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未来日記  作者: 秋華(秋山 華道)
2/22

100万円拾う

俺はニートだ!

だから、今日が何月何日で、何曜日かもわからない。

まあ、毎日が日曜日ってやつ?

いやー愉快愉快。

 みかん「なー。日記になんか書いてよー。でないと私のエナジーたまらないんだけどさ。」

寝ればこの小さな魔女ッ子も、夢だったって感じでいなくなるかと思いきや、ちゃっかし机の上にいた。

まあ、この魔女ッ子は嫌いではないし、別にいても差し支えない。

少し、エロビデオを鑑賞する時に恥ずかしいような気がするだけだ。

食費も俺の飯の1/10000程度を与えてやるだけで事足りる。

問題は、このノートに日記を書くって事だ。

俺はノートを見つめる。

ただのノートだ。

とても何らかの力が備わっているとは思えない。

しかし昨日の事が夢でないなら、このノートは結構凄いノートだ。

ドリムノートやデスノートには負けるけど、ある意味俺好みかも。

 宗司「なあ、これに100万円拾ったって書いたら、俺は拾うんだよな?」

 みかん「うん。拾うよ。」

 宗司「だったら俺、簡単に金持ちになるんじゃね?」

多少何か試練があったとしても、おそらくできない事なんて要求してこないでしょ?

 みかん「簡単かどうかは、書き方によるのさ。たとえばページの最初に書いても、それは自力で探すしかなくなる。」

 宗司「ああ、それは昨日のでわかるよ。」

 みかん「もし、最後に書いたら、詳細が事細かに書かれて、最後にそれが達成される。でも、沢山の事をしなければならないかもしれない。」

なるほど。

 宗司「だったら、真ん中くらいに書けば、要求も少なく、やることも、ある程度具体的にわかって良いって事かな?」

 みかん「まあ、書いてみたらわかるけど、書いた事の後に行動が書かれる事もあるのさ。」

ふむ。

とにかく使って試せって事か。

面倒くさいけど、面白そうではあるし、まあ、使ってやるか。

 宗司「よし、それならちょっと書いてみよう。」

 みかん「いやっほ~い!!」

みかんが机の上で踊っている。

くっ!ちょっと可愛い。

俺はなんとなくノートに書いた。

ページの真ん中に、「100万円拾った」と・・・

少しすると、ページに文字が書かれてゆく。

これを見るのは二度目だけど、昨日見た時より不思議な感じだ。

昨日は半分寝ていたような気分だったからな。

今日はさっき起きて、朝昼兼用の飯を食ったばかり。

どうやら書き終わったようだ。

読んでみる。

「俺は散歩に出た。昨日行った公園に行きたくなったからだ。天気はとても良い。緑の葉っぱが必至に光合成しているようだ。」

・・・

なんだこれは?

無駄な事がやたらと書いてあるように見えるけど?

ああ、空白を無理矢理埋めているのか。

再び続きを読む。

「すれ違う犬、昨日見た犬。ああ犬。くーん!」

て、ホントに無駄だな。

「もうすぐ公園だ。見えてきた。公園だ。公園についたんだ!俺はやったぞ!!冒険は終わった。その時!!!!ダダダン!!」

・・・

もうやめようかな。

「昨日のベンチの上に、鞄が置いてあるのに気がつく。俺は走ってかけより、鞄をつかみ、懐に抱き寄せる。辺りを見回し、誰もいない事を確認。中身を確認した。」

おお、これが100万円か?

「猫だ・・・猫が入っていた・・・」

おいおい、なんだよ。

サクッとゲットさせてくれ。

「ん?鞄の底、猫の下に敷き詰められた紙、万札じゃね?俺は紙を全て鞄から出す。もちろん猫はそのままだ。」

ああ、面倒くせー!

「札の数は丁度100枚。100万円拾ったようだ。」

おおすげえ!!

「しかし俺は、こんなお金を今までに持った事がない。怖くなった。つーか、拾ったら警察に届けないと。」

なんだ?続き?

しかも警察に届けるだぁ?

俺はなんてチキンなんだ。

持っていくんじゃない!!

「鞄にお金を戻すと、俺は交番を目指す。交番の前まできた。俺の認識では、交番は怖い所だ。チキンな俺は、交番の前に鞄を置くと、家まで走って逃げ帰った。」

・・・

これじゃあ、結局100万円はもらえないじゃん。

 宗司「おい、これ行動しても、何も意味無いような気がするんだけど?」

 みかん「書いた事は実現するのだ。」

 宗司「でも、無駄足じゃん?疲れるだけじゃん?」

 みかん「私にエナジーが入ればそれでいいのさ。」

・・・

寝よう。

俺は横になった。

 みかん「ああ、そう言わずにさ、行こうよ公園。私いきたいなぁ。」

みかんが近くにきて、目をウルウルさせている。

くっ!なんだか昨日の公園に行きたくなってきた。

つーか、一応100万円拾うんだよな。

その後うまくやれば、貰えるなんて事も。

てか、ちゃんと交番に届ければ20%まで要求できるとか聞いた事あるぞ?

