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Kissから始まる魔法学園  作者: 栗間屋 ラヒ
第1章 Kissから始まった高校生活
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第1話「ハジマリ1」

4月、オレはけたたましく耳元で鳴る目覚まし時計の音で起こされた。見ると、まだ8時ではないか。…8時?


「やばいやばいやばい、今日から学校とか忘れてたっ」


そう、今日は、オレがこれから通う私立明縁学園の入学式だった。


朝、急いで登校してギリギリ間に合ったオレは、自分のクラスがどこかを確認して教室に入った。

初日から、遅刻は免れたが、走って入ってきたせいか、入室時、思いっきり注目されていた。

恐る恐る自分の席を確認して座ると、横から、何事にも興味なさそーな声がかけられた。

見ると、光が反射して光る長過ぎず短すぎない長さの銀髪と雪の様に白い肌が特徴のかわいらしい少女、沢村魅月(みつき)が座っていた。


「初日から、遅刻ギリギリとか、これからホントに大丈夫なの?慧」


「今日は、たまたまだ。それにしても、魅月がこんなに早く学校に来てるとはな。明日の天気は雨かな?」


「今日は、がんばったの」


「問題は、明日も頑張れるかだけどね」


「がんばる!」


本当にやる気があるのかないのかわからない「がんばる!」は中学のとき何度も聞いたが、後日、遅刻記録を更新したという話しか聞いたことがない。


それから、少しの間、喋っていると、担任の先生が来た。若くてイケメンだ。よく見ると見慣れた叔父さんで、ニヤニヤしながら、こっちを見ていた。


「おはよう!今日から、一年間君達のクラスの担任の、神谷陣です。一年間よろしく!」


生徒たちは、律儀におはようございますと、小声で言っている。


「これから入学式があるので、君達は、第一体育館へと移動します。さぁ、廊下に並んで。」


ゾロゾロと廊下に生徒達が並んでいくときに、「担任、イケメンで良かった。」みたいな声が、チラホラ聞こえた。そんな中、そのイケメンの担任がニヤニヤしながら、オレに近づいてきた。


「よぉ、慧!お前、珍しく今日遅刻しかけたって聞いたぞ。お前が寝坊なんてな。珍しすぎて聞いたときは何度も聞き返したぞ。」


「幸せすぎる春休み気分が、ちょっと抜けてなかったんだよ!」


「そうか、そうか。まぁ、中学の時は、いろいろ大変だったって聞いぞ。父さんから、スパルタ教育で魔法を教わったんだってな。そりゃ、春休みが幸せな感じるだろうな。」


「あぁ、でも今度は、叔父さんのスパルタ魔法指導を受けると思うと、地獄に戻ってきた気分だよ」


「安心しろよ。オレは、父さんみたく、無茶は言わねぇから。でも、あの神谷宗一郎から、魔法の指導なんてどれだけ金積んだら、受けられると思ってんだ。そこだけ見りゃお前は幸せモンだよ」


「あぁ、爺さんから、異常と思うほどスパルタ教育されるなんて魔法使いにとっちゃ、幸せなんだろうよ。」


オレの爺さん、神谷宗一郎は、世界にいる魔法使いでも最高ランクのSSランクの魔法使いだ。ちなみに、SSランクの魔法使いは世界でも、10人しかいない。そのSSランクのトップに君臨しているのが、神谷宗一郎だ。そして、オレ、神谷慧は、その孫にあたる。


