飛ばすスルチンだが、吉法師は片方の石を掴んだまま投げていない。だが、吉法師のスルチンは座敷童側の物、大きさ、長さなど持ち主の意思で変えられる。
 スルチンの縄が一〇メートル二〇メートルと伸び、もう片方の石が白オロチの頭部に回って戻ってくる。吉法師は石を掴もうとはせず、縄は更に白オロチの頭部を回り、巻き付くように一周する。吉法師は左手の大刀を消すと戻ってきた石をバシッと掴み取り、スルチンを白オロチを制御する手綱にした。作戦はあくまでも二首の阻止。白オロチを海に潜らせず、空に行かせない戦法に取りかかる。
 だが、虎千代は矢を放たず、吉法師も攻撃しないとなれば、白オロチは成長を続けるのみ。時間を掛けるほど、佐渡島のオロチは白オロチに共鳴し、蘇ってしまう。攻撃しない以上は、戦況は不利になっていくだけだ。
 太鼓橋にいる戦力は八太とお濃と理子だが、誰も動こうとはしない。吉法師と虎千代も白オロチの行動範囲を制限する以外に特別な動きは見せない。だが、それぞれが上を見ている。
 吉法師が手綱を空に向けて、白オロチの口を空に向けた瞬間——
 天候は雲一つない快晴。だが、空はピカッと光り、白オロチの口に向けて閃光が走る。刹那、白オロチの口の中へ伸びる閃光は腹を破り、海面に衝突する寸前にクンッと海面を添うように方向を変える。閃光はそのまま海面すれすれを白オロチに向かうように旋回し、白オロチに向かって伸びて行く。
 吉法師は白オロチの頭部を閃光に向けるように手綱を操る。閃光は意思を持つように白オロチの口へ入り、吉法師の背後、首筋を突き破って出てくる。
 白オロチは手綱の制御に逆らうように海面へ頭部を向けるが、ドンッと顎に衝撃が走り、無理矢理上を向かされる。その顎先には、虎千代の意思で長く太くなった矢が刺さっている。
 吉法師は手綱で白オロチを操り、虎千代は海面から矢を放ち海へ潜ろうとする白オロチの目的を阻害。そして閃光、白黒は電光石火で白オロチの口の中へ入り、体内を焼きながら突き破って外に出る。白オロチの一〇〇メートルを越える体格だからこそ、白黒は飲み込まれる前に電光石火で内皮を破ってダメージを与えられる。
 白オロチは空中へ逃れようとするが、吉法師が握る手綱で頭部を海面に向かされるため、初動から上ではなく左右に頭部を持っていかれて空へは行けない。それならばと海面へ頭部を向けるが、虎千代からの矢撃で顎先を上げられ、海面にさえ行けない。結果、吉法師の手綱に空への逃避を阻害され、虎千代の矢に海中へ潜る事ができない白オロチは、上下の自由を奪われ、左右に身体を揺らす事しかできない。

 この一連の戦闘こそ対白オロチへの策その一になる。

 そして上下の自由を奪われた白オロチは、追い込まれるほど、その習性に執着するようになる。
 オロチはオロチに向かって行く。空中戦が得意な白オロチが上下の自由を奪われれば『より目の前の小木海岸、佐渡島のオロチへ向かおうとする』。更に、追い込まれるほど行動が単調になるのは生物なら当たり前。そのため吉法師は更に手綱で空中への逃避をさせないように邪魔し、虎千代は海面から矢を放つ事で、目の前の小木海岸、佐渡島のオロチという餌に執着させる。

 しずかと巴が喧嘩した時のように、空を飛んでいる者を地上にいる者が攻撃するには苦労する。
 白オロチが第一形態なら能力は使えないため、東大寺の青オロチのようにその場で倒す事はできる。だが、第二形態になるとオロチは能力を使い、白オロチは空を飛ぶ。そのため、空を飛べない者は自分達が有利になる戦場を選び、経験から学んだオロチの習性を利用できる環境を作る。戦法を有利に運ぶために、佐渡島のオロチが封印されている小木海岸の間近を戦場にしたということだ。
 しかし、オロチとオロチが近づけば共鳴するため、二首になる危険性は上がる。だが、それも、一人でオロチと闘い続ける八童三郎がいれば、本来なら愚策になっても良策に変わる。
 しずかと白オロチの相性が悪い時点で『しずかが恩恵を使わない限り』座敷童は白オロチとの空中戦では不利、吉法師と虎千代は三郎がいるからこそ小木海岸を間近にした海域を戦場にできると判断し、白黒を攻撃要員として白オロチ封じを実行した。

