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未来日記  作者: 秋華(秋山 華道)
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5/22

痴漢撃退

世の中に、死にたいなんて思っている人は、ごまんといるのだろう。

そのほとんどが、良い事と悪い事の割合、バランスが、悪い事の方が多い事を知っている。

そんな事無いと言える人は、実に幸せだ。

そしてそんな人は、きっと死にたいなんて思わない。

毎日毎日生きる事と戦って、心の中で泣いている人が、すぐ隣りにいる事に気がつかない。

今の世の中、一言で言って、優しい人に辛い世の中だ。

競争社会?

人をけ落としてでも幸せをつかもうとする人々。

まあ、それが別に悪いとはいわない。

ただ、それがお金につながる事がダメなのだ。

お金の無い人が、明日を不安に思いながら、生きなければならないのがいけないのだ。

今が楽しくても、明日が不安なのだ。

だからせめて、明日の不安以外の、負の感情を取り除けたなら。


ふかふかの布団、澄み切った空気、静かな目覚め。

なんだろう、この心地よさは。

俺は昨日家を出て、この河崎邸で暮らす事になった。

どうみても超大金持ちの家だから、この家で住まわせてもらえる以上、俺の生命が危機に犯される事は無い。

 華「命の恩人だからぁ~一生いてもいいよぉ~」

なんて、言ってくれていたし。

マジで一生いるよ?

俺の人生、これで全ての悩みが無くなったも同然だ。

それだけで、人はこれほど豊な気持ちになれるのか。

枕の横に置いてあるクッションをベットに、気持ちよさそうに眠るみかん。

話せる魔女ッ子もいるし、未来ノートっていう遊び道具もある。

きっと俺は、今初めて生きてる喜びを知ったに違いない。

今なら何もかもが許せる気がする。

 みかん「宗司の糞バカ!ホント私がいないとチキンなんだからぁ・・・むにゃむにゃ・・・」

なんだとこいつ。

寝言とはいえ、許されない暴言じゃないか。

俺はみかんのほっぺを、赤マジックで塗っておいた。

まだ気は晴れないが、これくらいで許してやろう。

俺は布団からでて、用意してあった服に着替えた。

・・・

ちょっとダンディーすぎないか?

俺の服は、着てきたものしかない。

それは今洗濯しているから、華ちゃんが用意してくれたのを着たのだけど。

 みかん「おおおぉぉぉぉ!!宗司、馬子にも衣装!!」

うむ、苦しゅうない。

って、馬子にも衣装って、正確な意味なんだっけ?

聞かれると説明って難しいよね?

 宗司「かなり大人っぽいスーツだな。ま、俺は何を着ても似合うけど。」

 みかん「中身の悪さは、衣装でカバーなのさ。」

・・・

まあいい。

ほっぺの赤いみかんを見てるいと、ちょっと面白いからな。

しかしこのスーツは、誰のだろうか?

この建物には、男の人は住んでいないって言っていたような。

今両親はいなくて、華ちゃんとお姉ちゃんと、お手伝いさん関係しかいないって言っていた。

もしかすると、お父さんのスーツかな?

深く考えても仕方がない。

俺は部屋を出た。

・・・

目の前に女の人がいる。

それもどこかで見た、少し目つきの鋭い時給1250円。

ああ、あの時の100万円じゃないか。

 女「きゃーー!!なんですの!!なんで屋敷に男が!!」

 みかん「きゃー!!」

みかんが一緒に驚いてるし。

って、おいおい、俺を不審人物と勘違いしているぞ。

なんとか説明せねば。

 宗司「落ち着きなさいませお嬢様。」

・・・あれ?

こんなんでいいのか?

 女「あら?あなた、新しい執事か何かですの?」

 みかん「違うよ。宗司は居候だよ。」

うむ、間違っちゃいないが、みかんの言葉は聞こえないのだよ。

 宗司「まあ、遠からずも近からず。華お嬢様のボディーガードにございます。」

まあ、命の恩人らしいし、嘘じゃないだろう。

 女「ああ、あなたが華の言っていた・・・」

 宗司「そうです。私が変なお兄さんです。」

・・・

 女「きゃーーー!!!」


10分後、ようやく落ち着いた。

俺が変な事言わなければ、すぐに理解してもらえたんだろうけどね。

 姫「私の名前は、河崎姫ともうします。」

 宗司「これはこれはご丁寧に。わたくし、尾北宗司ともうします。」

 姫「ええ、妹の華から聞いておりますわ。」

むむむ。

しかし時給1250円が、華ちゃんの姉とは。

て言うことは、俺と同じくらいの歳かな?

