053 終結
「さて、あとはこのダンジョンの最深部かな」
このダンジョンで残っている光点は最深部のボスらしき星形の白い光点とその近くに赤い光点、そしてジェード君とオニキスだろう水色の光点が2つあるのみ。
わたしたちはグリフィンナイツ24名、月夜の黒猫8名、他ギルドの人質12名、そしてわたしの計45名という大所帯で最深部へと向かった。
人質にされてた人たちの中には戦闘技能を持たない人やレベルが低い人とかもいたけど、そもそも魔物はポップした瞬間にはわたしの弓に射抜かれてるし、罠も全部発見できてるしで危険はない。というか、《久遠の彼方》を攻略してた時との格差だよね。あのときは罠とかで何度も死にかけたって言うのに……。魔物のレベルも一番高いので40とか、一撃で消し飛ぶ相手しかいない。まぁ、一撃で無理だったとしても分体ジェード君が倒してくれると思うんだけどね。
「さて、ついたわけだけど……」
「あ、マスター。済みません、迎えに行くのが遅れてしまって」
「こやつで終わりである、我が主よ。最後であるから多少反省させてやろうとしているのであるが、いやはやどうにも脆くて手加減が難しいであるな」
んー、君たちの足元に転がってる物体は、元は人間だったのかなー?
オニキスが回復魔法をかけると、足元の赤黒い球体っぽいものはすぐさま人間の形に戻った。あんな状態からでも回復すると服とかちゃんと元に戻るんだなぁ。ゲームらしい。まぁ、そうでもないとわたしなんかは今頃全裸だったとしてもおかしくないので、ありがたし。わたし肉付きよくないしちんまりしてるし女性的な魅力が欠片もないから見ても嬉しくもないだろうけど……。自分で言ってて凹む。
「た、助けてくれ、何でも、何でも言うことを聞く、もし生かしておけないというなら、むしろいっそのこと早く殺してくれっ」
あー完全に心折れちゃってるよ。ジェード君、オニキス、君たちなにしたのさ。
「ベルムンク……」
カイト君がなんか知ってるみたい。
話を聞くと、こいつが今回の首謀者、グリードグリムのギルドマスター「ベルムンク」らしい。レベル44の剣闘士でかなり有名なプレイヤーだとか。ただ、強いけどちょっとイカレた感じの人で、言動も結構危なかったそうな。本当にもともと危なかった人なのか、この事件起こしたからいままでの行動が危なく見えたのかはわたしには判断できないけど。
「んー、ジェード君、オニキス、他のグリードグリムのメンバーはどうしたの?」
まぁ、マップの光点でわかってはいるけど一応確認。
「はい。すべて始末しました」
「我が主の報復としてなるべく苦しませて反省させてから殺したである」
まぁ、二人とも魔物だし、そこらへんの価値観とかはわたし達とはだいぶ違うんだろうなぁ。わたしも今回ばかりは認めちゃうよ。グリードグリムの人たちはちょっと、やりすぎちゃったよね。無関係の人を10人単位で殺人してるってのは擁護できない。
「マスター、この男どうしましょうか」
「HPは一ケタにとどめてあるゆえ、すぐにでも処分できるのであるが」
「んー」
どうしようかなぁ。いくつかいい選択は考え付くけど、今回はわたしも随分痛めつけられて結構頭にきてるんだよねぇ。あのチンピラーズたちはジェード君とオニキスに掃除されただろうし、怒りとかをぶつけるのはこいつしか残ってないわけで。
「んじゃ、ダイスで決めよう。1d6で、1か2が出たらわたしが殺す。3か4が出たらジェード君とオニキスがやって。5か6ならまぁ、牢獄いきかな」
3分の1で生き残れるダイス。まーわたしの怒り度合いからするとこんなところかな。
「はっ、殺すってお前がか。嬢ちゃんにそんな覚悟があるとは思えねぇがな」
ジェード君とオニキスにはあれだけおびえていたベルムンクがわたしにはやけに強気だ。今の言葉で2人から濃密な殺気が漏れてるんですがー。気づいてますかー。
あと、一つだけ訂正しておこう。
わたしはベルムンクの耳元で一言だけ囁いてから、みんなに見えるようにシステムダイスを振った。
《システムロール:1d6→5》
「よかったねー、死ななくて。じゃあカイト君、このベルムンクって人あげるよ。一応今回の主犯だし、使えることもあるんじゃないかな……」
「あ、うん、それなら他のギルドに引き渡すけど」
カイト君以下44名はわたしたちのやり取りを呆然と見ているだけだった。いまも生返事で目の前の光景に目を離せないみたい。まぁ、そうだよねぇ。
「ミオさん、その、あの二人(?)は、一体何?」
カイト君の指さす先には二人から殺気を受けて気絶したらしいベルムンクと、彼を足で押さえつけている巨大な鳥。そして、緑色のぶよぶよした物体。
この部屋に入った時からシリアスな展開っぽいから突っ込まなかったんだけどさ。
――うん、君たちなんでその姿なわけ?
あっさりとボスも撃破。出目によってはミオさんのベルムンク殺害ルートもあったんですが、ここでは手を汚すことはありませんでした。のほほんとしているようでこういう判断は非常にシビアです。理由はのちのち明らかになるかな。




