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未来日記  作者: 秋華(秋山 華道)
7/22

出会いは再会

お金があることで、明日への不安が無くなった俺。

正確には、お金持ちの家に居候させてもらう事で、そして慰謝料とか言って小遣いまでわたされているからだけど。

未来ちゃんは、毎日の帰宅が不安なのだろう。

そして、それから逃れる為にやらなくてはならない事をする事も、不安で怖い。

きっと未来ちゃんは、先週辺りの俺と同じ、いや、俺以上に苦しんでいるはずだ。

今日は、ノートの力をかりない。

なんとなく、そうしたかったから。

 みかん「ノートに書けば、簡単解決間違いなしなのにさ。」

俺はノートに、いや、みかんに助けられたんだ。

だから、今度は俺が未来ちゃんを、自分の力で助けたい。

 みかん「格好つけたいだけなのさ。」

まあ、そうなんだろうな。

 みかん「だろうじゃなくて、そうなのさ。」

・・・

駅についた。

未来ちゃんがいた。

目があったけど、俺は昨日言っていたとおり、少し離れた位置に並ぶ。

今日もおそらく、昨日までと同じように、痴漢をしに来る人が現れる。

昨日帰った後、ネットで痴漢サイトと呼ばれる情報サイトを覗いた。

簡単に見つかると思っていなかったけど、あっさり見つけてしまったのだ。

未来ちゃんに関する情報を。

いつもこの時間のこの場所に乗る、セーラー服の子は楽勝だと書いてあった。

だからきっと、この時間を待っている人が、複数人いる可能性もある。

大量にいたら、みんなで囲ってなんて事もあり得るし、俺だけでは捕まえられるか。

電車が来た。

ドアが開く。

下車する人が降りると、俺は最後尾にならんでゆっくりと乗車する。

今日は未来ちゃんに隣接していない。

かろうじて視界に入る位置。

とりあえず俺は、未来ちゃんを見守るだけ。

ドアが閉まる前から、未来ちゃんの表情が変わった。

痴漢?誰だ?

俺は周りの人を見る。

二人か?

とにかくすでに痴漢行為を始めたようだ。

ドアが閉まる。

俺は心の中で、未来ちゃんを応援した。

頑張れ未来ちゃん、引くんだ。

防犯ブザーのスイッチを入れるんだ。

そう、昨日買い与えたのは、防犯ブザー。

ピンを引き抜くと、大きな音が鳴り響くやつ。

これをならせば、みんなの注目を集められるから、痴漢を止める事が可能だ。

頑張れ!頑張れ!勇気を出して!

俺は心の中で叫んだ。

ビーーーー!!!!

大きな音が、車内に鳴り響いた。

俺はすかさず声をかける。

 宗司「どうしました?痴漢ですか!!大丈夫ですか!!」

俺は大きな声で、未来ちゃんの方へと声を上げた。

俺の声をきっかけに、未来ちゃんの側にいた男二人が動揺する。

 宗司「逃げるなよ!」

俺は勇気を振り絞って言う。

こんな事を言って、キレられたら正直怖い。

相手は二人だし。

でも、未来ちゃんも、勇気を振り絞って防犯ブザーを鳴らしたんだ。

男の俺が頑張らないわけにはいかない。

 男1「な、なんだよ。」

う、キレてる?

俺を睨んできた。

俺も頑張ってにらみ返す。

足が震えて捕まえられないかも。

しかし、その近くにいた、サラリーマン風男と、体育会系のような学生が、その男と俺の間に体を入れて、痴漢男の腕をつかんだ。

次の駅で、俺と未来ちゃん、そして捕まった二人と、捕まえてくれた二人は、電車を降りた。

俺はすぐに駅員を捕まえて、痴漢した二人を差し出した。


後は警察が来て、いろいろ聞かれ、俺達は解放された。

時間も遅くなっていたので、俺は未来ちゃんを送る為に、一緒に電車に揺られる。

 宗司「頑張ったな。」

今日初めて、未来ちゃんとゆっくり話していた。

 未来「あ、ありがと、です。宗司さんが、い、いてくれるから、できました。」

 宗司「そっか。」

怖い事って、なかなか出来ないけど、見守ってくれる人、もしもの時に助けてくれる人がいれば、結構できたりするもんなんだよな。

なんだか嬉しかった。

結局、犯人に少しでも痴漢をさせてしまい、未来ちゃんが嫌な思いをした事には、罪悪感が無いわけではなかったが。

痴漢は、現行犯じゃなきゃ、捕まえられない。

なんだか理不尽に思った。

しばらく電車にゆられてから、俺達は電車を降りた。

ん?

駅を出てから、どっかで見た事ある景色だなと思った。

俺は振り返って駅を見た。

・・・

桜町駅・・・

 宗司「昔住んでた町?・・・」

 未来「えっ?今まで、き、気がついて、無かった、んですか?」

・・・

あれ?

この言い方、俺の事知ってるのかな?

俺は、脳内メモリを引っ張り出した。

双葉未来、双葉未来、双葉未来・・・

 宗司「あっ!」

 みかん「あっ!じゃねぇよ。」

小学生時代、近所に住んでた、未来ちゃん?

ええーーー!!!

 宗司「もしかして、未来ちゃん、俺の事覚えてたの?」

 みかん「私は無視かい!」

 未来「う、うん。最初、見た時から、たぶんそうかと・・・」

なんとまあ、奇跡的な再開だこと。

こうして俺達は、久しぶりの再会を果たした後、再び友達という名のつながりを復活させる事となった。

 みかん「って、今日はまだ終わってないのだ!!」

そのようだ。

 未来「ところで、こ、この、ちっちゃな魔法使いさんは、いったい・・・」

 宗司「み、見えるの?」

 みかん「ひゃっほ~い!!嬉しいのさ!」

どうやら俺達の再びの出会いは、必然だったらしい。

こうして、マジで今日の日は終わりを告げるのだった。

ああ、ちなみに痴漢サイトでは、今日二人が捕まった事が書かれていた。

他にもまだ、痴漢をしようとしていた人がいたようだ。

でも、これを書いてくれたおかげで、もう未来ちゃんが、同じところで痴漢にあう事はないだろう。

良かった良かった。

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