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1945年8月31日 前編

今回も見ていただきありがとうございます!

皆様のおかげでこの作品はランキングに載ることができました!

他にも評価やブックマーク、リアクションいただきとても嬉しいです!

感想なども良い点、悪い点関わらず募集してます!


まだまだ、読みやすい文ではないですが頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いします!

朝。

ホテル・ニューグランドの315号室で、俺は目を覚ました。

「……やっぱり、夢じゃないのか」

鏡に映るマッカーサーの姿を見て、俺は改めて、自分がマッカーサーになってしまったのだと認識する。

今日は8月31日。

マッカーサーが来日して二日目。

そして――

ここから、本格的にマッカーサーが日本を動かし始める。

だから、俺もマッカーサーとして、日本を救うために動き出さなければならない。

……そう思っていた。

しかし――

昨日見た光景が、頭から離れない。

焼け野原になった街。

瓦礫。

住む場所を失った人々。

そして、敗戦を受け入れ、アメリカ軍に敬礼する日本兵。

「…………」

昨日までの俺なら、いくらでも日本を救う方法を語れた。

でも、実際の日本を見てしまった今は――

何から手をつければいいのか分からない。

頭が真っ白になる。

その時だった。

「元帥、朝食のお時間です」

部下から声をかけられた。

「……ああ。分かった」

気持ちを切り替え、俺は朝食へ向かった。

ーーーー

用意された朝食を済ませる。

すると、ある男が俺に会いに来た。

「…………」

俺は、その男を見た瞬間に息をのんだ。

かなり痩せこけている。

長い間、まともな食事を取ることができなかったのだろう。

しかし、その顔には見覚えがあった。

「3年ぶりです。マッカーサー元帥」

「……ああ。久しぶりだな」

俺は彼を知っていた。

いや――

正確には、歴史の教科書で知っていた。

彼の名前は、

ジョナサン・ウェインライト。

アメリカ陸軍中将。

そして、フィリピンで日本軍に降伏し、捕虜となった人物として知られている。

マッカーサーにとっても、非常に深い関係を持つ人物だ。

俺は知識として、彼の人生を知っている。

しかし――

今、目の前にいる彼は、教科書の中の人物ではない。

一人の人間として、俺の目の前に立っている。

「…………」

俺は、改めて彼の姿を見る。

痩せ細った身体。

長い捕虜生活の跡が、はっきりと残っていた。

マッカーサーとウェインライトが最後に別れたのは、1942年のフィリピンだった。

日本軍の攻撃を受けたマッカーサーは、オーストラリアへ脱出することになった。

その際、フィリピンに残るウェインライトに任務を託した。

そして――

「I shall return」

――私は必ず戻る。

マッカーサーが残した、あまりにも有名な言葉。

だが、現実には――

マッカーサーは戻ってくるまでに3年以上の時間を必要とした。

その間、ウェインライトは日本軍の捕虜となった。

俺は、それを知っている。

だからこそ――

何を言えばいいのか分からなかった。

「戻ってこられなくてすまなかった」と謝るべきなのか。

それとも、

「再会できて嬉しい」と喜ぶべきなのか。

俺自身には、答えが出せなかった。

そんな俺を見て、ウェインライトが口を開いた。

「元帥には、申し訳ない気持ちでいっぱいです」

「…………」

「あなたに任されたフィリピンを守ることができなかった。そして、敗北の不名誉をあなたにも背負わせてしまった……」

ウェインライトは、少し俯いた。

「ですが――」

そして、俺の顔を見る。

「私は、再びあなたに会うことができた」

「…………」

「それが……嬉しいです」

その言葉を聞いた瞬間――

俺は胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

この人は、3年間も捕虜として生きてきた。

それでも今、目の前にいるマッカーサーを責めるのではなく、

「再会できて嬉しい」

と言っている。

俺は、マッカーサーの代わりに答えた。

「ああ……私も、君という戦友に再び会えて嬉しいよ」

そう言って、俺は彼の細い身体に手を伸ばした。

ウェインライトと握手を交わす。

その瞬間――

カメラのシャッター音が響いた。

同席していた記者が、二人の再会を記念して写真を撮ったのだ。

俺は、ウェインライトと肩を並べる。

そして――

一枚の写真が残された。

1945年8月31日。

ホテル・ニューグランド。

3年以上の時を経た、二人の再会だった。

ーーーー

その後、俺はウェインライトたちのために食事を用意させた。

捕虜だった彼らは、見るからに痩せ細っている。

「少しでも身体を回復させてもらわないとな……」

彼らには、これからやってもらいたい仕事もある。

占領統治は、俺一人でできるものではない。

そして何より――

彼らは、3年間も捕虜として耐え抜いた。

今は少しでも身体を休めてほしかった。

俺は、食事を取るウェインライトたちを静かに見つめる。

(これが……俺がこれから一緒に日本を動かしていく人たちなのか)

昨日まで、俺は歴史の教科書から1945年を見ていた。

でも――

もう違う。

俺は今、この時代の中にいる。

歴史を読む側ではない。

歴史を作る側にいる。

「…………」

俺は、窓の外を見る。

まだ、日本は何も変わっていない。

そして俺も――

まだ、何をすれば日本を救えるのか分かっていない。

だが、少なくとも一つだけ分かった。

この時代には、俺の知らない人間たちがいる。

その一人一人と向き合いながら――

俺は、この国の未来を決めていかなければならない。

1945年8月31日。

マッカーサーとしての俺の二日目が、始まった。

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