 宗司「まさか、あの猫100万円が姫さんだったとは、これは驚きですな。はっはっは!」

 姫「なんですの?それ?」

少し、疑問半分、不信感半分の表情になった。

 宗司「お忘れのようですな。数日前、公園のベンチに猫の入ったバックを、忘れておられたようですが?」

 姫「ああ、あの時の。助かりましたわ。ありがとう。」

うむ。

しかし、喋り辛いな。

この姫さんは、普段からこんな喋りなのだろうか?

 宗司「ところで姫さん、普段からそのような喋りをしておられるのですか?」

俺は、お嬢様だからってお嬢様の喋りをするのが、どうしても信じられない。

現に華ちゃんは普通だ。

・・・

いや、普通じゃないけど、お嬢様な喋りではない。

 姫「や、やっぱり、どこかおかしいでしょうか?」

やっぱり?

特におかしいって言うよりは、その喋りを使う事がおかしい。

つーか、お嬢様って実際なんね?

 宗司「お嬢様がお嬢様言葉を使う事がおかしい。」

俺は素直に指摘した。

 姫「そうだよね。おかしいよね。だけど他人と話す時は、お嬢様言葉をつかえって、お父様が無理強いするのよ。ひどくない?」

・・・

いきなり変わりまくるのもどうかと思うけど。

でも、こっちの方が可愛いし、親しみがわくなぁ。

 宗司「うん。そっちのが良いよ。可愛い。」

俺は感じたままを伝えた。

 姫「ええーー!!か、か、か、わいい?そんな事言っても、私は騙されませんわよ。」

あら、戻った。

結構しゃべり方が身に染みついてるのかな。

 宗司「別に騙さないし。俺は嘘とお世辞が大嫌いだから。」

お世辞って、ある意味嘘だから、結局のところ嘘が嫌いって事なわけだが。

 姫「そ、そう。」

少し姫さんは照れていた。

 姫「そう言えば、宗司さんって、高校時代は、屋上の尾北って呼ばれて、モテモテだったそうね。」

・・・

 宗司「何それ?」

聞いた事がない。

全くない。

つーか、俺今まで女と付き合ったこと、一回しかないんですけど?

 姫「華が言ってましたわよ。いつも屋上で哀愁漂わせてる尾北先輩は、1年生の間では人気あったって。」

なんじゃそりゃ?

確かに俺は、屋上にはよくいた。

ってか、いつもいた。

それはただ単に、友達がいなくて、死にたいなぁ~って思って、屋上に行っていただけだ。

でも飛び降りる勇気もなくて、いつもグラウンドを眺めていた。

まあ、別にいじめられていたとかってわけでもないけど、とにかく人と関わり合いたくなかったからなぁ。

でも、過去いじめられていた事はある。

いじめていた事もあるけど。

いじめられていた理由は、俺が目立つ存在だった事と、番長と呼ばれていた人の、好きな女に告白した事だ。

いやあ、女一人であの頃の俺は毎日が地獄だったな。

明日になるのがいやで、生きるのがいやで。

下手にプライドがあるから、下手に反抗とかして、より多く反感をかった。

一人の女が、俺のあの頃の人生を変えた。

でも、イジメもしていたから、文句ばかりも言えない。

いじめる理由は簡単。

友達がみんな嫌ってるから、俺は嫌いでもないんだけど一緒にいじめる。

今になって思うんだけど、俺が過去で一番後悔している事が、イジメをした事。

一番辛かったのが、いじめられた事。

だから俺のいる場所は屋上しかなかったんだ。

 姫「どうしたの?宗司さん。」

あっ!つい昔を思いだして、ボーっとしていたようだ。

 宗司「いや、確かに屋上にはいたけど、友達がいなかったから仕方なくいたんだけどねぇ。」

 姫「そうなの?宗司さん、友達いっぱいいたって、華が言ってたけど。」

友達?

