異世界バスツアー44「ファンタジーMMO世界」
✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩
いつものように捕まって刑務所にUターンした旧経営陣。
納得している新経営陣と、陣中見舞いをどうするか考えている魔王のご両親。
陣中見舞い代わりに、バスツアーを成功させて会社が発展した姿を見せようということになった。
さっそく情熱的な企画会議が始まり、熟睡的な進行ののち、邪悪なアイデアがご両親の脳にフラッシュ。
刑務所に観光旅行しましょう、というアイデアが匠の手により流刑世界にグレードアップ。
とりあえず、流刑世界で強制労働体験ツアーを実行しようとして即終了するのであった。
✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩
獄中の旧経営陣に送るエールは案の定失敗した。
くじけない、あきらめない、さらにしぶとい新経営陣は次のツアーについて早くも考えている。
最近は失敗続きなのもあり、やはりここは手堅いプランで行こうという方向性になった。
参考にと魔王のご両親に最近の流行を聞いてみたら、俺Tueeeとかチートスキルとか言っている。
とりあえずそういう方向性でプランを考えるのであった。
✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩
「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」
笑顔のバスガイドが、満席の乗客に向けてマイクで喋っている。
乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。
「これより当バスはファンタジーMMO世界に参ります」
乗客たちが「おおー」と楽しそうな声を上げる。
最前列の乗客が「あの、私、タンクをやりたいんですが」と遠慮がちに質問していた。
「はい、スキルと装備はこちらで準備してあります。詳しくはパンフレットをお読みください」
最前列の乗客がうれしそうな顔でパンフレットを手に取った。
2列目の乗客が「僕は魔法アタッカーやりたい!」と元気よく話している。
「魔法の簡易契約についてもパンフレットにありますので、よくお読みになって契約をお願いします」
2列目の乗客はワクワクしながらパンフレットをめくりだした。
常連の乗客は「いつの間にこんなに成長して……」とか言いながらハンカチで目元を拭っている。
バスガイドは、ふわふわした雰囲気の乗客たちを見回したあと、マイクに向かって声を出した。
「それでは皆様、ファンタジーMMO世界に参ります!」
乗客たちの期待を乗せてトンネルに入ったバスは、乗客たちの希望と共にトンネルを抜けた。
「皆様、到着いたしました。まずはラストダンジョン近くの村で休憩の後、装備を配布いたします」
キラキラした目の乗客たちが窓の外を見ると真っ暗だった。
夜かな? と思って空を見ても月も星もない真っ暗。
あれ? と思って地面を見ても何もない真っ暗。
常連の乗客が「しまった、フラグたててしもうたか……?」とか言っている。
「はい、はい……着いたら何もなくて……はい」
バスガイドは無線機に向かって何かを話している。
乗客たちが固唾を飲んで見守る中、バスガイドの通信が終わった。
「えーと、モンスターを某ゲームから丸パクリしてたのがバレて、ついさっきサービス終了したそうです」
乗客大がっかり。
失意の乗客を乗せたバスは、元の世界に戻ろうとしたが地面が無いのでタイヤが空回り。
しょうがないので、バスに繋いでいたLANケーブルを引っ張ってもらって元の世界に帰還するのであった。