 宗司「ああ!わかった。わかったから。」

 みかん「わーい!」

むむむ、なんて可愛いのだ。

反則ですな。

俺は起きあがると、みかんを肩に乗せて家を出た。

飛べるから、肩に乗せなくても良いような気もするけど、なんかこの方が、俺がかっこよく見えない?

 宗司「ああー天気いいなぁー」

いい季候だ。

春か秋か。

ああ、あそこの葉っぱが必至に光合成してるから、今は春から夏に向かってるところか。

 犬「くーん!」

・・・昨日の犬だな。

尻尾振ってやがるよ。

犬だからな。

 宗司「バイバイ犬!」

俺は犬とすれ違う。

さて、もうすぐ公園だ。

見えてきた。

ふふふ、もうすぐ公園だぜ!

 宗司「よっしゃー公園だぁ!!」

・・・って、なんで俺はこんなに喜んでいるんだ?

って

 宗司「うわ!マジでベンチの上に鞄が置いてあるよ!」

 みかん「ココまで順調だね。」

 宗司「そんな落ち着いてる場合かよ!」

俺は慌ててベンチに駆け寄り、鞄を胸元に抱き寄せた。

周りを警戒したが、誰もいない。

 鞄「ニャーニャー!」

 宗司「にゃーにゃーだと?ああ、そういや猫が入ってるんだっけ?」

俺は鞄を開けた。

猫がいた。

ちょっとむかつく顔してやがるな。

まあいい。

金金っと。

 宗司「おおおおお!!!マジで一万円だぁ!!!!」

っとっとっと。

やばいやばい興奮してきた。

ん?

俺はココで、数を数える事になっているはずだ。

そして鞄に入っているのは、合計100万円である事を知るんだ。

 宗司「みかんよ。ココで俺が100万円数えなかったらどうなるんだ?」

もし、後の事が無効になるなら、俺は100万円ゲットのチャンスを得る事になる。

 みかん「それ以降は無効だね。でもそれをすると、それ相応の試練が来るか、結局はメリット無しの状況になるはずだよ。」

うーむ試練か。

しかし100万円だぜ?

多少の試練は受けて立とうじゃないか。

 宗司「俺はこれを持って帰る!」

 みかん「たぶん無駄に終わると思うのさ。」

 宗司「俺は永遠のチャレンジャーなのだ!」

 みかん「ニートなのにチャレンジャーね。」

 宗司「うおーー!!!!!」

俺は家に向かって走り出した。

 誰か女「きゃあ!!」

・・・

 宗司「いててて・・・」

いきなり誰かにぶつかった。

誰だよ全く。

俺は、いつの間にかとじていた目を開ける。

ん?この光景は・・・白だ・・・

 誰か女「何処見てますの?」

おっと、素晴らしい物が見えていたから、つい見とれてしまった。

俺はその白いものから視線をあげた。

んー、時給1200円くらいかな。

少しきつそうな目してるけど、概ね可愛い女の子に見える。

頭も良さそうだし、覚えるのも早そうだ。

 宗司「仕事覚えたら、時給1250円にするよ。」

 誰か女「はあ?何言ってますの?」

女はそう言うと、自力で立ち上がって、スカートについた砂をはらった。

残念。

俺も立ち上がった。

すると女は、俺の抱えている鞄を見た。

 宗司「しまっ・・・」

俺は言いかけて、鞄を後ろに回す。

 誰か女「ああ、その鞄、届けてくださったの?」

 宗司「いえ、猫なんて入ってませんよ。」

 鞄「ニャーニャー」

鳴くんじゃありませんとの事よ。

 誰か女「ありがとうございます。忘れ物を届けてくださって。」

 宗司「いえいえ、そういう訳では。」

 みかん「もう無駄だって。」

 宗司「うるさい!」

 誰か女「お、お礼を言っているのに、五月蠅いってどういう事ですの?!」

ココで逃げるか?

 みかん「逃げたら犯罪だよ。」

 宗司「くっ!」

俺は諦めた。

 宗司「いえいえ、さっきから猫が五月蠅いなぁって。はい、鞄、お返しします。」

 誰か女「ええ、ありがとう。」

女は差し出した鞄を受け取ると、少し重そうに顔をゆがめて一瞥をくれた後、何事も無かったかのように、鞄を持って去っていった。

結局無駄骨かい。

 みかん「そうでもないよ。服、胸の辺り見てみるのさ。」

 宗司「ん?」

服に、なんか臭い物が、うんこが、ついていた。

無駄骨ってか、踏んだり蹴ったり?

 みかん「そのノートは、善意には易しく、悪意に厳しいのさ。」

・・・そういう事は、早く言って・・・

 みかん「素直に交番に届ければ良かったのに・・・」

俺はトボトボと我が家に向かった。

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