 その結果、吉法師と虎千代と白黒の連携技は成功。有利になっている。時間があれば、白オロチが弱るまで一方的な攻撃を続けられる。が先にも述べたように、電光石火とは短距離選手のように体力を消耗する。
 閃光、白黒は吉法師の横でピタと止まると、バサァと羽を広げ、全身を光らせていた放電を無くす。
『吉法師、俺はこれまでだ』
「うむ。美菜が来ていると聞いたのだが?」
『美菜なら……〜』クイと浜辺の方へ嘴を向ける。
 吉法師は嘴の先、数キロ先の浜辺を見る。ゴウンゴウンと重い音を響かせながらこちらへ向かってくる物体に疑問符を浮かべ、目を凝らしてその物体を再度見る。額に一滴の汗が浮かぶと物体は更に大きくなり、二滴浮かぶと更に物体は大きくなり、額に大量の汗が溜まった時には白オロチの体長を越えていた。
「あ、アレは、なんだ?」
『大和型戦艦三番艦、信濃。戦艦から航空母艦に設計変更したため、戦艦ではなく空母なのだが……』
「そ、そんな事は聞いていない。何故、小木海岸に空母なのだ?」
『美菜は家主の元から離れているため、近接ではオロチと闘えない。そのため、家主から貰ったオモチャで闘う。場所が中部地方という事で【指揮艦】を信濃だと、よくわからない事を言っていた』
「空母でどうやって闘うのだ?」
 吉法師の疑問はごもっとも。空母は多少の兵器は装備しているが戦闘機を運ぶのを主な目的として造られている。しかし、吉法師の疑問は解決する事なく、ドォンッと轟音が小木海岸に響く。
 と、風切り音とほぼ同時に吉法師の背後、白オロチの胴体にドンッと青色の球がめり込む。
「なっ! 何事……だ?」と後ろを見ると、二隻の戦艦を中心に様々な船が白オロチを挟むように向かって来ていた。
『吉法師。右が大和型戦艦一番艦の大和、左が二番艦の武蔵だ。他にも駆逐艦や巡洋艦など名だたる名鑑が多々ある。……気をつけろ。今のはたまたまオロチに当たっただけだ』
 白黒は羽根を羽ばたかせながら不吉な言葉を残すと、翔達がいる太鼓橋へと飛んで行った。
「気をつけろとは異な事を……」
 吉法師は艦隊から正面の信濃へ向き直る。信濃の滑走路では、円状に置いてある『沢山のラジコンのリモコン』を前にしている高校生ぐらいの女の子、頭部の右側一束分を垂れ下げている美菜が一生懸命にリモコンを操作していた。
 ラジコンをオモチャと思うなかれ。戦艦や戦車などのラジコンには砲台があり、BB弾での発射機能も付いている。そして座敷童が遊ぶオモチャをソレだけの機能と思うなかれ。家主の気持ちと能力を利用すればそれなりの威力を出せる。青い球が白オロチの胴体にめり込んだ事から、何かしらの能力を使っているはずだが、今の段階ではめり込むという表面的な部分しかわからず、能力の全容はわからない。そして、白黒が『たまたまオロチに当たっただけだ』と言った通り、ラジコンには照準機能は無いため、ドドドンッと大和と武蔵の四六センチメートル三連装砲三基が轟音を鳴らしても、たまたまでしか白オロチに玉は当たらない。
「こ、これは、我が手綱でオロチを操り、向かってくる球に向かって行けということか……?」
 元がBB弾とはいえ白オロチの胴体にめり込むほどの威力がある。その向かってくる球に白オロチを向けるということは、同時に自分も弾丸の嵐へ向かうことを意味する。だが、今の武力は美菜の艦隊のみ。右からは大和、左からは武蔵、その横や背後で隊列を作る駆逐艦や巡洋艦からも遠慮なしにドドンドドンと球が発射されている。
 吉法師は正面にいる信濃の滑走路を見る。そこには、目を疑いたくなるほどの大量の戦車が鎮座し、砲撃準備していた。
「虎千代、変わってくれ!?」と海面に向かって言った瞬間、ヒュッと矢が頰をかすめる。矢の出どころでは「何か言ったか?」と言いながら次の矢の準備をしていた。
「…………左右、正面、下に逃げ道なし。オロチの習性から後ろにも行けない。対白オロチには有効な四面楚歌だが、これほど嬉しくない四面楚歌はない」
 信濃の滑走路では美菜が準備万端だと言わんばかりに手を振り、海面では虎千代が長弓を構える。
「どうしたものか……」
