表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来日記  作者: 秋華(秋山 華道)
21/22

後悔と恐怖

俺は姫に、桜井海里の行動、予定を調べて欲しいと頼んだ。

こっちが調べている事がばれないようにと、くれぐれも念をおして。

相手は総理大臣の孫、しかも、調べたらいくつかの会社の取締役を兼任している。

金も権力もおそらくは申し分ない。

そしてレベル3の力。

河崎の、いや、三輪の力でも、相手にならないくらい強大な力。

真っ向勝負では勝てない。

でも、相手は色々な予定のある身、立場のある身だから、どうしてもやらなくてはならない事がある。

しかし、こちらの華ちゃんは、学校を休んでいる以上、ずっと隠れる事も可能。

更には3人いるんだ。

互角以上の勝負ができるはずだ。

電話が鳴った。

 姫「情報だけど、私が調べるまでもないわよ。テレビ見れば。」

俺は、姫の言葉にテレビを付けた。

今度は、桜井邸に、テレビカメラと記者が押し寄せている。

河崎邸も時々中継が入る。

未来日記の桜井海里と、新未来日記の河崎華、いよいよ対決か?みたいなノリだ。

 姫「私ももう外にでれないわよ。」

 宗司「もうすぐ終わるから、それまでは自重してほしい。」

 姫「宗司さんが何してるのか、華が何してるのか知らないけれど、くれぐれも危険な事はしないでね。」

そう言われても、危険は向こうからやってくるんだけどね。

姫は、俺たちが未来日記になんらかの関係がある事に、気が付いているのだろう、漠然とそう思った。

 宗司「ああ。」

俺は危険でもやる覚悟を決めていた。

とにかく、桜井海里は、ずっと自宅にこもっているらしい。

しかし本当にそうだろうか?

華ちゃんだって、実際はココにいるんだ。

一応未来日記を試してみる価値はある。

 宗司「未来ちゃん、自宅に桜井海里がいるらしい。俺とココに遠隔操作できる爆弾があると思って、未来を見て欲しい。俺は桜井海里をやれるか?」

正直、人を殺す算段を未来ちゃんにやらせるのは辛い。

でも、俺よりレベルが高いから、頼るしか無かった。

 未来「ダメだ。絶対に無理そう。」

 宗司「俺の命を考えなくても?」

 未来「えっ?!それはダメだよ。」

 宗司「いや、参考にするだけだから、とりあえず見てみて。」

いや、本当は、俺の命でなんとかなるなら、それでもかまわないと思ってる。

だって、このまま放っておいたら、華ちゃんは絶対殺される。

姫だって、危ないかもしれない。

未来ちゃんだって、いずれそうなるだろう。

 みかん「だ、ダメなのだ・・・」

みかんが小さな声で泣いていた。

 未来「ダメだ。どうしても、見えないよ。」

 宗司「そっか。」

これは、やはり桜井邸にいないのではないだろうか。

夜とかに潜入できれば、爆弾セット出来そうだけど。

爆弾が爆発しない?

いや、爆発するはずだ。

俺が脳内日記で、爆弾が爆発したと創造したら、簡単な手順でそこまでできていた。

あっ!そうか。

俺は再び脳内で日記を創造する。

「桜井邸で、桜井海里がいる事を確認できた。」と。

ダメだ。

全く、話しにならない。

いない者を、いるなんて事は不可能だからか。

もしかしたら、絶対に確認できないように潜んでいるのかもしれないけど、可能性が高いのは、いない。

だったら何処に?

結局この日は、何もする事無く終えた。


次の日のニュース、信じられないくらい静かだ。

桜井邸を映す事も、河崎邸を映す事も無かった。

未来日記に関するニュースはどのチャンネルも放送していない。

どういう事だ?

圧力をかけたのか?

すると未来日記に関するニュースが流れてきた。

たまたま時間があわなかっただけのようだ。

ただ、盛り上がりは無かったが。

 アナ「未来日記ですが、新未来日記を含めて、全て尾北宗司、二十歳が書いた事が判明しました。」

 宗司「えっ!」

な、何故?

 アナ「ブログサイトには、本人自らのコメントが書かれています。」

未来日記は、「皆さん、そろそろ私も疲れました。私の名前は尾北宗司、二十歳です。新未来日記も私が書いたものです。近々、私は死ぬ事になるでしょう。」

俺は、震えていた。

呼吸も、安定しない。

心臓もちゃんと動いているように感じなかった。

 アナ「これを証明する映像があります。」

ネットカフェで、俺が新未来日記に書き込みしている映像だった。

 宗司「あのネットカフェ、桜井の息のかかった場所だったんだ・・・」

やはり、この世の中、金と力が全てなんだ。

俺は、何をしようとしてたんだろう。

俺達の方が有利。

馬鹿な事を。

 宗司「大人しく、最初から何もしなければ良かったんだ。」

 華「駄目だよぉ~。まだ諦めちゃダメだよぉ~」

 未来「は、はい。諦めてはダメです。まだ、ココがばれたわけではありませんよ。」

みんな・・・

そうだな。

ココまでやってしまったんだ。

最後まで戦う。

そう思った時、電話がかかってきた。

携帯のディスプレイを確認すると、姫からだった。

 宗司「もしもし。」

 ?「あー。君が、尾北君かな?未来日記だけど。」

 宗司「えっ?」

姫の携帯から、桜井?

 海里「おたくらのおかげで、俺の計画が少し狂っちゃったよ。責任とってもらうからね。」

 宗司「な、何を?」

ダメだ、俺はチキンだ。

怖くてちゃんと話す事もできない。

 海里「まあ、大した誤差ではないけどね。あやめを殺さなくちゃいけなくなったのと、河崎姫さんを、誘拐しなくちゃいけなくなったくらいだ。」

 宗司「えっ?姫を誘拐?」

 華「えっ!?」

 未来「そ、そんな・・・」

 海里「決着をつけよう。来なければ、河崎姫さんは死んでもらう。ああ、華さんの方も一緒に来るように。」

 宗司「ちょっとまてよ。」

 海里「場所と時間は・・・」

場所を告げた後、電話はすぐに切れていた。

こちらからかけ直しても、もうつながらなかった。

どうして、俺と姫が繋がっている事が、どうして華と繋がっている事がばれたのか。

桜井海里の目的はなんだったのか。

全ては今更だけど、なんとなく魔女ッ子だけで調べさせたのかな?

そして桜井も、俺と同じで、今の世の中が嫌だったのかな?

なんとなくそう思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