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2-2.学校(1)

成人後、1年ほど学校に入った。


成長したあたしは、体を嬉々として動かした。

だって前世では、すぐ息あがったし、散歩さえ厳しかったもんね。

ということで、まず剣を持って振ってみる。


ビュンッ、ビュンッ


おお?剣軽くないか?

鉄製なので、かなり重いはずである。それを軽々と握り、軽やかに振える。


ビュンッ、ビュンッ


おお、凄い凄い。あたし凄い!


ビュンッ、ビュンッ


ビュンッ、ビュンッ、ガキィッ!!


「……」


目の前には壊れた花瓶が無惨な姿をさらしている。







あたしは自分の変化に驚いていた。

成人してからというもの、与えられる知識をスポンジが水を吸い上げるように吸収して。――なんだかよくわからない種族だ。


魔族は基本的にハイスペックらしく、成人をむかえると、すぐに社会に出ても大丈夫なくらい、身体も成長し頭も良くなっているらしい。魔族の子は特に学校に通うことなく社会へ出て働くようだ。

なんて都合の良い。


かくいうあたしも両親に学校に入らなくてもいいとお墨付きを頂いた。

「リラちゃんは、学校に行かなくても読み書きできるし天才だもんねー」

「そうそう、リラちゃんはいつの間にか算術もできるようになっているし、パパ驚きだよー」

親バカか?と思ったが、そうでもないらしい。学校というしくみはあるものの、もともと幼い頃からスペックが高い魔族は、あまり学校に通わないらしい。通うのは特殊な人たち――貴族とか、高い地位の商人とか――らしい。

てゆーか父よ、そのしゃべり方やめれ。親バカ以前にあなたがバカのようだ。


ただ、あたしはこの世界に対する常識は怪しかったので、その部分に対する知識が欲しかった。

うちでは「変わった子」扱いだった。

だが、そんなあたしが世間にでたら、この真綿にくるまったようなうちと同じ扱いをされるとは限らない。

それに、なによりこの世界の学校、しかも魔族の学校というものに多大な興味を持っていたので、一年だけということで学校に行かせてもらった。


学校では、主に貴族の子弟対象に、行儀作法やらダンスやらを、そして商家の子弟対象には高度な算術やらを、そして割合的には多いのが、王国の兵士として就業希望の人対象に、武術を。王国の兵士は、身分関係なく人気職らしい。


なんか意外と普通だ。

というのが、一番に思った感想。


とはいえ、なんだかあたしが思っていた勉強は出来るのか?

あたしはとりあえず、この世界の常識やら知りたいわけで、別に貴族の行儀作法や高度な算術――前の世界で言うと高校生で習う位の難度らしい――や、武術を習いたいわけじゃない。

そう心配になり、両親に聞いてみると。

やはり基礎的な部分はどの課程も必須みたいで、あたしの希望する部分とは多少違うものの、ある程度カバーできる内容はやってくれるようだ。

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