異世界バスツアー52「ファッション」
✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩
パレードを見に行こう、という感じで三途の川に葬列を見に行こうとしたら冷静な乗客の指摘でバレたのでツアー中止。
川のほとりで饅頭の店を出そうとしていた新経営陣は、近くにいたおばあさんに身ぐるみはがされてしまう。
そこへ受精卵になった旧経営陣がやってきて服を着ろと指摘。
とりあえず、旧経営陣を元に戻すために現世に帰還。全裸だったので留置場に収監。
何言ってんだコイツ。
✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩
ブタ箱にぶち込まれた新旧経営陣。
魔王のご両親は、バスツアーを差し入れをしようとして警察署に止められてしまう。
しばらくして新経営陣は出てきたが、脱獄中の旧経営陣は刑務所に帰還を果たした。
いつもの体制に戻った新会社は、さっそく次のツアー企画に向けて準備を重ねている。
最近のトレンドを調査するため、インフォシークで“最近のトレンド”と検索をする新経営陣。
ずらっと並んだ一覧が全く理解できない新経営陣。
ヤフーがおススメですよ、とか言ってる魔王のご両親。
ヤフーの画面に最新ファッションとかあるのを見て、新経営陣の頭にピコーンとくるのであった。
✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩
「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」
笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。
乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。
「今回、当バスはもっとも有名なファッションの現場にむかいます」
バスガイドの言葉に、乗客たちは少し戸惑った様子を見せている。
2列目の乗客が「あの、具体的な場所は教えてもらえないのでしょうか」と大変にまともな質問をした。
「はい、それは現地で説明いたしますので、もう少しだけお待ちください」
2列目の乗客は「は、はあ」といまいち納得いかないような顔をしている。
奇抜な格好をした3列目の乗客が「ファッションというからには最新の流行ですよね」と質問をした。
「いえ、今回は温故知新ということで、古いファッションを見学にいきます」
すっとんきょうな格好をした3列目の乗客は「そうなんだ。まあ古いのもたまにはいいかな」と呟いている。
常連の乗客が「なんか微妙によくない予感がするのう」と独りごちた。
「それでは皆様、ファッションの現場に参ります! 希望者の方は参加できますので、どうぞご遠慮せず!」
乗客たちの「?」という顔を乗せたバスはトンネルに入っていき、その疑問を解消すべくバスはトンネルを抜けた。
「皆様ご覧ください! おそらく世界で一番有名なファッションです!」
バスガイドが指した先に乗客たちが視線を向ける。
そこには周囲の人々に罵られ、石を投げられながら歩いている一人の男がいた。
汗と埃にまみれた長い髪は顔に張り付き、背負っている十字架は男を押しつぶそうとしているが、一歩一歩ゆっくりと、しかし確実に進んでいく。
その様子をみていた最前列の乗客が「どういうことですか?」と冷たく尋ねた。
「はい、えーと、一番有名なファッションです」
常連の乗客が思わず叫んだ。
「そりゃファッションじゃなくてパッション!」
「希望者の方は参加できますが、誰かいませんか」
「これ飛び込みで参加したらアカンやつじゃ!」
とりあえずバスはタイムパトロールに強制帰還させられるのであった。




