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公開処刑②

 美穂はヅイッターで恵美の髪を公開処刑したことに味をしめていた。何とか、博美の髪も公開処刑したいと考えているが、2ショットの写真を撮る口実が見つからず、実行できずにいた。

(何かいい方法は無いものか・・・)


 美穂が考え事をしながら、会社の女子ロッカーで着替えていると、仕事を終えた博美と恵美が入ってきた。どうやら、二人とも今日は定時で上がったらしい。


博美「美穂、お疲れー。今日も仕事疲れたね!」


恵美「岡田さん、お疲れ様です。」


美穂「あぁ・・・お疲れ。こんな日は、ビールが美味しいよね!」


 考え事をしていた美穂は、当たりさわりない返事をした。ボーっと、博美の髪を見ていると、博美が不思議そうな顔をした。


博美「ん?どうしたの?私の髪に何か付いている?」


美穂「いや、ごめん。ボーっと考え事してた。気にしないで。」


美穂が慌てて、首を横に振ると、何気なく恵美が話に入ってきた。


恵美「そういえば、博美さんも髪伸びましたね。ひょっとしたら、岡田さんよりも長いかもしれないですね。


(これだ!博美と髪の長さを比べたら、2ショットの写真が撮れる。ナイス、恵美ちゃん!)


美穂は急に嬉しそうな顔になり、こう答えた。


美穂「えーそうかな?まだ、私の方が長いんじゃないかな?わかんないけどね(笑)。そうだ、博美。せっかくだから、髪の長さを比べてみない?」


博美「えっ、別にいいけど。どうやって比べるの?」


美穂「髪の長さがわかるように、私と博美が後ろ向きになって、横に並んで2ショットの写真をとればいいんじゃない?恵美ちゃん、写真お願い出来る?」


恵美「はーい。わかりました。」


美穂は携帯電話を恵美に渡して、博美をせかして、後ろ向きで横に並んだ。美穂は、髪の長さがわかるように、サラサラな髪を後ろに払った。髪は反動でサラサラ揺れて、すぐに真っ直ぐな髪が背中を覆った。博美も同様に、髪を背中に流した。


―パシャリ―


 シャッター音がなった。3人はすぐに写真を確認した。腰よりも少し長いストレートロングの女性が2人、映り込んでいた。


恵美「うーん。やっぱり同じくらいの長さですかね。少しだけ岡田さんの方が長いような気もするけど・・・」


 美穂は、博美の髪が思っていたよりも長いことに少し驚いた。

(へー、私とたいして変わらないのか。髪の長さだけは一丁前ね。ただ、髪質はやっぱり差があるわね。頭の方は、元の天パが出て、もっさりしているし、生え際の白髪も目立つ。縮毛矯正を掛けている部分も、真っすぐだけど元の髪が太い剛毛だから、サラサラヘアとは言い難いしね(笑))


 美穂は顔がニヤけそうになるのを堪えながら、博美の髪の長さを称賛した。


美穂「うわぁ。博美の髪、長いねー。私も負けそうなくらいね。本当に素敵なロングヘアね。」


博美「そう?嬉しい。実はヘアドネーションをする為に髪を伸ばしているんだけど、もうそろそろ寄付できるかな?出来るだけ状態が良い髪を寄付したいから。」


美穂「そうなんだ!きっと喜ばれるね。偉いね、博美は。」

(ヘアドネーション?いくら長くても、こんな縮毛矯正で無理やり真っすぐにしている剛毛なんて、寄付しても誰も喜ばないんじゃない?笑。私の髪だったら喜ばれると思うけどねw)


博美「美穂は、ヘアドネーションは興味ないの?長くて、とっても綺麗な髪だから、きっと喜ばれると思うよ。」


美穂「私はまだいいかな?ロングに飽きたら、ヘアドネーションを検討するつもりだけどね。私も、近い将来にはね・・・」


美穂は心にもないこと、サラっと言ってのけた。美穂にとって、自慢の髪だ。ヘアドネーションなんて、する訳がない。美穂は、本音ではヘアドネーションが嫌いだ。ヘアドネーションなんて、ただの自己満足。偽善者のすることだ、くらいに考えている。


美穂が写真を2人にメールで共有し、3人は帰路についた。美穂は、家に帰るや否や、写真をヅイッターに投稿した。タイトルは、「公開処刑2(笑)」。


―今日はアスカと同じ歳の子との比較だよ。二人とも43歳、長さも同じくらい。天パの剛毛を無理やり縮毛矯正で伸ばしたストレートヘアと、天然ストレートのサラサラヘアの比較。どっちがアスカ(美穂のヅイッター上の名前)の髪かわかるかな?


毎度のことながら、投稿するやいなや、たくさんのコメントが付いた。


―本当に同じ歳なの?左のアスカさんは、23歳の間違いじゃないの?

―こうやって、普通の43歳の髪と比較すると、アスカさんの髪質がいかに特別かよくわかりますね。

―右の人はただ長いだけで、頭の上の方がもっさりしている。全然サラサラじゃないし、白髪もあるし、これじゃ勝負にならないよw

―またもや、公開処刑とは性格が悪いですね・・・嘘です。最高です。どんどん、アスカさんの美髪で公開処刑をしてやってください。

―で、左のアスカさんの美髪は、いくらで買えるんですかね?


美穂は笑いがこみ上げてきた。自分の髪が称賛されるのも嬉しいが、博美の髪がボロクソに言われることが可笑しかった。美穂はコメントに次のように回答した。


―縮毛矯正のストレートって無理があるよね。人工物だしね。人工物が天然モノに勝てるなんて思うなよ(笑)。縮毛矯正なんかせずに、おとなしくクルクルの天パに戻した方がマシだよねw


こう呟いた後、美穂はスマートフォンを机に置いた。そして、自分の髪をサラッと手櫛をした。一度も引っかかることなく、すーっと通る。光沢のある髪はサラりと揺れて、すぐに元通り真っすぐになった。ずっと触っていたいくらい手触りも良い。


(やっぱり、私の髪って綺麗だよね。加齢で劣化していく周りの人と、髪質の差がどんどん広がっているしね(笑)。)


 美穂は髪の写真を何度も見ながら、飲みかけのビールをちびちびと飲んでいった。



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