クラス全員が並び終えて、出発したのでテキトーに、列の最後尾を歩いていると、ニヤニヤしながら気軽に話かけてくるイケメン教師がまた絡んできた。


「お前、最後尾なんか歩いてどうしたんだよ。せっかく魅月ちゃんの隣なのに。まさか、ケンカでもしちゃった?」


と、笑いながら聞いてくる叔父に


「いや、してねぇし、する理由もまったく見当たんねぇよ!」

と、少しキレながら答えるが、


「何だよ。ケンカじゃねぇのかよ、つまんねぇな。ところで、魅月ちゃんとはどこまで言ったんですか?慧さんっ」

勢いも衰えず、聞いてくる叔父。


「そんな仲じゃねぇ事知ってんだろっ!」


「えぇ、つまんなぁい。でも、早くそんな仲になっとけよ。あんなカワイイ子、全然いねぇぞ。それに、相性96%なんて、死ぬ気で見つけても、見つかるかどうか」


「まぁ、それはそうだな」


それを聞いたら、ニヤニヤし始めたイケメン教師は、


「お前も、やっとあの子の可愛さに気づいたか。」

と、わざわざそんなことを言ってきた。


「いや、そっちの話じゃなくて、相性の方が重要だろっ!」


「えー、でも、かわいいでしょ?」


「まぁ、そりゃな…」


「あとで、魅月ちゃんに言っといてやるよ」


「言わんくていいわっ!」


「それにしても、相性が重要か。お前も男になったのかなぁ。叔父さん嬉しいっ。」


「あんたの言ってる相性とオレの言ってる相性が全く違うと思うんだが?」


「ハイハイ、分かってますよぉ。」


と、下らない話をしていると、第一体育館に着いた。


隣には、桃色の髪をショートカットにしたかわいい少女が座っていた。目もパッチリで、実に愛らしい少女だ。でも、どこかで見た事があるような気がする。


長い間見ていたのか、相手がこっちをガン見している。


「けーいっ!久しぶりだねっ!」


あぁ、この声、桃香(ももか)か。まったく変わってないな。


「桃香か。久しぶりだな。小学校を卒業してから、会ってないから、3年ぶりか?それにしても、少し大人っぽくなったか?かわいくなったな。」


「えっ?」


と、驚いたあと、頬を赤らめた桃香は


「あ、ありがと。慧もカッコ良くなったね。…前からだけど。」


最後の方は、よく聞こえなかったが、まぁ、いいだろう。


「それにしても、同じクラスに魅月以外の知り合いがいて良かったよ。」


「ん?魅月って誰?」


「あぁ、あいつのことだよ。ホラ、あの銀髪の。」

と、指を指しながら言ってやった。


「あのカワイイ子のこと?」


「あぁ。」


すると、急に焦ったように


「あの子とはどんな関係なの?」

と、浮気をさた夫のような質問を投げかけられた。


「別にフツーのクラスメートだよ。あ、でも、爺さんがなんかオレの許嫁とか言ってたな、オレの意思とは関係なしに。笑っちゃうよな?」


「まったく笑えないんですけど」


と、なぜかマジ顔でキレられた。オレ、変なこと言ったかな?


入学式が始まったので怒っている桃香とは、喋るのをやめた。

そこから、生徒会長の言葉や、新入生代表の言葉があって、とうとう理事長の言葉になった。そう、あの悪夢の日々を贈ってくれた爺さんの言葉に。


「やぁ、新入生諸君。君達は、魔法使いという神に選ばれし者達だ。君達も知っているように、魔法は、世界で最も使われている技術である。それを操るのが、君達、魔法使いの役目の1つであり、存在理由の1つだ。」


そこから、数秒黙って


「……うーん、やっぱ、堅苦しいの話は無しにしよう。」


やっぱりか。真面目な話するから、ビックリしちまった。


「君達は、もうキスした?錠の魔法使いが魔法を使うのに、必要なキス。なぜかはわからんが、鍵の魔法使いは最初から、魔法を使えんのに、錠の魔法使いは、キスしなきゃ魔法を使えねぇんだよな。ま、キスしたら、強力な魔法が使えるんだがな。若い者達は恥ずかくて、まだしてねぇ奴が多いだろ?オレも昔そうでさぁ、チョー恥ずかしかったよ。」


ここから、爺さんの恋バナが10分程度続くので、説明しよう。


魔法使いには、2つの種類がいる。さっき爺さんが言ってた、「鍵の魔法使い」と「錠の魔法使い」だ。

爺さんが言っていたように、鍵の魔法使いは生まれてから、すぐ魔法が使える。

だが、オレを含む錠の魔法使いは、1度キスをしないと、魔法が使えない。しかも、相手も誰でも言い訳ではなく、15ある属性魔法の系統が同じ鍵と錠じゃなきゃならない。

しかも、相性が50%以上というオマケつきだ。叔父さんの言ってた相性とはコレの事だ。

だが、オレの場合はもっとすごい条件で、


「そーいや、今日、入学したオレのかわいい孫が、特殊でさぁ。全部の属性の錠を持ってんだけど、相性が90%以上じゃなきゃ、錠が開かなくてな。だから、うちの孫と相性が高いやつは、うちのやつとキスしてやって。お願い!」


と、オレの説明は爺さんが全部やってくれたようだ。

ったく、なんてジジィだ。

オレの事情は、全校に知られちまった。名前を出さないだけいいかと、思ったが、すぐバレるな。こりゃ。


隣から、クスクスと笑い声がする。桃香の機嫌が直ったのかもしれない。いい事をしてくれた礼に、殴るのは2、3発にしてやろう。


入学式が終わり、教室に戻ってきた。桃香の機嫌も直ったようで、笑いながら話かけてきた。


「やっぱり慧のお爺さん面白い人だね。入学式であんなこと言うなんて。」


「面白い?どこがだよ?そのせいでこっちはいつも迷惑だっての」


「ふーん。そういえばさ、まだ魔法は使えないの?」


「あぁ、まだキスしてねぇからな。」


「あの銀髪の子とも?」


「あぁ。」


「ふーん。そーなんだ。…じゃあ、まだ私にもチャンスがあるってことかな?」


また最後の方がよく聞こえなかったが、嬉しそうなのでいいだろう。ただ、なぜか顔が赤い。


「あっ、慧。妻の前で浮気してる。」


何事にも無関心そうな声が、横から入ってきた。魅月だ。


「何言ってんだ。オレと桃香はそんな関係でもないし、お前もオレの妻じゃねえだろ!」


「でも、許嫁だよ?」


「それは、親が決めた話だろ?親にはオレが言っといてやるから、お前がオレと結婚する必要はないぞ?」


「別に大丈夫。私、別に慧と結婚してもいいし。」

「は?」


オレと今まで黙っていた桃香の声が綺麗にハモった。


「だから、私は慧と結婚してもいいよ。」


ダイナマイト級の大爆弾が投下された。


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