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ハオトの魔王  作者: 月
38/38

第3章-8

「ではもう三つ程追加で質問してもいいかしら」


「お答えできる内容でしたら何なりと」


 マイルズ子爵の返答を聞き取りリトは質問する。


「6代目から各国での招集が始まったのはわかったわ。ただ4代目までの魔王様と勇者の戦いを経て、当時までの歴史で確執のあった国家同士が互いに歩み寄りの姿勢を見せたことが要因と言ってたけど、5代目ではその招集が行われなかったのかしら。そもそも5代目まではどのようにしていたのかしら。最期に歴代の魔王と勇者の結末について教えてもらえないかしら」


「少し長くなりますがよろしいでしょうか?」


「ええ、構わないわ」


 マイルズはふうとため息をつきながら周囲の人を見渡す。


「バカラ侯爵、ブロッサム長老、バルトネル最長老。初代魔王様からご存命の方は私を含めて4名となっております。当時のことからの歴史になりますので、不足や誤りがありましたらご指摘頂ければ助かります」


「私は大公様以降のことは知らないことが多いですので、頼りにしてますよ」


 バカラ侯爵は我関せずの態度で返答し、続く2名も任せるといった態度であった。


「では、初代魔王様の遺言の後カーメリー、ドネス、アーシール、ジプターはその言葉に従い魔王の因子を持つ者を魔王としてその代ごとに定めていました。当時のドネスの長から続く連綿とした記録物や書物については、その代のドネス長の生真面目な性格とおそらく先の4か国の中で最も短命の主であるが故に、代が変わった時のための正確な情報を留めておきたかったんでしょう。アプリコット殿はこれまでの歴史を綴ったものに関してよくご存じかと思うが、その始まりは初代魔王様の時世から始まるものではないかな?」


「マイルズ子爵の仰る通りです。以降も長を務めるものが歴史を読み返し、これからの歩みをしたためていくのです」


「ご返答ありがとうございます。話がそれましたが、当時は4か国で初代魔王様の遺言を守ってきました。しかし4代目の魔王が戦いを終えて、5代目を迎える頃までに現在のストーリアンとザフースタン、ラジールとカドミーニのそれぞれの紛争が激化したのです」


 その言葉を聞き、シロオニの主はピクリとする。


「マイルズ殿。わらわが聞いたことと違う様に思うがどういうことか」

―『4代目までの魔王様と勇者の戦いを経て、当時までの歴史で確執のあった国家同士が互いに歩み寄りの姿勢を見せたことが要因になります。ストーリアンとザフースタンは種族的な争いを止めたこと。ラジールとカドミーニは当時同一国家であり、広い領土をまとめ上げ鎬を削っていた2種族がお互いに矛を収めたこと。こちらは領土を二分しておりますが、以上のことから魔大陸の各国が落ち着きを取り戻したことを持って、各国代表の顔合わせと情報の交換の目的からこのような形式となりました』―


 前回招集時に確認したことと異なる内容にラムルは声を上げる。


「いえいえ。かなり省略した形となっただけです。とはいえ自身の記録と記憶を頼りにしてますので正確とは言えないかもしれませんが。4代目魔王様の戦いを終え、ストーリアンとカドミーニは差別問題を、当時多部族群であった現在のラジールとカドミーニは多種族故の文化的な課題を解消しつつあり、交流や共存を視野にかかわってきたのです。しかし一部の力に覚えのある過激派が主導し、それぞれの国家間で紛争がもたらされたのです。そんな折に5代目の勇者が出現し、5代目の魔王様を選定しようとした矢先に、当時過激派を主導していたものが勇者との闘いに参戦し勇者に敗北。今なお残る爪痕として当時台地であった場所にパナマ大海溝とナマリア大海溝が形成されました。その後5代目魔王様が選任され勇者との闘いを経る訳ですが過激派の主導者が失われたことと、どんなに強い力を持とうと魔王でなければ勇者は倒せないという裏付けが取れたこと、当時の教訓の下に各国が諍いを起こさず勇者との闘いに協力できるようにと今の招集体制ができあがったのです」


 マイルズ子爵の説明内容を咀嚼し、ラムルもふむふむと頷く。


「長くなりましたが、最後に歴代の魔王様と勇者は申し上げにくいのですが、ともに生存確認が取れておりません」


初投稿となります。

誤字、脱字、慣用句の間違った使い方、矛盾点などのご指摘やご意見、ご感想を頂けましたら幸いでございます。

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