 死亡率が右肩上がりな現状に打開策は思い浮かばず、太鼓橋を見る。だが、いち子とかぼちゃを背負ったさとは欄干に尻を付けて巨大なおにぎりを食べ、その後ろでは八太がスナック菓子をモサモサと食べている。座敷童からの援護は期待できない。八太の横では、翔と達也と梓と理子が右腕を顔横で折って敬礼している。話にならない。
(まったく……)と吉法師はため息を吐くと、ふとお濃がいないのに気づく。お濃を探すように周りを見ると、白黒に腰帯を掴まれながら美菜のいる信濃に向かっているのを見つけた。
「うむ。太鼓橋にいる連中は一斉放火に我が巻き込まれるのを期待し、お濃は一斉放火の合図は自分でしたいといったところか」
 戦国の覇者と言われている織田信長にも敗戦経験はあるが、単騎で艦隊に囲まれるという敗戦経験は無い。
(オロチは多勢に無勢の座敷童に毎回こんな気持ちになっていたのか……)と吉法師はしみじみ思った。
 お濃が信濃に到着すれば一斉放火が始まる。それは変えられない未来だ。どうする? と考えたところで意味はない。吉法師のやる事は手綱を握って白オロチを空に行かせない事。深呼吸して気持ちを整える。お濃は滑走路に足を付けて美菜の横に立つ。白黒が助けにくるか? と期待し白黒を見るが、見晴らしの良い信濃の司令室に向かい、屋根で羽を休ませる。
「真っ赤っかになるしかないようだな……」と呟き、真っ赤っかになろうと気合いを入れようとした時、白黒の嘴が小木海岸の方向へ向く。「なにかあるのか?」と白黒の嘴が向いた先に視線を向ける。それとほぼ同時に、海面から「吉法師、やっかいなのがきた」と虎千代の声が届く。
「……あやつ、梅田家から付いてきていたのか」
 二人の視線の先にはたらい舟を漕いでこちらへ向かってくる五分刈りの少年がいた。小木海岸の外、それも強い波の中、たらい舟を漕いでいる時点で座敷童。この座敷童は、滋賀県の梅田家で梓に悪戯してワサビを食わされ、反抗的になったらローキックを喰らわされた五分刈り座敷童だ。
 五分刈り座敷童は白オロチの近くまで来ると「吉法師! 虎千代! 助けに……?」ヒュッと風切り音の後にズガンッと白オロチの尻尾がたらい舟に直撃する。
 吉法師と虎千代は視線を白オロチに戻し、海面を跳ねながら飛んでいくたらい舟を見なかった事にする。そんな二人の耳に「がははははははは」と大笑いが届く。
 五分刈り座敷童は白オロチの尻尾に掴まり、胴体によじ登ってくる。吉法師は手綱を引いて五分刈りを振り落とそうとし、虎千代は五分刈りに向かって矢を放つ。五分刈り座敷童は矢を躱し、暴れる白オロチを物ともせず、頭頂部に向かってくる。
「「何しにきた!」」
 吉法師と虎千代は五分刈り座敷童を邪険にする中、五分刈り座敷童はがはははははと笑いながら頭部に着き、爽快爽快と言いながら額の汗を拭う。
 更に、五分刈り座敷童は息を整えるように深呼吸すると「疾きこと……」と言いながらピョンと白オロチの頭頂部から飛び降り「ローキックの如く!」と言いながらズゴンッと白オロチの顎先にドンッと右ローキックを放ち、白オロチの頭部を左に跳ねらせる。その瞬間、ローキックを放った方向に強風が吹く。更に、下降しながら「徐かなること……ローキックの如く!」と白オロチの胴体にドゴンッとローキックを放ち、白オロチの胴体をくの字にすると「侵掠すること……ローキックの如く!」とローキックを放った瞬間にズボォウと白オロチの胴体が火柱を作るように燃え上がる。そして、海面に足を付けると拳を作り、正拳突きの構えになると「動かざること……」と言いながらゆっくりと膝を曲げ、ヒュオォォォオと息を吸い込むとギリッと拳を鳴らし「ローキックの如し!」とローキックを放つ。
 うねる火柱のような白オロチがローキックの威力で海面を滑る中、五分刈り座敷童は決まったとばかりに太鼓橋の方へ振り向き、梓へ指差すと「コレがローキックだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」「放てぇ!!!!」とお濃の一斉放火の合図と重なる。
「?」
 五分刈り座敷童が疑問符を浮かべる。
 そんな中、虎千代は海面を走り、白オロチの胴体に乗り、頭部へと登って行く。

