第82話 朝から一騒動
「Hey グッドモーニング心愛」
「おはようロジャー、グレッグ。そう言えばロジャーとグレッグって何で日本語喋れるの?」
「Why? マジで言ってるのか? 俺達は英語しか喋れ無いぞ?」
「俺もグレッグと話してたんだが、心愛って美咲や杏と違って勉強した英語じゃ無くてネイティブで話してるよな? って言ってたんだ。英語圏の国で育ったんじゃないのか?」
「ぇ? 私、普通に日本語で会話してるだけですけど?」
「ちょっと心愛ちゃん? その話本当なの?」
美咲さんも喰いついて来た。
「そう言えば、確かに心愛ちゃん日本語しか喋って無いのに、ロジャーとグレッグが普通に意味を理解してたから、不思議だったんだよね。私が話す時は英語じゃないと解って貰えないのに」
「きっと……『下関ダンジョン』の攻略報酬で手に入れた『言語理解』スキルの効果だと思います」
「その言語理解も、今日下関ダンジョン討伐に成功したら、私達も使えるの?」
「どうなんでしょう? 私は攻略後に現れた水晶玉触ったら勝手に覚えたけど、それが全員適用されるのかは解らないです」
「そっかぁ、どっちにしても今日下関を攻略出来たら答えは解るよね。それと葛城一佐が言っていた心愛ちゃんの護衛の人員だけど、今日二人着任するようになるわ。自衛隊のほうで二軒隣の空き家を取得して、そこで生活しながら私を含めた三人のうち誰かが常に駆け付けれる位置にいる様になるわ」
「それって、なんだかプライベート無いみたいで嫌ですね」
「ずっとって訳じゃ無いから、今の騒動が落ち着くまで我慢してね、今日の夜に紹介するね」
「解りました」
◇◆◇◆
希が訪れて学校に向かう途中で異変に気付いた。
「希、気付いてる?」
「先輩、何人か付いて来てますね」
学校に迷惑かけたりしたら悪いから、とりあえず野中先生に電話をした。
「ダンジョン協会の急用で今日、私と希は休みを下さい」
そのまま近所の公園に行き四方向に見通しが良い状態を保って、杏さんに連絡を入れた。
「杏さん、すいません。どう対処するのが良いか判らないので連絡しました」
「どうしたの? 心愛ちゃん」
「おそらく尾行って言うか、監視って言うか複数の視線を感じます。このまま学校に行って迷惑かけちゃうといけないから、今は見通しを確保して公園に希と二人でいます」
「解ったわ、すぐ美咲とロジャー、グレッグを向かわせるわ。とりあえず合流したら戻ってきて。私は兄貴に伝えて具体策を考えるわ」
五分程でロジャーの運転するキャンピングカーが到着した。
「心愛、希、大丈夫か?」
グレッグが走り寄ってきて、周りを警戒すると気配の相手が姿を現した。
美咲さんとロジャーも走ってきて緊張感が高まった。
「待て、敵意は無い」と言葉を発して、ゆっくりと気配の一つの男が手を上げながら近づいて来た。
こっちは三人組だ。
すると、もう一つの気配からも人が姿を現した。
「話を聞きたいだけだ。害する事は無い」と四人が姿を現した。
すると、更に今度は特務隊側の護衛らしき人が現れた。
男女の二人組だった。
「人数バランス的に優位でないと、一応対処に困るかもしれませんので姿を見せました」と、言いながら現れた二人の顔を美咲は知っていた様で私に向かって頷いて見せた。
何よ朝からこのハードボイルド……
ハードボイルは茹で卵だけで十分だよね。
結局ロジャーが仕切って言葉を発した。
「こんな街中で女子高生のストーカーなんて、どんな変態なんだお前ら」
一瞬静寂が訪れたが希が静寂を破る。
「ロジャーさん実は馬鹿でしょ? TPOとか無いの? この展開でそのセリフは酷過ぎるでしょ」
私も思ったが、言っちゃった物はしょうがない……
「ロジャーに喋らせた俺が悪かった。この街中じゃ騒ぎになると色々困るから移動を頼む。今来なければ敵認定だ。博多のダンジョン協会に今から来てくれ」
と、グレッグが言って、それぞれ移動を始めた。
美咲さんがロジャーに聞いた。
「ねぇロジャー、さっきのセリフまじで言ったの?」
「そんな訳無いだろ、緊張を解こうと思っただけだ」
「いや、俺は解る。こいつマジで言ってたぞ」
「ある意味、凄いですね……」
「でも、心愛ちゃん良い判断だよ。そのまま学校に行ってたら騒ぎが大きくなってた可能性もあるしね」
「私って、もう普通の女子高生出来なくなるんですか?」
「そうならない様に、今から手段を講じるから心配しないで」
そう美咲さんが言ってくれたけど大丈夫なのかな?




