決着そして…
姫が誘拐された事は、完全に俺の失敗だ。
姫が危険な事は分かっていた。
だけどどこかで、魔女ッ子との契約者ではないから、安全だと思っていたのだ。
俺は、必ず助けると心に誓っていた。
夜中、俺は待ち合わせ場所にいた。
まだ、待ち合わせ時間ではないが、俺は来なくてはならなかった。
先日実家から持ち帰ったナップサックを持って。
待ち合わせ場所は、とある川沿いの道にある丁字路。
その丁字路のマンホールの中に俺はいた。
そこに今爆弾を仕掛けている。
明日、これを使う事になるかどうかは、作戦がうまくいくかどうかにかかっている。
警察に連絡はしていない。
どうせ奴らは、権力者の力にはきっと勝てない。
証拠が無ければ、俺の言葉より、総理大臣の言葉を信じるだろう。
これは仕方の無い事だ。
宗司「上司の命令は、絶対だからな。」
俺は苦笑いした。
爆弾をセットすると俺は一旦双葉家に戻る。
待ち合わせは今日の夜だから、まだまだ時間がある。
待ち合わせ場所は真っ暗な場所で、外灯も無い。
この場所を選んだのは、なるべく俺達と近づける場所だからだろう。
目視できる距離は、5mくらいかもしれない。
今日は新月だし、天気は曇りらしい。
俺を銃で撃とうとするのか、それとも、他の方法か。
人気の無い場所のようだから、殺しがあっても目撃者なんて、絶対になさそうな場所だ。
俺達は、作戦をもう一度確認する。
未来日記では、それぞれがそれぞれの方法しか記さないから、作戦は俺の自作だ。
待ち合わせ場所に行けば、俺と華ちゃんは、生き残る術が無い。
全く勝ち目はなさそうだ。
おそらく相手も、勝ちを確信しているだろう。
でも、こちらは3人いるんだ。
3人を相手にした未来日記なんて、過去に無かったんだ。
勝てる可能性はあるはず。
夕方、俺達は出かける。
待ち合わせ場所は遠いから、そろそろ出ないといけない。
車は無い。
俺達は電車を乗りついで、目的地に行く。
一応念には念をいれて、目的地とは違う駅で降りて、そこから歩く。
もう行動はバラバラだ。
携帯のGPS機能を利用して、作戦の場所へと行って貰う。
待ち合わせ場所に立つのは、俺だけだ。
華ちゃんもつれてくるように言っていたけど、別の場所に待機。
おそらくそれくらいは、相手もわかっているだろう。
俺の下には今爆弾がある。
相手と接触できれば、一緒に死んでも良いけど、俺達は接触はできない。
100m先に、車が止まった。
少し苦しい。
しかし、車のライトが消えると、苦しさも消えた。
見えない。
先ほどまでぽつぽつとあった少ない建物からの光も消えていた。
完璧な闇。
桜井が、このあたりを停電にでもしたのだろうか。
闇の中なら、見えなければ、かなりの所まで接近できる事は確実だ。
遠くから、声が聞こえた。
海里「華さんはどうした?まあ、わかっていた事だけどな。近くにいるんだろ?」
どうやら、声は伝わるし、喋る事もできそうだ。
しかし少し苦しい。
宗司「ああ。それより姫はどうした?いるのか?」
海里「もちろんだ。横にいる。ほら、何か言ってやれ。」
姫「宗司!逃げて。こいつ銃を持ってる。あなた達殺したら、どうせ私も殺すんだから。」
わかっている。
でも、見捨てる事はできないし、ココで逃げても結果は同じなんだ。
姫「それに、こいつ赤外線カメラ付ける!暗闇でも見えるよ。」
そうか。
向こうからはこちらは見えるのか。
魔女ッ子の能力でも、そこまでは制限できないのか。
海里「まあ、そういう事だ。今からそっちに行くから、逃げるなよ。」
足音が聞こえる。
二人分。
どうやら、姫も一緒につれてこられているらしい。
これで、車には誰もいないと予想できる。
作戦どおりだ。
未来日記は、基本一人で全て達成されるようにできている。
だから、赤坂見附の総理殺害も、自らそこにいたんだ。
そして、俺と華ちゃんがそれを阻止する場合、何をすれば良かったか。
ただ、桜井海里に近づけば良かった。
俺は、華ちゃんの携帯に合図を送った。
間もなく、海里の苦しむ声が聞こえた。
海里「うぁー!な、何を?」
海里の向こう側から、華ちゃんが懐中電灯を持って近づいている。
うっ!俺も苦しくなってきた。
宗司「姫、にげろー!」
俺は叫んだ。
銃声が聞こえた。
大丈夫だろうか?