んー・・・確かに時間を無駄に過ごすツレは、いっぱいいたかもな。

でもみんな、友達なんて言える奴じゃ無かった。

俺の友達の定義は、二人で遊びに行けるかどうか。

それくらいの関係でないと、友達と言えないと思っている。

だって、あの頃のツレとは、もう一切のつながりがないじゃないか。

 宗司「まあ、広く浅くはいたのかなぁ・・・」

昔を思い出すと、また死にたくなる。

未来に期待がもてなくなる。

 姫「まあ、少なくとも、華は宗司さんとお友達になりたいみたいですわね。」

友達になりたいか・・・

一度喋っただけで、そう思える人物に会った事なんてないから、気持ちがわからんな。

でも、華ちゃんとは魔女ッ子の事もあるし、それなりにつき合いはしなくてはならないだろう。

てか、家においてもらってるのに。

 宗司「俺は、いい子とだったら、友達になりたいな。」

 姫「華は良い子ですわよ。あれ?またしゃべり方が変わってるぅー!」

・・・

気がついてなかったのか?

だったらそれでもいいのに。

 姫「あっ!そうそう、宗司さんのが年上だから、姫と呼んでくれて良いよ。」

 宗司「ああ、姫。じゃあ俺の事も宗司で良いよ。俺、人は皆対等だと思ってるから。」

 姫「そう?じゃあそうする。」

なんとなく、この子好きになれそうだ。

 宗司「ところでさ、ちょっと聞いても良いかな?」

俺はどうしても聞きたい事があった。

 姫「うん。かまいませんよ。」

 宗司「なんで鞄に万札と猫が入ってたん?」

・・・

あれって不思議だよね?

だいたい猫を鞄にって、ありえない。

 姫「あっ!あれは、って、中みたの?」

・・・

 宗司「鞄の中からにゃーにゃー聞こえたら、普通中見るよね?」

 姫「・・・内緒だよ?」

 宗司「うん。」

 姫「猫、可愛かったから、こっそり持って帰って、飼おうと思って。」

じゃあ、あの猫は、姫のじゃなかったって事ね。

見つけて拾って鞄に入れて、そして持って帰るタイミングをはかってたのかもな。

 宗司「じゃあ、あの猫は今飼ってるの?」

 姫「どっか行っちゃった・・・」

まあ流石に、鞄に閉じこめられて怖かったか、野良だからなつかなかったか。

そんなところだな。

 姫「と、ところでさ!」

もうこの話は嫌らしい。

 姫「宗司は、ずっとこの家にいるの?」

えっと・・・

いたいんですけどダメですかね?

 宗司「そうしたいんですけど。」

 姫「ん?問題でも?」

 宗司「いや、俺に問題はないんですけど、何もしないでずっとおいてもらうのも気が引けるって言うか。」

 姫「気になさらずとも。」

これはどうとったら良いのだろう?

 宗司「タダでずっとなんて、普通まずいと思われますが?」

 姫「命の恩人ですわよ?お礼しなかったら、こっちの神経疑われます。」

 宗司「じゃあ、しばらくやっかいになります。」

 姫「ずっといてくださって結構ですわよ。」

金持ちって、みんなこんな感じなんだろうか?

もしこれが普通なら、金持ちって、何か辛い事があるのだろうか?

 宗司「姫って、何か欲しい物とか、希望とかってある?」

俺がそうたずねると、姫の顔に影が差した。

 みかん「金持ちでも、欲しい物や望みはあるのさ。」

みかんはそう言いながら、飛び回っていた。

 姫「特にはないですね。」

おいみかん、無いっていってるぞ?

 みかん「嘘なのだ。顔見ればわかるのさ。」

確かに、悩みがあって、それを話せない感じの顔をしている気がする。

 宗司「俺にできる事、なんかあったら言ってね。やっぱり何もせずにおいてもらうのも気がひけるから。」

 姫「気になさらないで。あえて言うなら、いてくださるだけで。この家、男の方がいないから。」

ふむ、力仕事とか、泥棒が入った時に頑張ってくれって事かね。

どっちもいやだけど、まあそんな事があったら、全力で頑張るか。

 宗司「うい!」

俺は了承した。

 姫「あー!やばいよ。待ち合わせ遅れちゃう!じゃあ、また!」

姫は右手を肩のあたりまで上げて横に振った。

 宗司「じゃね!」

どうやら何か用があったようだ。

引き留めてたわけではないけど、悪い事したかな?

