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第18話:ムーノ殿下は今日も絶好調のようです

澄み渡る青空の下、マーサとアルマは王立魔法学園の庭でピクニックをしていた。王都のアクトゥール公爵家の畑でとれた野菜を使ったサンドイッチを食べている。正午を少し過ぎた時間帯のためこの時期でもまだ外は暖かく、学生の姿も多い。


「おい」


マーサの婚約者ムーノ王子が側近を従え仁王立ちしている。


「ごきげんよう、ムーノ殿下」

形式的に私は答えた。

「お前はアクトゥール公爵家の娘に相応しくない」

「今度はなんですの?」

側近の方を見ると、アメリアの女スパイのジャンヌはいない。

彼女は現場には現れず、王子グループを孤立させつつ、後から王子グループと周りの仲裁をする形で、自分自身は立場を悪くせずに恩をうっている。

「アクトゥール公爵家は、武門の名家だ」

「ええ、おっしゃる通りです」

「側近の実家の危機に手を貸さないお前はアクトゥール家に相応しくない」

えっどういうこと?

「どういうことでしょうか?」

「この場に及んでとぼけるつもりか!呆れた小根だな。ガルシア男爵家だ。大方、公爵家の権力をつかって他人任せにしたんだろう」


この人、この前の食堂の時から全く成長していない。

周りの生徒も、普段から権力で威張り散らすだけのムーノ殿下に呆れているようで、私に同情的な目を向けてくれている。

ガルシア男爵家といえば、アルマの実家だ。本人に聞いてみよう。


「ええと、アルマ?」

アルマも困惑しているようだ。

「おそらく、4年前にユースティティアの西部が他国に攻められた時のことかと思うのですけど・・・」

「それだ!奉公にきている専属メイドの実家の領地が攻められたのに、お前は参戦しなかったじゃないか!」


その時私は参戦していない。王都でワイバーンを狩ったり王女殿下に遭遇したりしていた。アルマが一ヶ月ほどいなかった理由も後から聞かされた。けどあれは確か、、、


すかさず、アルマが説明をしてくれた。

「お嬢様、隣接する領が攻め込まれたので、増援に向かっただけでございます。私の実家であるガルシア領が攻め込まれた事実はありません」

「使用人の分際で王子の俺に口答えするつもりか!」

私がアルマの意を汲んで答えた。

「ムーノ殿下、誤解されております。私の専属メイドは、当時の状況を主人である私に説明しているだけです。私が当時の事情を把握するまで、申し訳ございませんが私とメイドに二人だけの時間をください」


アルマは私に説明する形で、王子の発言を当人として否定して、周りにいる学生にこちらに非がないことを示す、という機転をきかせている。私が今やるべきなのは、専属メイドのサポートだ。学園内では余程のことでなければ不敬罪もない。これくらいも問題ないだろう。


「アルマ。私はあの時のことは西部防衛戦が終わってから知ったのですけれど、どういう経緯があったのですか?」

「西部防衛戦が始まった直後にアクトゥール公爵家に増援依頼がきました。ガルシア領に隣接する土地だったので、案内役としてわたしが抜擢され、公爵様が派遣してくださった部隊と共に西部に向かいました。防衛戦といえど、さいわい小競り合い程度でしたので、被害も少なく、すぐに鎮圧できました」

「被害をしっかりと抑え、ご苦労様でした。私が同行できず申し訳ありませんでした」

「お嬢様は西部防衛戦が終わってから、知らされたのでしょうがありません。当時第一王子のユーノ殿下の婚約者に内定していたアリーヤ・サウプトン辺境伯令嬢がスパイン帝国との戦争で命を落としていたため、お嬢様の婚約者様が、お嬢様を戦地に行かせないように、公爵家にお命じになられました」

「アルマ、説明感謝します。状況が理解できました」


アルマはお辞儀をして一歩さがった。


「ムーノ殿下。婚約者である私の身を案じ、アクトゥール公爵家に対して私が戦地に行かないように殿下自らご命令いただいていたようで、そのお優しさと、お心遣いに感謝いたしますわ」

私は全力の淑女スマイルを作りムーノ殿下に話しかけた。

「昔のことなど忘れた!」


顔を真っ赤にしたムーノ殿下がその場からさっていくのを、この人本当に成長しないなぁと思いながら私は見送った。

ムーノ殿下が立っていた場所の芝生に火がついていた。魔力量が多いと、感情に応じて魔力が周りに影響を及ぼすから、それかな?と思いながら、私は水魔法で消火した。

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