異世界バスツアー12「海底世界」
■ざっくりとしたあらすじ
完治していなかった新経営陣は再び入院した。
刑務所への入所と出所をループしていた旧経営陣は、ループ回数が256回目の時にオーバーフローで解放される。
娑婆に出てきた旧経営陣は、これまでの過去を反省し、心機一転して新会社を立ち上げた。
「お客様に未知で鮮烈な体験を!」
その言葉を胸に新しいツアー企画を始動させるのであった。
■本編
「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」
笑顔のバスガイドが、満席の乗客に向けてマイクで喋っている。
乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。
「これより当バスは海底世界に参ります」
バスガイドの言葉に、乗客たちは「おおー」と感嘆の声を上げる。
「海底世界では皆様に未知で鮮烈な体験をしていただく予定です。まずはお配りしたパンフレットをご覧ください」
乗客たちがそわそわしながら配られたパンフレットを開く。
1ページ目に、長く息を止める方法というのが書いてあった。
常連の乗客は、なんか悪い予感がするのう、と呟いている。
「これから向かいます海底世界は、全てが海の中となっております」
バスガイドの言葉にざわめきだす乗客たち。
パンフレット1ページ目の内容と合わせてひとつの疑問が浮かびあがった。
最前列の乗客が、おずおずと片手を上げて「あの、このバスって防水は大丈夫ですか?」とバスガイドに質問を投げかけた。
「ご安心ください。成人が息を止めていられる時間は1分ほどだそうですので、海底世界の滞在時間は2分ほどの予定です」
バスガイドの言葉で、バスに防水機能が無さそうなのがわかって乗客呆然。
あと、息を止められる時間が1分を想定しているのに、何故滞在時間は2分なのかという疑問を乗客たちがバスガイドにぶつけた。
バスガイドは、何かの書類を眺めながら答える。
「えーと、これまでにない、未知で鮮烈な体験していただくためです」
臨死体験じゃねーかと乗客たち大噴火。
どったんばったん収拾がつかないまま海底世界に突入。
なんらかの拷問のようなバスクルージング(水面下)は、乗客たちの鬼気迫るジェスチャーで中止。
帰って来た乗客たちは怒りの被害届を提出。
監督官庁からもツッコミくらって会社は倒産した。




