第1章-10
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―ドネス会議室―
「此度の勇者出現に対して、前例同様に先ずは魔王の因子を持つ者を見つけ、早急に魔王を冠して頂くこととする。先ずこの件に関して異論のあるお方はいらっしゃるか」
司会を務めるドネスの長アプリコットは7か国代表に尋ねる。皆押し黙ったままのため黙認の流れとなる様相を示すが、シロオニの主が疑問を投げかける。
「失礼ながら、わらわは前例とやらをそもそも理解しておらぬ。前主の母が数年前に急逝してから国の統治で手一杯であったが故に、招集の前に付き人のモンチェロとカルバドスから聞き取った限りなのだ。不躾な願いであるが、今一度これまでの歴史をご教授願いたい」
深々と頭を下げ願い出る少女に対し、司会のアプリコットはこくりと頷く。
「では、ストーリアンのラムル氏より申し出があったが、わたくしも若輩であるため質問の返答を致しかねる。ついては最も長く国家の招集に参加しているお三方のどなたかに説明をご依頼したい」
お三方とされる、カーメリーのマイルド、ジプターのブロッサム、アーシールのバルトネルは互いに見やるが。
「ここはデーモンのが適任じゃろう」
「わしらよりマイルズ殿の方が分かりやすいであろう」
とのアーシールの最長老、ジプターの長老2名の推薦により即座に説明役が決まってしまう。いつものことながら、説明役に回されるマイルズも慣れたもので一つため息をつき「またですか」と独りごちた。
「…では。ご両名の推薦を頂きましたので、不省私マイルズが説明を致します。今回の勇者及び魔王は14代目にあたります。初代魔王様以外の2代目魔王様以降は勇者が確認されました後に、初代魔王様からの御意思を汲み取り、魔王の因子を継ぐ者から次期魔王を選任することとされております。ちなみに各国家の招集による議会制での選任自体は6代目魔王様から端を発しております。今回の前例にとは各国家の同意が為された上で、魔王の因子を継ぐ者から選任することを指します」
説明を吟味しながらシロオニの少女、ラムルは顎に手を当てながら考え再度問いかける。
「魔王の因子とは?あと6代目魔王様の選任の折に国家の要人が招集することとなったのは何故なのか」
「魔王の因子とは身体的な特徴に赤、紅と呼ばれる色合いを示すものを呼びます。もう一点については5代目までの魔王様と勇者の戦いを経て、当時までの歴史で確執のあった国家同士が互いに歩み寄りの姿勢を見せたことが要因になります。ストーリアンとザフースタンは種族的な争い止めたこと。ラジールとカドミーニは当時同一国家であり、広い領土をまとめ上げ鎬を削っていた2種族がお互いに矛を収めたこと。こちらは領土を二分しておりますが、以上のことから魔大陸の各国が落ち着きを取り戻したことを持って、各国代表の顔合わせと情報の交換の目的からこのような形式となりました」
教え子と教師のような図ではあるが、マイルズもこの手の質問は慣れたようですらすらと答えていく。ふむふむと納得した様子のラムルはぺこりとお辞儀し、「忝い。わらわにも分かりやすく答えてくれたこと感謝する」と謝辞を述べる。
司会のアプリコットより「説明有難く思う。その他何か意見は」と告げられるが、特段何もない様子のため質疑応答を終えて本題に入る。
初投稿となります。
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