走って立ち去る姫を見ながら、少しだけそう思った。


朝食を食べ、部屋に戻ってきた。

 宗司「さて、今日は何を書くかな?」

 みかん「なんでもいいのさ。でも、出来れば確実に実行できるけど、かなり難しい事がいいのだ。」

それ、なんでも良くねぇじゃん?

 宗司「難しいな。とりあえず、難しくても実行可能となると、善意で書く事になるな。」

俺は考えた。

俺が考える善意。

はっきり言って、あまり思いつかない。

良い事なんて、今まで全くしてきた記憶がないからな。

悪意だったらいくらでも思いつく。

てか、この世の中、悪意ばっかりだ。

だから死にたくなるんだよ。

高校時代、俺はいくつかのバイトをした。

最初にやったのはパン屋だった。

夏休み中だけだったけど、朝早起きは辛かった。

でも、あの頃の俺は、早く大人になりたかったから、頑張ってバイトしようと思った。

大人になりたかった理由は、子供社会の理不尽さがいやだったから。

イジメもちろんだけど、学校や勉強に関してもそう。

テストで俺は100点とった事がある。

でも俺はそこそこの高校を受験する予定だったから、成績表はそこそこだった。

進学校を目指す奴は、俺よりテストの点数が低かったのに、最高の評価を付けられていた。

頑張っても正当な評価をされない。

だから、正当な評価をされる大人の世界にあこがれた。

でも、違っていた。

大人の世界も同じ。

イジメはもちろんあるし、いくら働いても、社員より頑張っても、正当に評価される事は無かった。

それどころか、下っ端のつらさを知った。

店長が、落ちたパンをこっそり販売していた。

信じられなかった。

それどころか、5秒以内ならオッケーだから、お前もそうしろって言ってきた。

俺は逆らえなかった。

結構高級なパン屋だったのに、落ちたパンを平気で売るように強要された。

手も洗わずに調理していたりもした。

仕事は、罪悪感との戦いだった。

食べ物屋は辛かったので、次はチラシ配りをした。

俺に仕事を教えてくれる先輩。

仕事ではなく、さぼり方を教えてくれた。

ココでも強制された。

俺はチラシを少しだけ配り、残りは捨てて、ファーストフードでコーヒーを飲みながら時間をつぶした。

罪悪感から、3日で辞めた。

その後もいくつかやったが、皆同じ。

上から、俺の定義で悪いと思われる事を必ず強制される。

もちろん、やれと脅されるわけではない。

でも、被雇用者は、そうするようにと言われたら、やるしかないじゃん。

法律に反する事だってあった。

まあ、だから俺は、死にたいという気持ちも大きくなったし、働く気も無くなっていた。

これを、なんとか無くせやしないだろうか?

いや、仕事に限った事ではない。

人の悪意をこのノートで止められないか?

悪意を止める善意を、このノートに書く。

俺は考えた。

 みかん「あー!さっきから、何考えてるのさ?さっさと何か書くのだ。」

 宗司「ちょっと待て。もう少しで何かでてくる・・・」

悪意に、逆らいたいけど逆らえない。

それを助けてやれる事。

 宗司「これだ!!」

 みかん「それだ!!」

・・・

俺は早速ノートに書いた。


ノートに書いたのは、「初めて痴漢をしようとした人を、俺は止める事に成功した。犯罪は未然に防がれた。」と書いた。

その後その書いたところまでを、日記が自動で埋めた。

俺は日記のとおり、電車でターミナル駅を目指す。

なんで俺は、あまり嬉しくない事をされる為に、恥ずかしい目にあうとわかっているのに、こんな遠くまで出かけにゃならんのだ?

やる事はいたって簡単なんだけどさ。

 みかん「文句いわないのさ。私が感謝してやるのだ。」

なんだか偉そうだな?

みかんって、こんなキャラだっけ?