 円状に隊列された艦隊に一斉放火された場合、海面と白オロチの頭頂部どちらが危険だろうか?

 ドドドドと一斉放火の轟音が響く中、虎千代は吉法師がいる頭頂部に着く。
「わざわざ危険地帯にくるとは……」
「うつけ、本物の戦艦ならいざ知らず、元がオモチャでは照準機能は無い。そして白オロチの硬い胴体に球がめり込む程の威力を生んでいる事から、美菜の能力は砲台か船全体に向けられている。従って、命中率が低く、強力な球を放てるだけのオモチャなら、大量の球が降ってくる海面にいるよりも、的が小さい頭頂部の方が安全だ」
「なるほど。しかし、いかに的が小さいとはいえ、一斉放火の球は無差別にやってくる。その辺はどうするのだ?」
「何かしらの能力を与えていたとしても、球は丸く、砲台も本物ではないため飛距離は出せない。結果、当たればめり込む程の威力はあるが、飛距離のない球は海面>海面を動くオロチの胴体>中空を左右に動く胴体>常に左右上下に動く頭部、この順に球が当たる確率が下がっていく」懐に手を入れて縄を出すと、吉法師と自分の腰を縄で繋げながら「この確率から、お主が手綱を操っている間、私が直撃しそうな球を矢で射抜けば、私達は生き残れる。ヤツは知らん」
「うむ。背中は任した」
「落ちた時は、私が球を矢で射抜いている間に、お主は縄を切れ。でなければ二人共死ぬ」
「うむ」
「よし、虎千代は右、俺は左だ。吉法師、手綱をしっかり持っていろよ!」
「「…………」」
 吉法師と虎千代は縄を追加して縛ってくる五分刈りの座敷童に「勝千代。梓に何かを見たなら海を潜って太鼓橋に行け」と吉法師、「悪影響にしかならん。中部から去れ」と虎千代は言う。
「がははははは」
 五分刈り座敷童、勝千代は小学生高学年ぐらいの体格からゆっくりと大人の体格になり、浴衣から筋肉質で毛深い腕や胸や足を出すと、野太い声で「吉法師、ちと危うい女子(おなご)と思って付いてきただけぞ! 虎千代も久々の同窓会ぞ、遠慮するでない!」
「何が同窓会だ。去れ」
「……勝千代、梓が危ういとはなんだ?」
「俺の琴線に響くローキックぞ、人間には危険でもったいない」
「「もういい。去れ」」

 吉法師、虎千代、勝千代、戦国時代の三英雄と昭和時代を代表する大和型戦艦三姉妹が今————

『どっせぇぇぇぇぇぇい!』

 太鼓橋からの大声に動きを止めた。


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