不安だけど、とっさに創造した範囲では、大丈夫だ。
華「く、くるしいよぉ~」
華ちゃんの声が聞こえてきた。
宗司「がんばれ!」
俺は声をかける。
華ちゃんに押される感じで、おそらくは海里がこちらに近づいているはずだ。
横道は未来ちゃんが押さえている。
未来「うーん!」
海里「も、もう一人いたのかぁ!」
かなり近くで声が聞こえる。
俺達3人、苦しさに勝てば、勝てる。
俺は少しずつ下がる。
宗司「川に飛び込んだらどうだ?!」
海里「くぅ~!こんな事は、未来日記には無かったぞ・・・」
そもそも、3人集まるなんて事を想定してないからな。
俺は爆弾のスイッチを入れた。
後は、マンホールの上に乗れば、爆発する。
華ちゃんがかなり苦しそうだ。
未来ちゃんも、相当苦しいだろう。
俺も意識が飛びそうなくらい苦しい。
それでも、俺が一番楽な位置にいるんだ。
俺が負けるわけにはいかない。
それでも意識がとぶ。
後少し、後少し・・・
消えかけていた意識の中、爆発音が響いた。
その音と、おそらくは桜井海里が自分から離れた事で、苦しさが和らいだのだろう。
俺はしっかりとした意識を取り戻した。
海里「うわーー!」
桜井海里の悲鳴の後、何か鈍い音がいくつか聞こえ、苦しさが・・・消えた・・・
俺と華ちゃんは、結局レベル3に上げるのに1年以上かかった。
それでも、みんながレベル3になった時、魔女ッ子達とはお別れだ。
俺は、三輪商事で働く事が決定していたが、まだニートだ。
魔女ッ子達を送り出してから、働こうと決めていたから。
みかん「働きたくなかっただけなのさ。」
宗司「まあ、そうなんだけど。」
それだけでは無かった。
正当防衛とはいえ、人ひとり殺してしまった俺が、普通に生きていて良いのか?
気持ちの整理をつけるのに時間を要した。
で、みかん曰く、今日でお別れらしい。
みんな、河崎邸に集合していた。
宗司「しかし、未来日記ってさ、結局ほとんど自力で頑張らないといけないし、1年前みたいにうまくいかない事もあるんだよな。」
未来が見えると言っても、そのゴールに向かう可能性の一つが見えるだけってわけだ。
なにかしらの要因で変わる事がある以上、それは未来が見えているわけではない。
1年前、俺達は運命と思われた死を、自分たちの力で切り開き、今こうして生きているんだ。
不可能と思われても、必ず達成する道はあるに違いない。
みかん「じゃあ、最後だけど、笑顔で別れるのだ。」
ゆず「そうね。やっぱり笑ってる方がいいもんね。」
すもも「泣いてへんもん。」
みんなの目には涙があった。
もちろん俺達も。
華「う、う、な、悲しく、う、う~」
未来「み、みなさん、お元気で。」
華ちゃんは相変わらずだけど、未来ちゃんは強くなったなぁ。
てか、華ちゃんは、逆に弱くなったって言うか、感情表現が素直になったっていうか。
宗司「じゃあな。また、どこかで会おう。」
みかん「うん。さよならなのさ。」
みかんがそう言うと、3人の魔女ッ子の姿が・・・風に消えた。
・・・
宗司「さて、これから、ニートじゃない俺の人生の始まりだ・・・って、あれ?」
華「うん。変な記憶が、頭に流れ込んで来てる気がするよぉ~」
未来「私の予想だと、ベタなエンディングになるんじゃないかと。」
未来ちゃんは、とても勘がするどいからなぁ~
みかん「お兄ちゃん!」
ゆず「お姉ちゃん!」
すもも「お姉ちゃん!」
・・・
目の前に、人間サイズの魔女ッ子達が見えるのですが、気のせいですか?
人間になったとかって、ベタなオチですか?
もう少し、ニートしようかな。
まだまだ遊びたい気分。
目指す目標が見つかったら、必ずそこに向かう未知はあるのだから。
無理やり未来日記と魔女ッ子を一緒にして書いた話でしたが、結局魔女ッ子の活躍はほとんど無かったね。
それが心残りだし、後半走ってしまったのも失敗だったかなw
ま、それなりに書いてる方は楽しめたけど。




