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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
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異世界バスツアー13「空の世界」

■これまでとこれからのあらすじ

 乗客に被害届を出された旧経営陣は、拘置所に引っ越しして表舞台から消えた。

 そこへようやく完治した新経営陣が退院してきた。

 希望に燃える新経営陣は、お客様に未知で鮮烈な体験を、という志を受け継ぎ新しい会社を立ち上げた。

 新会社の設立時には新経営陣と新しい従業員、旧経営陣に接見してきた弁護士、旧経営陣を取り調べした刑事、旧経営陣を起訴する予定の検事、旧経営陣の同族、旧経営陣の知人、旧経営陣の信者、旧経営陣の背後に蠢く影、などのそうそうたるメンバーが集結。

 多勢に無勢で新会社は乗っ取られるのであった。



■本編

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。


「これより当バスは空の世界に参ります」


 バスガイドの言葉を聞いて、乗客たちの顔に「?」が浮かぶ。


「空の世界は、陸というものが存在せず、浮遊する雲の上に町や城がある世界です」


 乗客たちが「おおー」という感嘆の声を上げる。


「そこでは皆様に、スカイダイビングを楽しんでいただく予定です」


 乗客たちが静かになった。

 常連の乗客が、なんか悪い予感がするのう、と呟いている。

 二列目の乗客が、「あの、自分はそういうの経験ないんですけど、インストラクターはいますか?」と尋ねた。


「いません」


 簡潔なバスガイドの返答に、乗客たちの顔が少し青ざめる。


「ご安心ください、個人ではなくバスでスカイダイビングするので大丈夫です」


 乗客たちの不安は急上昇、成層圏に達しようとしている。

 さっきの乗客が、「えーと、バスにパラシュートがついてるということですか?」と質問した。


「ご安心ください、空の世界に地面は無いので大丈夫です」


 乗客たちの不安は大気圏を突破した。


「それでは皆様、シートベルトを締めてください。空の世界です!」


 あわててシートベルトを締めた乗客たちは、やめろ、やめて、いかないで、と口々に連呼したが、バスはトンネルに入ってしまった。

 顔をこわばらせた乗客たちが、落下に備えて全身を緊張させる。


「空の世界に到着しました! ……あれ?」


 バスガイドの言葉に乗客たちが目を開けると、窓の外は真っ黒。

 フロントガラスの向こうも真っ黒。

 物音ひとつしない真っ黒。


「あの、真っ黒なんですけど……はい、はい……え?」


 無線機と話していたバスガイドを、乗客たちは固唾を飲んで見守っている。

 通話を終えたバスガイドは、乗客たちに向き直った。


「間違えて、(そら)の世界じゃなくて(から)の世界に着いちゃったみたいです」


 乗客大呆然。


 その後いろいろあったが最終的に、バスに結んであったバンジージャンプ用のワイヤーを引っ張ってもらって帰還に成功。

 監督官庁から安全基準がどうとかいうツッコミをくらって会社は潰れるのであった。

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