第2章-8
星の核。また初めて聞く単語が出てきたことにリトは意識する。
「星の核とはそのままこの星そのものであり、大公曰く優柔不断でほっとけない女とのことです。私も聞いただけで実際に会ったことはございません。ある特定の条件を満たすことで星の核に会うことができるとのことですが、大公はそれについては口を割りませんでした」
「因みにだけど…大公って男性なの?あと星の核っていうけど女性ってことは人の姿なの?」
「大公は男性ですね。あと星の核ですが、大公の話ですと会うときには人型で女性の姿をしているのだとか。大公が星の核と初めて会ったとき、星の核は何やら悩み、困っていたとのことでした。その大公は今の私よりも強く、そして優しい方でしたので繰り返しその困りごとをどうにか解決しようと行動していたようです。そのことが星の核に認められ、また大公も星の核に対して少しずつ情を深めていたところでした。そんな中で突如勇者が現れ、魔大陸の種族が次々と消えていき、カーメリーの子爵、男爵が死んでいきその仇を討ちに向かいます」
「大公はとても強かったのよね?なんで真っ先に向かわなかったの?そんな…何人も亡くなってからって」
「大公はカーメリーの頂点です。どの国もそうですが、長や、族長の命を優先します。ですが、子爵、男爵、その他の種族の強者がこぞって単身の勇者に向かいましたが、誰一人敵わず大公が出ざるを得ない状況であったという場面でした。…続けますね。そして大公と勇者は戦い、大公は勇者をどうにか退けます。ですが、大公も瀕死の状態でした。最期の言葉として三つの言葉を残して大公はこの世を去ったのです」
当時のことを思い出し、苦笑を浮かべるバカラは300年以上も前のことで心を痛めているようだった。多分だけど、バカラは大公をとても尊敬していたんだろうとリトはそう思った。
「一つ、大公を初代の魔大陸の王とし今後勇者が現れた際には次代の魔大陸の王とし勇者と対峙すること。一つ、魔大陸の王は身体に紅の特徴を持つ者から選ぶこと。一つ、魔大陸の王には大公の指輪を継承すること。この三つを300年以上も受け継ぎ、この度勇者の出現を持って魔大陸の王、つまりは魔王を探しているのが現状となっております」
リトはバカラからの説明をゆっくりと自分の中で反芻する。魔王とはカーメリーの大公の残した言葉を受け継ぎ、勇者が現れた時に対抗するための存在それは紅の特徴を持つ者から選ぶとのことだ。そしてその特徴を魔王の因子と呼ぶ。
「因みになんだけど、紅の特徴を持つ人って一人だけなの?」
「その時々でことなります。一人の時もあれば複数の時もありました。また魔王の因子を持つ者を見つけるのに時間を要した時もあります」
今回みたいにです、とバカラは続ける。
「私は…大公が死んでからというものの、孤立した生活をしておりました。大公は偉大な方でしたからね。カーメリーの爵位は一定の要件を満たせばその位を授かるのですが、大公という爵位はカーメリーで一番強いものが受け継ぐ慣習となっております。大公の爵位を何度も打診され、当時の大公には遠く及ばないと言って突っぱねて、マイルズ子爵を筆頭に他のデーモンにカーメリーの統治、魔大陸での他の種族との会合や交流を任せておりました。そんな中でここ数十年生まれていなかった場所から突如としてデーモンが生まれました」
ん?とリトは反応する。
「デーモンも生殖は行いますが、中にはカーメリーの中で意思が集い誕生するものもおります。そして久方振りのデーモンは何やらそこそこの強さを持っているようだが、私には無関係と。そう判断して放った魔法は相手を葬るどころか反撃し、あまつさえこちらにダメージを与えながらカーメリー外殻部の結界を消し去ったのです。生まれたばかりのデーモンがですよ」
何やら出会った時の話になっていたことにリトは気付いた。
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