第33話 希のお母さん
カラオケボックスを出ると杏さんの運転するポルシェで自宅まで送って貰える事になった。
明日からの基本的な勤務先になる私の家の食堂の確認もかねてだけど、勤務体制とかどうなるのかな?
「杏さんは、お休みとかどうされるんですか?」
「そうね、心愛ちゃんに希望出勤日とかは別に無い様だったら、基本カレンダー通りにして貰おうかしら。でも前にも言ったけど、専任担当は二十四時間体制で応対するのが普通だから休みの日でも気にせず連絡を貰って構わないからね。その分お給料もいいんだから」
「解りました。当面は前に杏さんが仰ってた会社の設立と後、博多ダンジョンの側にワンルームのマンションを一室、会社名義で借りて欲しいんですけど」
「了解したわ、それはすぐに準備するわね、一週間程で全部終わるよ」
「お願いします。杏さんの活動資金なんかはどうしたらいいですか?」
「そうね、今後の事を考えたら。買取なんかも心愛ちゃんの会社の口座に一括に振込して置いて、そこから希ちゃんのお給料とか払う形が良いと思うわよ。私のお給料は協会が負担するだけだから、全く気にしないでいいけど活動の実費は負担してもらう事になるわね」
「了解です、当面の会社設立資金とか活動費で百万円ほど渡しておきますね」
「そんなにいらないけど、ちゃんと領収書は全部取っておくから安心してね」
車が筥崎に着くと、まず希の家に向かい送り届けた。
「あ、希、お帰り。なんだかお友達のご両親とか言う人が訪ねて見えてたけど、意味解らない事言ってたからちょっとキツイ言い方して追い返しちゃったけど大丈夫? 変な人に絡まれたりしてるのかい?」
「あ、やっぱり。うちにも来たんだ……大丈夫だよ、心配かけてごめんね」
「あの、お母さん初めまして、私ダンジョン協会の職員で大島と申します。遅い時間までお嬢さんを付き合わせてしまいまして、申し訳ございません。先程の件でのご相談を伺いまして、協会の方でしっかりと対応させて頂く事に致しましたので、ご安心ください」
「あらそうなのかい。希、それならそうと途中で連絡入れてよね。全く心配して損しちゃったじゃない。それにこの立派なお胸のお嬢さんと一緒に行動したんだったら、ちゃんと育て方も習っておきなさいよ? 女の価値は胸部装甲だからね」
「母さん、そんな恥ずかしい事いきなり言わないでよ。杏さん引いちゃってるじゃない」
「何言ってるんだい、大事な事なんだからね」
「あの……それでは時間も遅いので今日は失礼します。バストトレーニングは、私が時間を作って希ちゃんに伝授しておきますから!」
「あら、トレーニングで変わる物なんですか? 希、しっかりと習って母さんにも教えて頂戴よ」
「母さん、かなり恥ずいからもう勘弁してよぉ、初対面の杏さんとの会話がこれって、どんな環境なのか疑われちゃうから」
「希、じゃぁまた明日ね、おばさんも遅くまで希を連れまわして御免なさい。ちゃんと連絡は入れさせるようにしますから、すいませんでした」
「あら、心愛ちゃんと一緒なら全然安心だから良いんだけどね。バカ娘の世話で疲れるでしょ、ごめんね」
「希、凄く頑張ってくれてますから、ご安心して下さい。私が怪我とかさせない様にちゃんと見ますから」
「よろしくね心愛ちゃん。遠慮せずに心愛ちゃんの盾替りで使っても構わないんだからね?」
「ちょっ、母さんそれ酷いから、私傷付くからね」
「何言ってるんだい、心愛ちゃんが昔から大好きって言い続けてるんだから、それくらい平気でしょ」
「まぁ先輩の盾になら寧ろなりたいけど」
「あの、明日もありますから失礼します。希、八時に駅に集合だからね」
「はい、おやすみなさぁい」
ようやく希の家を出て家に向かった。
「心愛ちゃん。なんだか希ちゃんの家って楽しそうだね」
「今日は特別ですよ。あれでもおばさん、希の事が心配だったんでしょうね。日向ちゃんのご両親の事とかで」
「そっか」
家に着くと、お母さんに挨拶して食堂の方に回って貰った。
勿論私は食事に行く前に、お母さんに連絡してたから問題無かったよ。
「へぇ良い食堂じゃない。天神とかのレストランと比べても全然綺麗で雰囲気あるじゃん」
「そうですよね! 母さんは料理苦手だけどお掃除とか、店内装飾とか凄い得意だから、お店は綺麗だと思います」
「ここで勤務出来るとか、私も嬉しいわ」
「杏さん、よろしくお願いしますね。私、なんだかどんどん人外な力が身に付いちゃって、ちょっと不安なんです。母さんには何も教えて無いので、その辺りもよろしくお願いしますね」
「大丈夫だよ、私は心愛ちゃんの一番の味方で大ファンだからね。協会も心愛ちゃんに対して、色々言って来るかもしれないけど、私が心愛ちゃんが嫌な思いをせずに済むようにするから安心してね」
「杏さん……ありがとうございます」
「じゃぁまた明日ね、朝八時に駅集合なら、ここに車で来て良いかな? 私の自宅は博多駅周辺だから、ダンジョンよりこっちのほうが近いからね」
「全然構わないです。それなら七時頃なら朝ご飯も一緒に食べれますよ?」
「ごちそうになっちゃおうかな? じゃぁ今日は帰るね。また明日」
「お休みなさい」
杏さんも帰って行った後に、少し思い付いた事があって、厨房に立って料理を始めた。
今まで作った『デリシャスポーション』を使って作った料理を材料があるだけ一通り作って、アイテムボックスに収納して置いた。
時間経過無しのアイテムボックスだからきっと大丈夫だよね?
でも他の人がこの料理を食べた時に、どんな事になるのかは、本当に気に成るな。
でも……料理は鑑定できなかったんだよね。
ちょっとびっくりした。