 みかん「お互いわかってくると、遠慮なく話すようになるのさ。」

まあ、わかるな。

俺が自分をそのまま出して喋るのって、母親くらいだもんな。

つき合いで言ったら、もうすぐ20年になるし。

って、うちの母親って、どう考えても普通じゃないよな。

昨日夜、河崎邸で目を覚ました後、俺は実家に電話をした。

しばらく家を出て暮らすからって。

そしたら、「ホントー?助かるわぁ。あんたの分の食費で、何買おうかしら~」なんて言って、軽く電話を切られた。

少しくらい心配するとかってないのかね?

気がついたら、俺は目的の駅に着いた。

ホームには、電車を待つ人々であふれかえってる。

 宗司「はぁ~」

ギュウギュウ詰めの電車に乗るのかと思うと、嫌になった。

 みかん「さっさと2両目の真ん中に行くのさ。」

みかんに言われるまま、俺は移動する。

いた。

セーラー服の女の子。

この子を狙う男が、どこかにいるはずだ。

俺は日記のとおり、その子の横に並ぶ。

日記は、俺が書いた後は何も書かれなかった。

だからその後どうなるかわからない。

もしかしたら怖い人の痴漢を阻止して、後で袋叩きにされたりしないだろうな。

うーこわいよー!

電車がホームに入ってきた。

電車が止まる。

大量の人々が、駅に降りてきた。

この駅に用がある人、降りる人の邪魔にならないように、一旦降りる人。

さて、並んでる列の前の人が、電車に乗り始める。

俺も少しずつ前進。

さて、ドアに入った瞬間に俺はやらねばならない。

ドキドキ。

 みかん「いくのだぁ!」

俺はみかんの言葉に押されて、セーラー服の女の子と背中合わせになるように、電車の中に入った。

前から人々が一気に押し寄せてきて・・・

 宗司「いやぁ~ん!」

目の前に近づいた、ちょっと真面目そうなスーツの人に、俺のあそこを揉まれた。

 スーツの男「あっ!いや、す、すみません。」

俺は無言で、男を睨んだ。

ドアが閉まった。

電車が走り出す。

電車に乗っている周りの人が、白い目で俺を見ていた。

「いやぁ~ん!」なんて言っちゃったからね。

恥ずかしい。

でもまあ、これでとりあえず、日記に書いてある事は全て達成だ。

で、この後、どうしたら良いの?

この男が降りるか、女の子が降りるまで、俺はずっと電車に乗り続けるのか?

って、何処まで行けば良いんだ?

 みかん「どちらかが降りるまでは、乗ってた方がいいのさ。」

ま、そうだろうな。

あーしんど。

しかし俺の不安はすぐに解消された。

男は次の駅で、そそくさと降りていった。

良かった良かった。

では俺も次の駅で降りて、家に、いや、河崎邸に戻るか。

次の駅で降りた俺は、ホームの逆側にそのまま向かう。

 宗司「痴漢撃退成功っと。」

 みかん「よくやったのだ。」

そのまま、ついたホームの逆側の列に並んだ。

クイクイ。

ん?なんだ?

並んでいると、後ろから袖を引っ張られた。

振り返った。

 みかん「おお!さっきのセーラー服なのさ。」

うむ、さっき痴漢にあいそうになっていた子だった。

もしかして、他からも痴漢されて、それが俺だと思って捕まえに来た?

いや、冤罪ですよ?

私は守ってあげたのですよ?

 セーラー「あ、ありがとう、です。」

・・・

もしかして、守ってあげた事、わかってたのかな?

 宗司「いえいえ、俺は女の子の味方ですから。ジェントルマンとして、当然の事をしたまでです。」

 セーラー「あっ!はい。では、です。」

女の子は走って・・・

ホームの反対側にそのままならんだ。

すぐそこなんだけど。

わざわざお礼を言うために、電車を降りてきてくれたようだ。

目があった。

女の子は照れていた。

でもすぐこちらの電車が来たから、俺は電車に乗った。

 宗司「ふふふ。」

 みかん「宗司、いきなり笑って、気持ち悪いのさ。」

お礼言われるって、結構良いな。

俺はルンルン気分で帰宅した。

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